数学する人生

著者 :
制作 : 森田 真生 
  • 新潮社
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本棚登録 : 244
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103398912

作品紹介・あらすじ

未刊行、晩年の「最終講義」を初収録! 今だから読むべき偉人の言葉とは。デビュー作『数学する身体』が話題の若き独立研究者、森田真生による編集と渾身の解説で、農耕と研究に明け暮れた孤高の天才数学者・岡潔の魅力を炙り出す。岡の名随筆に加え、食エッセイ、日記、写真、そして岡夫人による文化勲章騒動記も収録。その素顔とともに、数学の枠にとどまらない、人間の本質に迫る思考に触れる、珠玉の選集。いまだからこそ、読みたい。

感想・レビュー・書評

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  • 森田真生氏編による岡潔氏の随筆選集。多変数複素関数論で偉大な業績を残した数学者であるが、本書を読むと思想家や哲学者の趣を感じる。文学や芸術に深い造詣はもとよりそれらから得たインスピレーションを基にした自論展開は難解ながら鋭く深淵だ。『春宵十話』と比べて柔らかみがあり、個人的にはこちらのほうが好み。本書に収録されている岡潔夫人の著が特に面白い。岡潔の率直な人物像が窺える。

  • 数学

  • 【工学部図書館リクエスト購入図書】
    ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB20762998

    本書で紹介されている数学者、岡潔の随想を集めた『岡潔:数学を志す人に』は、2020年6月12日(金)まで、「Maruzen eBook Library」にて電子ブックの試読が可能です!
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000048588
    (※ACSUにログインすることで、学外からも利用できます)

  • 幼年期の終わりのラストが何だかわかるような気がしたのは
    日本で暮らしているからなのかもなと感じた。
    かぼちゃの種の話は、言われてみると不思議に満ちているな。
    遺伝子を組み替える事はできるけれど、無から生きたものは作れないものな。
    でもロボットはどうなんだろう?生み出せている事になるんだろうか

  • 2017.08.16 品川読書会

  • 内容が難しすぎて飛ばし読み。哲学的な話。
    理数系も文系も、実は繋がってるんやなぁと思った。

    難しすぎてよくわからんかったけど、印象に残った所は
    ・生きるということは主宰者がいる
    ・こころは自然の中にあるのではなく、こころの中に自然があるのではないか
    という話。

  • 他の書籍との重複が多いかな

  • 書店で見かけて購入。『春宵十話』を読んで以来、岡潔という人物に只ならぬ関心が高まっていたところでした。また、彼の語る数学、そして「情緒」の話が、何か私自身にとって本当に大事なこととして響いてくる感じを覚えたので、是非ともそれらについて深く学びたいと思っていたところでした。暇を見つけて少しずつ拾い読みしていましたが、本日一気に通読、読了致しました。

    この編著は実に痒い所に手が届いてますね。順番としては『春宵十話』を読んでから、その次に手に取るといいでしょう。『春宵十話』ではざっとしか触れられていないフランス留学時代のこと、また岡潔自身のライフスタイルの一端を伺うことができます。また、数学と仏教との関係、そして『春宵十話』を読んでもなかなか把握しにくかった、岡潔にとっての「情緒」とは何かということについても、実に手元にその感触が伝わるかのようにありありとわかってくる。

    私自身、縁あって浄土真宗の僧侶になったものですから、岡潔の言いたいことがおぼろげながらも「あぁ、そういうことか」と身に沁みるように感じられます。道元禅師のことは申すまでもなく、分別智と無分別智の話や、果てはアーラヤ識の話まで、まるで掌中の珠を慈しむかようにこうもお話し出来る方だとは……。改めて、岡潔の仏教に対する造詣の深さ、体解するところの深さを感じずにはいられませんでした。また、そういうベースがあってこその「情緒」の話であることも、読みながら感銘を深くしたところであります。

    最初に岡潔を読んだ時の第一印象は「よく分からないけれど、とにかくも、随分偏屈な爺さんだな」という感じでした。ただ、言ってることは妙に説得力があって、そこから引き込まれていったという感じでした。それが、この本を通してはっきり岡潔の姿が見えてきたというか、やはり、「懐かしい」というべきなんでしょうか、息づかいや体温まで伝わってくるように感じたんですね。
    求道者だったのだと思います。数学を通して、自分自身が何者であるのか、どんな人生を生きるのか、どう他者と通じ合っていけるのかを、生涯かけて追い求めていたんではないかと思うのです。その一つの答えというか、感得というのが、「情緒」だった。そんな気がします。自分らが中学や高校で勉強していた(と思っている)数学とは全く違うようにも感じられますが、やはり、確かに、「数学」なんですよ。『春宵十話』を読んで、一切数式が出てこなかったにもかかわらず「これ数学書だ!」と感じたように、この本も単なる岡潔の随筆の選集であるというところを超えて、まさしく数学書だと、私は言いたいと思います。

  • 多変数関数論で日本が世界に誇る数学者、岡潔さんの随筆に、独立研究者(?)森田真生さんが編集と解説を加えた本。数学に仏教(釈迦、道元)や芭蕉と絡めて数学や人生、芸術等について語っています。

    仏教について語っているところはピンと来なかったが、数学を禅と絡めて語っているところが良かった。岡さんにとっては数学と禅は本質は一つとのこと。自分を捨てて数学と一つになる境地が禅と同じだ、ということでしょう。そしてこれが子供が算数、数学を学ぶ第一の意義だ、と語っている。数学を学ぶことの意義に対する独創的な意見だと思います。これを普通の人が言っていたら説得力がないが、世界的な業績を誇る岡さんが語っていると説得力がある。

  • う~ん、編者の思いが空回りした感があります。
    岡潔の思想のエッセンスを理解するには、その準備が必要な気がするのですが、いきなり本論から入っている印象を受けます。
    結果、ついていけない…。

    あとがきのような位置づけで、編者の文章がありますが、これだけ読めば、この本は十分な気がします。
    ちょっと残念。

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著者プロフィール

1901年生まれ。三高をへて、京都帝国大学理学部卒業。多変数解析函数の世界的権威者。理学博士。奈良女子大名誉教授。学士院賞・朝日文化賞・文化勲章。仏教・文学にも造詣が深く、『春宵十話』『風蘭』『紫の火花』『月影』『日本民族の危機』などの随想も執筆。晩年は教育に力を注いだ。

「2023年 『岡潔の教育論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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