アメリカ最後の実験

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103398110

作品紹介・あらすじ

ここではないどこか、誰も書いたことがない世界を書きたい――気鋭の作家の新感覚小説! 失踪した音楽家の父を捜すため、西海岸の難関音楽学校を受験する脩。そこで遭遇する連鎖殺人――「アメリカ最初の実験」とは? ピアニストの脩が体感する〈音楽の神秘〉。才能に、理想に、家族に、愛に――傷ついた者たちが荒野の果てで摑むものは――西海岸の風をまとって、音楽が響き渡る……著者新境地のサスペンス長編。

感想・レビュー・書評

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  • たくさんのアーティストが唄うように音楽は世界を変える事が出来るのかもしれない。たくさんのアーティストが唄うように音楽は世界を変えることが出来ないのかもしれない。

    ただ、自分の世界は音楽によって変わることができた。

  • 演奏中の流れるような疾走感のある描写に夢中になって読んだ。受験者三人組にはバンドを組んで欲しかったなという思い。
    ヨハンや脩一の内面にもっと触れてみたかった。それぞれ障害と謎めいた過去を抱えていたからもったいないという気がした。魅力的な人物設定だと思う。

  • 父親を捜すためにグレッグ音楽院を受験する主人公と、ライバルたちそれを取り巻く人々の、「音楽」で一体何ができどこまで行けるのかを模索した物語。

    SFっぽくあり、でもSFっぽくなく、現実っぽくもあり、架空っぽくもあり、小説なので全て架空なのだが、この境界をいったりきたりする感じで音楽の持つ面白さがうまく強調されていて、不思議とこの世界観に浸かってしまう。

    本物のピアノでは決して出せないと言われる特殊な音程を出せるシンセサイザーと言う架空の楽器がまたたまらなく、現実の楽器そのものがそもそも過去と現在をつなぐもので、まるでそこに特殊な音程を出せるという未来の楽器が登場したような描かれ方はワクワクしてしまう。

    音楽も進化しているから、いつかきっとこういう楽器も生まれるんだろうなぁと。

    陰謀論的な部分はあまり好きな感じではなかったが、未知の楽器の登場とライバルたちとの演奏バトルめちゃくちゃ面白かった。

  • 宮内悠介の描写する、砂漠や岩山の風景が好き。盤上の夜にもあったよね。
    ひび割れるくらい乾燥しきった叙情。

  • 失踪したピアニストの父を探すため、父が通っていたアメリカの音楽院に、情報を集めるべく入学試験を受けに渡米した脩。父の残したシンセサイザーの秘密や試験中に起こった殺人事件をからめながら展開される。作品を通して音楽がテーマとなっていて、音楽によって次第に精神を蝕まれる描写が、退廃的でリアルに感じた。脩とリロイの演奏シーンは圧巻だった。

  • 自分と母を置いて音楽の道を選んだ父の後を追って、渡米し難関音楽専門学校を受験する主人公が、受験仲間やネイティブ・アメリカンの女性らと父の足跡を追っていく話。
    音楽SF? 読んでいる最中、凄い話を読んでいる実感はあるんだけれど、音楽に造形が深かったり自分も演奏をする人間だったらきっともっと来るものがあったんじゃないかと思えた。

  • 音楽に呪われた人々の再生の物語。途中まではハーモニー meets 奇書みたいな感じかと思いきや、軟着陸。あるもう少し風呂敷を大きく広げて欲しかったと思いつつ、音楽に打ち込む人々の描写がとても良かったです。

  • 掴みが弱過ぎ、キャラか設定で期待させて欲しいな

  • ピアノとジャズを主体に音楽を大きな背景にもつ小説。

    「蜜蜂と遠雷」と共通する部分を感じつつ(こっちの方が先に刊行された小説なんだが)、こっちの方がとんがっていてニヒルでクールな味わい。そこはやっぱジャズとクラシックというジャンルわけなんだろう。

    伏線回収が少々荒っぽいのが残念。ほったらかしにはしていないんだけど、もっと掘り下げても良かったんじゃないだろうか?あっさりも味わいのうちなんだろうが、まだまだしゃぶれそうな素材なのに、なんだか勿体ない気がする。
    つまり、続編というかこの世界観の小説をもっと読みたいぞっ、てことだ!

    ドのシャープとレのフラットが区別できるような聴覚と感性、それを演じ分けられるような技量。そういう天性と努力をもって磨き上げられた奏者…カッチョ良いよなぁ。
    怠け者で凡人の俺には、まったくもって届かない世界ではあるが。

  • 音楽がテーマのミステリ/SF。演奏シーンの描写もよかった。

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著者プロフィール

1979年生まれ。小説家。著書に『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』など多数。

「2020年 『最初のテロリスト カラコーゾフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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