キッチン・ブルー

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 543
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103396819

作品紹介・あらすじ

こんな食卓、私だけ――?ちょっぴりビターな、大人のための食小説。365日、食べて生きるわたしたち。好きな人といても、仕事や趣味に打ち込んでいても、お腹が空いていては幸せになれないのです。美味しい生活を求め奔走する男女6人、悩みはそれぞれ。偏食、孤食、料理ベタに味覚障害――このコンプレックス、なんとかしたい! 大人気『給食のおにいさん』著者が描く、新食感ごはん小説。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の『給食のおにいさん』シリーズが大好きなので、読んでみました。
    タイトルどおり、食にまつわるちょっとブルーな短編集。

    #食えない女
    どうしても一人でしか食事ができない主人公。
    好きな男性ができても、一緒にご飯を食べられない。
    これはつらいね。
    ところが、お~そう来ますか!と言いたくなる方法で、解決できそうな…。

    #さじかげん
    料理が下手で料理教室に通う新妻。
    感想を素直に言ってくれる正直者の夫と、料理上手な義母。
    昔の自分を見ているかのようで苦笑い。

    とくに、#キャバクラの台所がよかったです。
    泥酔してお客様に迷惑をかけてしまったキャスト・スミレ。
    罰として裏方のキッチンで働くことになるのだが…。

    お酒に強いはずのスミレが泥酔した謎を調べていくうちに、
    キッチンで働く仲間たちとも打ち解けていく。
    キャバクラの華やかな表舞台しか知らなかったスミレが、
    「どんな仕事も裏方で支えてくれる人あってこそ。」と勉強できる過程がいい。
    登場人物の名前のオチ、まったく気づかなかった…。

    人は食べなくては生きられない。
    自分の大切な人たちと、楽しく食事できること。
    美味しいものを美味しいと感じられること。
    それはとても幸運で、ありがたいことなんだと気付かせてくれる一冊でした。

  • 『食えない女』と、『キャバクラの台所』が特に好きだったかな。

    食にまつわるいくつかの 悩みや呪いやエトセトラ。

    惹かれるように、ぐんぐんとあっという間に読了してしまいました。

    食って楽しいイメージばかりだったけど、案外そうでもないのかも。結局欲を満たすものだからかしら…。

  • 【食にまつわる小説】
    美味しい小説か、、というとそういう訳ではないですね。
    食事が焦点ではあるけれど、
    人前で食事できない人、偏食な人、ストレスで味覚障害が起きた人、ひたすら食べさせたい人、、。美味しそうな食描写や食事のシーンは少ないです。
    あ、でも何章かにまたいで出てくるバーのマスターが作る賄い飯は食べたいかも

  • 料理をモチーフにした話しは多い。
    そして、そういう話しは結構好き。

    「キャバクラの台所」が斬新で面白かった。
    「さじかげん」はすごく良くわかる。

    さりげなく、どの短編にもバーのマスターが出ている。そういうのも好き。

  • 人は食べずに生きてはいけない。
    食べることは人に喜びをもたらす一方で
    悩みの素になることも。

    ゲラを頂きました。食にまつわるコンプレックスを
    抱えた6人が主人公の短編集。
    人前で食事ができない女性、料理ベタな女性
    偏食、味覚障害など…

    元々、ごはん小説が好きなのでよく読むのですが
    最近おいしいごはんとちょっと謎解きとか
    おいしいごはん+α小説すごく多いですよね…
    その中で少し毛色が違って面白かったです。

    おいしい描写よりも人生や食にまつわる悩みに
    重きを置かれているためか、かなりビターなので
    心がほっこりする本としてオススメは
    できないですが、こういう摂食障害が
    いつ自分の身に起こるかもわからないんですよね…

    作中の主人公たちにはありがたいことに
    ほとんど共感はなかったんですが
    私が食いしん坊なのもありますが
    食事をする、ということが生きていくことにおいて
    どれだけ大きいウェイトを占めているか
    わかりますねぇ…

    給食のお兄さんシリーズ気になっていたのですが
    今回、初めてこの作者さんの作品を読んでみて
    文章も読みやすいので今度読んでみようかと思います

  • 図書館で気になり手に取った本。食べ物系小説に手を伸ばしがち。
    食べ物は食べ物でも、美味しい!楽しい!とは反対で、食に纏わるちょっとブルーなお話達。
    面白くてすいすい読み進める。

    人前で食事が出来ない女性が主人公の「食えない女」と、ストレスで味覚を失くしてしまった女性のお話、「味気ない人生」、あとは料理以外は完璧な女性が主人公の「さじかげん」が好き。
    とくに「味気ない人生」は最後そうきたか~!と少し笑ってしまった。食感でカバー!

    「さじかげん」は私も料理に自信がないから、わかる…これされると辛いよな…と共感できる部分が沢山。
    特に惣菜の唐揚げの件なんて私だったら確実に不機嫌になってるな、なんて。
    何てデリカシーの無い男や!とムカムカしていたけど、実は思いやりから来る行動だったと分かってホッとした。
    料理苦手系女子に幸あれ!私も料理が上手くなりたいもんだ。

  • 美味しいものを、楽しく、お腹いっぱい食べたい。
    古今東西、人類の願ってやまないことだと思う。
    けれど、それがうまくいかなくて悩んでいる人たちがいる…

    「給食のおにいさんシリーズ」の遠藤彩見さんが、そんな登場人物たちの“キッチンのお悩み”に、包丁を入れたり、優しく包んだり、味付けし直したりする短篇集。

    小柄でお腹だけポッコリ出た、髪の薄い、バーのマスターが神かもしれない、妖精かもしれない。

    一部、問題を起こした人物の方には何の罰のないのが気にはなるが…そこは拘るところではないのでしょうか。


    『食えない女』
    翻訳業・古谷灯(ふるや とう)は、人前でものを食べる事ができない。
    翻訳の専門用語をチェックしてくれる蝦名敏(えびなさとし)と出会い、一緒に外出する仲になるのだが…

    『さじかげん』
    アパレル業の沙代は料理が苦手。
    夫の母はたいへんな料理上手なのがプレッシャー。
    初心者向けの料理教室に通い始めるが…
    「主婦は美味しい料理を作って当たり前」みたいな世間や男性の考え方…嫌ですね。

    『味気ない人生』
    寺田希穂は自宅マンションで行政書士の仕事をしている。
    階下に引っ越して来たカップルの昼夜問わない騒音のストレスから味覚障害になってしまう。
    解決は解決だけど…もやもやする。

    『七味さん』
    カルチャースクールの華道教室で講師たちの管理業務を任される、大前和己(男性)のお仕事小説でもある。
    シフト作りに苦労し、上品仮面をかぶったババ講師たちの派閥争いに翻弄され…
    そんな彼女たちの仮面を剥がす方法とは?

    『キャバクラの台所』
    愛原すみれは人気実力ともに折り紙つきのキャバ嬢。
    …だったが、とんでもない失敗をやらかし、当分の間、キッチンで働くように命じられる。
    転んでもただでは起きない、どんな時でも自分を励まし、気分を盛るすみれが頼もしい。

    『ままごと』
    オバ嬢様の、執念の「ままごと」がホラーですらある。
    SNSに料理の写真をアップするのは流行りではあるが。
    バーでバイトしながら役者を目指す水戸健人は、「ままごとの相手役」から、本物の役者になれるのか?
    さわやかな幕切れ。

  • 人前で食事のできない灯(とも)
    料理が苦手で新婚生活が憂鬱な沙代
    階下の住人の騒音からストレスで味覚がなくなった希穗
    フラワースクールで女性講師たちに振り回される和己
    泥酔で客に粗相をした罰にキッチンで働かされるスミレ
    アルバイト先の常連の社長令嬢に料理を食べてほしいと依頼される、売れない役者のミトケン

    行き詰まり、焦り、怒り、不安定な主人公たちが、最後には前向きになっていく。
    美味しい料理、お菓子の力はもちろん大きいのだけど、料理をするっていう行為の癒しってあるなあ。
    どの話もちょっとミステリアスで、展開が気になりあっという間に読んでしまった。
    さりげなく登場するマスターがいい感じ。

  • 料理と食事に絡めた短編集。
    単純に美味しそうという訳じゃなく、食べられなかったり不味かったり味を感じなかったり油過剰だったり、これは歪な料理の形。

    各話の主人公は皆何らかの悩みを抱えていて、それぞれがリアルなので同じ経験をしていなくても共感しながら読み進められる。
    「給食のおにいさん」シリーズもだけど「食べる事」に色々絡めるの上手いなあ。
    ちょこちょこ登場するバーのマスターが終盤に近づくにつれて味が出て来て、しかも良い人過ぎて、小柄でお腹出たおじさんだというのにほんのりときめく…。

  • 短編によって わかるなぁ~ と思うものもあれば ぎゃ それは無理 と思うものも あり
    人前で物が飲み込めない女性が
    やっと見つけた心の広い人
    でも相手にも すごい嗜好があって・・
    許せるかな・・・これ
    冷蔵庫に入ってたら・・・ちょっと

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著者プロフィール

東京生まれ。1996年、脚本家デビュー。1999年、テレビドラマ「入道雲は白 夏の空は青」で第16回ATP賞ドラマ部門最優秀賞を受賞。2013年、『給食のおにいさん』で小説家としてデビュー。同作はシリーズ化されている。他著に、『キッチン・ブルー』『イメコン』『バー極楽』など。

「2020年 『二人がいた食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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