亡国の宰相―官邸機能停止の180日

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  • 新潮社 (2011年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103390138

亡国の宰相―官邸機能停止の180日の感想・レビュー・書評

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  • これもまた民主党の不甲斐なさを実感させてくれる内容。

    鳩山に続いて、菅も宰相の器ではなかったのか・・・

    いまになって、読んでみると、
    あのときの腹立たしさが、ありありと思い出される。

    そう考えると、人間というものは忘れてしまうものだと痛感する。

    民主党は転落すべくして、転落したと受け止めざるをえない。

  • 7月20日読了。

    先月参加した読売ビジネスフォーラムでコロンビア大学のジェラルド・カーティス氏がこう述べていた。

    『日本人は日本を批判するのが好き。悲観的』
    『東日本大震災では日本の文化レベルの高さと政治のレベルの低さが露呈した。』
    『早く創造的破壊が必要』

    非常に共感できた。

    本書は震災後の菅内閣の180日間にわたる迷走をドキュメントのように記述している。

    ジェラルド・カーティス氏が言っていた政治のレベルの低さがよく理解できた。

    こんな政権で大丈夫か!?

  • 読売新聞政治部編集。
    「亡国の首相」とは、すなわち菅直人元総理のこと。震災から退陣までの、政治の迷走、混乱を振り返っている。

    直ちに影響はないと言いつつ徐々に広げる放射能避難エリアや、独断の脱原発発言、マニュフェストを骨抜きにしても復興法案を通す(これも骨抜き)など、ここまで酷かったのかと、怒りを通り越して、呆れてしまう。

    官僚を利用せず、独断、即決はいいが、場当たり的なその時の最適解だけでは、何も解決できなかったということか。

  • (2012.01.06読了)(2011.12.20借入)
    【東日本大震災関連・その48】
    菅直人首相の東日本大震災対応についての記録です。
    「国難の中で国民の先頭に立つべき首相が、なぜ、石もて追われるような最後を迎えることになったのか。東日本大震災発生前後から180日、菅政権の軌跡を追った。」(14頁)
    「前へ」麻生幾著、等を読むと国土交通省の被災地への道路の確保や復旧作業の手際のよさに感嘆させられました。これは、多くの経験に学んでいざというときの訓練やマニュアルがしっかり整備されているからでしょう。
    ところが、原発事故に関しては、安心・安全の掛け声を優先させるために、いざというときのことを考えたり、備えを万全にするという行動を準備することができなかった。何か不測の事態が起こるということを想定すること自体が安心・安全でないことを証明してしまうため、といえるのでしょう。
    そういう意味で、今回の福島原発の事故に対する対応の不手際は、菅直人首相の責任といえるのかは疑問です。原子力政策を推進してきた、自民党の歴代首相、中でも中曽根さんの責任ではないでしょうか。
    電力事情の改善のためには、原子力発電の再開が避けられないとすれば、今回の経験を十分生かした事故の予防と事故が起こった際の事前対策を充分行っていただきたいと思います。
    この本を読んでみて、菅首相の物事の進め方については、責められる点が多々あるようです。一番目立つのは、根回しというか、関係者への事前の充分な説明が不足している、という点です。厚生大臣として、一つの省のトップとして、発言してゆくのと、首相として、国の全体を見たうえで発言してゆくことの違いがよく分かっていないのではないでしょうか?(おまえはわかっているのかといわれると困るのですが)
    二つ目は、菅首相の官僚不信ということでしょう。多くの経験を積んで、多くのことを手際よく処理してくれるはずの官僚たちを上手に活用しようという発想が全くありません。そのため、自分の限られた人脈の中で、何とかしようという発想で、動きますので、物事を決めるためには、時間がかかり、決断までに余計な時間がかかってしまいます。自分の納得のいくようにして決めてゆきたいという気持ちなのでしょうが、非常時にはふさわしくない手法ではないでしょうか。
    菅首相の言い分もあるでしょうから、落ち着いたとことで、菅首相の首相としての思い出話の本を執筆、出版してほしいものです。

    章立ては以下の通りです。
    第1章、国難
     震災発生
     混乱の始まり
    第2章、独り相撲
     信用失墜
     入閣要請
     統一地方選
    第3章、菅降ろし再び
     敗北
     自縄自縛
     小競り合い
     小休止
    第4章、内閣不信任への道
     浜岡ショック
     早期退陣否定
    第5章、居座り首相
     巻き返し
     四面楚歌

    ●3月11日(21頁)
    午後6時12分、菅は与野党の党首らと会談した。「災害対策に全力を尽くしたい。救国のために、協力をお願いしたい」と要請する菅に、自民党の谷垣禎一総裁は、「全力を挙げてほしい。補正予算案などいろいろな手当てでも、全力で協力する」と応じた。被災地の緊急対応を優先させるため、発生から72時間以内は現地視察を自粛することも申し合わせた。
    ●原発事故対応(40頁)
    混乱の背景には、首相官邸と東電の間の連携不足や相互不信があった。菅の存在がそれに拍車をかけていた。政府関係者は「首相が東電の技術者をことあるごとに官邸に呼びつけて怒鳴るので、現場対応の邪魔になっている」と嘆いた。
    (理系首相の弊害でしょうか。自分の頭で理解・納得したうえで物事を判断したいし、自分はそれができると思っているのでしょう。文系だったら、最初から、自分には詳細はわからんけど、話の雰囲気から、だいたいのポイントとなる部分を捕まえて、専門家に任せる、ということになるでしょう。)
    ●放射性物質の拡散予測システム(49頁)
    震災発生翌日の3月12日未明、SPEEDIの予測結果が、首相官邸へファックスで届けられたにもかかわらず、菅や枝野らには報告されず、当初の避難指示に際してデータが生かされることはなかった。予測結果が初めて公表されたのも3月23日になってからだった。
    気象庁が連日行っていた放射性物質の拡散予測を、政府が公開するようになったのも4月になってからだった。
    ●閣僚の増員(68頁)
    石原や石破の慎重姿勢の背景には、自民党内に共通する警戒感があった。それは、「菅首相が原発担当の就任を求めてくるとすれば、自民党は責任と批判を負わされるだけだ」という声だった。
    (原発推進の責任は、自民党にあることは周知のことなので、自民党の責任において見事に処理して見せれば、さすが、自民党といわれて株が挙がったであろうに、後ろ向きの発想で、逃げたとなれば、自分たちでできもしないことを、民主党に求めているのでは、民主党をあれこれ非難する資格はなかろう。)
    ●現時点で影響ない(74頁)
    「現時点で影響ない」
    弁護士出身の枝野の発表にしばしば見られたこの論法は、それが科学的根拠に基づく正しいものであったとしても、国民や諸外国を得心させるものではなかった。国民や諸外国が求めていたのは将来にわたる影響に関する見通しだった。
    (放射性物質に汚染されている食物をどの程度まで摂取してもその影響が出ることがない限度というのは、誰も知らないだろうから、それは無理というものでしょう。)
    ●菅首相の指示(79頁)
    菅の「指示」とは、担当閣僚に口頭で検討を求めるだけのものだった。いくら首相の指示でも、法的位置づけがあいまいなままでは、官僚機構は動かない。周囲は、「文書で指示した方がいい」と菅を説得した。
    政府関係者からは「民主党は政権をどう動かすか、官僚という『ボタンの押し方』が分かっていない」との嘆きが漏れた。
    ●4月13日(103頁)
    「当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか。そういう人を内陸部に住まわせるエコタウンのような都市を考えなければならない」
    この「首相発言」はすぐに報道され、関係自治体や苦しい避難生活を送る住民に深刻な波紋を呼んだ。
    ●小沢一郎(151頁)
    菅が政権に執着する理由の一つには、小沢一郎元代表への対抗意識があった。菅は2010年9月の党代表選で、小沢を大差で下した。しかし、国会議員票に限れば、小沢を6票上回ったに過ぎない。党代表でもある菅が任期途中で辞任すれば、党代表選は国会議員のみの投票で行われる。
    ●浜岡原発の停止要請(157頁)
    民主党内では、「原発に対する国民の不安を意識した、首相の英断だ」と評価する声が上がった。
    一方で、自民党の石破茂政調会長は「どういう情報に基づいて判断したのか、示す責任が政府にはある」と不信感を示した。小沢グループのある議員は「党内調整が不十分だ。そもそも、なぜ浜岡原発だけなのか、理解に苦しむ」と批判した。
    (批判する側にとって、30年以内にマグニチュード8程度の地震が発生する確率が87%という情報は、原発停止理由としては、ふさわしくない、ということなのでしょうか)
    ●NIMBY(ニンビー)(162頁)
    英語で「 Not In My BackYard 」(私の裏庭にはお断り)という言葉の頭文字を採ったもので、施設の重要性は理解するけれども、自分の住んでいる地域には建設して欲しくないと主張する住民たちや、その態度を指す。
    ●議事録がない(172頁)
    「民主党政権は、官僚を排除して政策決定をすることが多いため、重要な決定事項について議事録すら作成していない」ことが混乱を拡大しているとの指摘が出た。
    (議論した直後ぐらいは、何がどう決まったか覚えているけど、しばらくすると忘れてしまうことは、多くの人が経験していることだと思うが、…)
    ●菅の政治手法(228頁)
    菅は課題に対応するための「プロジェクト」には反応よく飛び付くのに、問題意識や情報の共有、根回しをしない。政策面でも、瞬間、瞬間の「最適解」を、整合性を気にせず追求するから、一貫性に欠けていると映る。
    (物事はいろんな側面から検討しないと、あちこちで不整合が生じることはよくあることで、色んな人に話をして見ることは重要です)
    ●「脱原発」は個人の考え(244頁)
    菅直人首相が7月13日の記者会見で、「脱原発」方針を表明したことについて、15日の閣僚懇談会で閣僚の不満が噴き出した。「首相は原子力に関する見解を発表したが、閣僚は話を聞いていない」と菅に説明を求めた。
    菅は記者会見での発言は「個人の考え」だったと釈明したのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「大臣 増補版」菅直人著、岩波新書、2009.12.18
    「前へ!-東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録-」麻生幾著、新潮社、2011.08.10
    (2012年1月9日・記)

  • 21番乗り。気になる。(2011/11/21)

  • 震災後の半年間、世の中の混乱を記録したもの。
    政治がうまく回っていればという気にもなるが、トップの責任だけとも言えない。評価は、時間が流れれば次第に固まってくるだろう。

  • バンコクに赴任したのは2008年7月なので、もう3年以上が経過した。日本を離れた時の首相は誰だっけ?ってふと考えたけれども、よく思い出せない。民主党政権になったのが2009年の夏だと思うので、まだ自民党政権の時代、麻生さんかその前の福田さんだろうけれども、全く記憶に残っていない。タイも首相がよく変わるけれども、日本もよく変わるもんだな、とあらためて思う。
    本書の題名「亡国の宰相」は管前総理のことだ。
    特別なニュース、例えば今年の大地震などを除けば、日本のニュースは新聞(バンコクでも読売と日経が読める)でフォローする程度で、日本にいた時のようにテレビニュースを見ることもないし、まわりの誰かとそれを話題にすることもあまりなく、どうしても臨場感が薄れてしまう。管さんが「居座り首相」として大方の批判を浴びていたことは知っていたし、その経過も新聞情報程度には知っていたけれども、あらためてまとめてこういう本で経緯を読むと、なるほどね、と思う。
    「私はきちんとした指示をしている」というような開き直りをする場面が出てくるが、まぁ、こういうのは仕事の出来ない人の典型的な言い分のような気もする。きちんとした指示になっていないところが管さんの場合の問題だったようだけれども、それはともかく、指示をしたら終わり、とはいくら総理大臣の仕事でもないだろう、と思うのだけれども。

  •  震災以降、断片的に報道されてきた政治空白。帯には「戦後最大の危機に「最悪の愚宰相」をいただいた日本の悲劇」とあります。読売新聞政治部が書いた、ということだけでも伝わります。一節だけ引用します。「こうした事態を招いた大きな要因は、求心力を失いながら居座りを続けて野党との信頼関係を損ね、知恵袋として活用すべき官僚を敵視する一方で個人的な思いつきによる指示の乱発で国政を混乱させた菅の誤った政治手法にあった。」
     嘆息。

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人望、人脈、調整能力なし。国民に知らせるべき情報を隠蔽し、思いつきのパフォーマンスを連発して大混乱を招いた挙げ句の果てに逆ギレ。にもかかわらず、権力の座にはしがみつく。地震、津波、そして原発事故-。未曾有の大災害に襲われた日本にさらなる危機をもたらしたのは、菅首相その人だった。危機管理とは、リーダーシップとは何か?緊迫の政治ノンフィクション。

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