みんなの秘密

著者 :
  • 新潮社
2.68
  • (4)
  • (10)
  • (36)
  • (30)
  • (8)
本棚登録 : 256
感想 : 40
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103394815

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 他の人の評価は低めっぽいけど、
    私は中学生という思春期、真っ只中の子達(特に女子)の
    感情を的確に表現した一冊だと思ったよ。

    仲の良い子がいるけど、本当に仲良しなのか。
    きっと私がいない時には、私の悪口を言ってるんだろうな。
    クラスの中心グループと仲良くなれると優越感に浸れる。
    何かおもしろいことが起きないかな。

    グループの中で自分が優位に立ちたいとか、
    リーダー格の子と自分が仲良くしてると気分がいいとか、
    あぁー、なんか分かるわぁーって感じだった。
    男子の世界は違うかもしれないけど、
    女子は世界観を表してると思ったよ。
    女子は自分の立ち位置を気にするんだよねー。

    特に話の中で大きな盛り上がりとかは、なかったけど、
    だからこそ、学校生活を日常を切り取ってる感じが
    良かったなぁー。

  • 中学2年の美羽は、クラスでは普通の女子3人グループにいる。
    ヒエラルキー上位の男子たち、派手めな女子たち、いじめられっ子の男子、クラスには秘密がいっぱい。

    何とも後味の悪い話。
    とは言え、著者の描く毒っけの強い話はやっぱり面白い。
    出てくる人にいい人が全然いないのが、リアルなのかどうなのか。
    主人公の美羽でさえも、日々に鬱屈し、面白いことを探している。
    14歳の闇の総集編と言えるほど。

    自分はずっと昔に、子供たちもその時を通り過ぎているので、他人事として読めましたが、これから子供をその年代に送り出す親の立場の方には、嫌な作品になってしまうかも。

  • なんか、自分が悪いことをしているような気がして、読んでて背中がゾクゾクした。

  • 退屈な毎日に積み重なっていく秘密。

    中学生、やる気のない美術部に所属して、退屈を持て余す美羽。

    友達の紗弥ちゃんは可愛くて育った環境が似ていて意地っ張りで
    奈々ちゃんは陸上部を頑張っていて男女の交友関係が広い。

    クラスで目立つ存在の愛菜たちと話すようになってから
    万引きをするスリルを知り、
    リーダー的存在の浜崎君とチャリパクを経験して
    いろんな人の秘密を知って、自分自身の秘密も増えていく日々。

    いじめられっ子の村瀬君。高井君が美術室の机に放った火。
    親友になれそうだと思っていた矢先に知った、財布泥棒の犯人。

    美術部の枝島さんが付き合っている人。
    顧問の辻田先生。痴漢犯人の正体。

    中学生っていうのは退屈を抱えてしまうよね。
    部活に勉強で活躍できる人はほんのわずかで
    こぼれ落ちた人たちの有り余る体力は途方もないわけで。

    村瀬君が謎めいていた。
    奈々ちゃんの安定さうらやま。
    会話とかも全体的にドライな雰囲気。

    問題起こりすぎな気もするけど、
    まあ、そうやって悪さして大人になっていくのかもと、しみじみ。)^o^(

  • 不安定な時を超えて、不安定のバランスがとれるようになりつつある中学二年生。
    罪悪感を楽しく感じるのは、誰かと何かを共有したいという願望なのかもしれない。
    単純に未来を明るいだけじゃないと気づいたとき、周囲の人の本質的な部分も見えてくる。そうすることで自分を認めることが出来る部分もある。
    その中でもうまく生きていく浜崎くんは魅力的だった。
    選ばれた人間である浜崎くんは歯向かってきた美羽のことも薄ら笑いを浮かべながら手にいれると思う。

  • 14歳、この年頃の狭い範囲の人間関係の
    息苦しさ、損得勘定で必死。
    自分のことでいっぱいいっぱいの
    むき出しのエゴが、
    ツールが違うだけで
    昔の自分とかなり重なる。

  • 中学2年生女子たちのリアルな学校生活を描いた作品。スクールカーストが上手く表現されており、リアリティ溢れる作品になっている。現代っ子は特にスクールカーストの位置に悩まされていそうなイメージがある。この作品にも描かれていたので、そういう風に感じた。中学2年生というのは微妙な時期であり、いろいろ大変だなと思ったりした。しかし、秘密をもつ事で優位に立とうと思ってしまうあたりがまだまだ、子供だなと思ったりもする。そこがまた、可愛いところなのだが…。

著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

畑野智美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×