田嶋春にはなりたくない

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著者 : 白河三兎
  • 新潮社 (2016年2月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103399117

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田嶋春にはなりたくないの感想・レビュー・書評

  • 白河三兎作品、初読み。作品の予備知識もなかったんだけど、長崎訓子さんのかわいらしい表紙にそそられ手に取ってみた。
    一流大学の法学部生、タージこと田嶋春。空気が読めないこと山の如し、と言いたくなるほどのKY っぷり。あまりにも行動が突飛でウザくて、こりゃ煙たがられるのもやむを得ない…のだが、何故か憎めない不思議キャラ。大学を舞台に、オムニバス形式で進むストーリーは、謎解きも楽しくて一気に読んでしまった。何より、タージが人間関係を引っかき回しながらも洞察力のよさで、真実を明らかにしていく気持ちよさ。大学生の心理描写がリアルで、読んでいて、久々に自分の大学時代を思い出した。登場人物らはうまく世渡りしてるつもりが、結構器が小さく、見栄っ張り。そんな己の小物っぷりに、タージのおかげで嫌が応にも向き合わされるのだが…つまんないプライド故に見ない振りをしていることのなんと多いことよ。読んでいてスカッとしました。ただ、登場人物の中にはチャラさを通り越して不快な行動をする者もいて、そこはドン引きでしたが。
    他愛ない会話やさりげないエピソードに伏線が張られていて、読み返して「そういうことか」と気付くことも多かった。ムムム…からのスッキリ!な爽快感はクセになりそうだな。

  • タージ天然なのか最後まで悩んでいましたが頑なな生き方しかできない自分流のまっすぐさなんですね。
    どんな人を好きなんだろうと思ってたんで「手の中の空白」はなんか嬉しかった。
    観覧車からのメールだけでタージ見る目ある!と思いました。
    わかる人だけにわかる良さを振りまきながらずっとこのままいくんだろうな。

  • 悪意はなくても苦手

  • いないとは思うけど、実際近くにいたらどうかな

  • 法律を学ぶ「タージ」。一風変わった女の子だが、周りを巻き込みつつ、みんなを幸せにしていく。

  • 曲がったことが大嫌いで思ったことをそのまま口にする田嶋春。相手の気持ちなんてお構いなしの言動で、大学やサークルでも浮きまくっている。
    彼女の周りの人たちのモノローグの連作短篇集。ほぼ皆始めは彼女とは関わりたくないと思っているが…。
    単に青春、友情、恋愛ものかと思ったら小さな謎解きもあって不思議な感じ。楽しかったです。気楽に読めそうだけど意外と注意力が必要かも。
    田嶋春、たじまはる、タージマハル?

  • 『みんな多かれ少なかれ虚勢を張っている。不必要に格好つけ、無闇に威嚇し、大袈裟に自負し、無理して価値観を擦り合わせる。いつの頃からかそうすることが習慣化した。他人に『弱い』と見なされることにビビッている。』

    『一度なりきってしまえば、それが通常になる。演じているうちに本当の自分との境界線が消える。みんなやっていることだ。程度の差こそあれ誰しも自分を盛っている。そしてみんなそれを自覚しているから、相手の化けの皮を剥がそうとしない。相互不可侵が暗黙のルールになっているのだ。』

    『正論だ。盗まれる奴が悪い。無くす奴が間抜けなのだ。今日の僕みたいに。傘の奪い合いは人生の縮図のようだ。盗るか、盗られるかの狂想曲。盗った奴が勝ち組。傘を手にできなかった奴はどんなに吼えても負け犬にしかなれない。』

    『誰もが盗られた経験、無くしたまま戻ってこなかった経験がある。だから自分もそう他人の傘を盗って何が悪いんだ。文化的な生き物とは思えないスパイラルの中が延々と続いている。きっと未来永劫連鎖していくのだろう。モラルなんてお構いなしだ。』

    「だから、私、嬉しくなったんです」
    「は? 何が?」
    「だって、凄いことじゃないですか? 人の傘を無断で使用していいってことが人類共通のルールになっているんですよ」
    「喜ばしいことじゃないだろ」
    「そうですか? 勝手に自分の傘を使われても、いちいち腹を立てないってことですよ。凄い寛容さです」

    「ボランティアみたいなものですよ。その人が買った傘は、いつかは誰かの手に渡って有効利用されるんですから、誇らしいことじゃないですか。私が無くした傘もたくさんの人の手から手へと渡って活躍していることを想像すると、鼻が高くなります」

    「タージは人に裏切られたらどうするんだ?」
    「どうもしません」
    「どうもって?」
    「だって人は人、自分は自分じゃないですか? 私は裏切りません。それだけですよ」

    『僕の頬は緩やかに崩れる。そう。それだけでよかったんだ。僕は僕だ。無理に『俺』になる必要なんてなかった。自分の傘が盗られたからって、人の物を盗っていい道理なんてない。自分だけが貧乏くじを引いたとしても、自分が人の傘を盗らなければ、負の連鎖は断ち切れる。』

    「うまい棒のコーンポタージュ味を置いてないのは変です。ポタージュがフランス語でスープという意味なのを知らないんですか?」

    『だけど傷を舐め合うことは無意味だ。何も解決しない。共感は行き止まりにぶち当たったような感情だ。先がない。私は停滞する。』

    『間違ったことをしたら謝る。当たり前のことだ。その当たり前のことを疎かにしているから、停滞するのだ。怖い相手や、自分に都合の悪いことは謝らないで逃げる方が簡単だ。でも難しいことを避けていたら、簡単なことしかできない人間になってしまう。』

    「ところでさ、タージはサークルメンバーの誰かが困っていたらどうする?」
    「ふざけた質問ですね」
    「それは愚問ってことか?」
    「当然ですよ。助けるに決まっているじゃないですか」
    「相手が誰でも?」
    「見ず知らずの人でも助けます。協力し合わないと人類が滅んでしまいますから」

    「タージは贔屓とかはしないんだな?」
    「しますよ」
    「えっ? どんな時に? 誰を?」
    「自分です。誰だって自分が一番に大事じゃないですか」
    「でもみんなが自分ばかり大事にしていたら、人類は滅ぶんじゃないか?」
    「滅びません。一人一人が最高にハッピーになろうとすればいいんですから。なれた人がなれなかった人を助けるだけですよ。世界平和は簡単なことです」

    『偏差値の高い私立大学で法律を学んでいる。自称『検事の有精卵』だそうだ。』

    「強い女の子なんていません。... 続きを読む

  • 大学1年の田島春ことタージは正義感が異常に強く,間違ったことが嫌いで,その場の空気を急変させる得意技をもっており,そのタージが絡む物語が5編.どれも楽しめたが,野球の試合を挑まれる話が面白かった.助っ人がてっきり投手と勘違いした宮崎の慌てようがおかしい.しかし,タージの存在は現代社会にないものを認識させる.昔はこのような人が居たような気持がしているが,それなりに笑える社会だったと記憶している.

  • どんな些細なことも曲がった事は誰であろうと許さない。心の触れて欲しくない部分も容赦なくかき乱す。最悪のKY女子大生、田嶋春、通称タージは、誰からも疎まれ、関わりを拒まれる存在。にも関わらず、困った人には頼まれなくとも積極的に力になる。そして、様々な問題を鮮やかに解決してしまう。そして気づくのだ。本当の田嶋春の恐ろしさを。どんなピンチも救ってくれる。でも、やはり友達にはなりたくない。なんて女子大生だ!ただ、タージの意中の人がナセあの人なのか謎。

  • 正しいことは正しい!法律やルールは正義で曲がったことは大嫌い!空気を読まない!将来の夢は検事になること!そういう娘が主人公の連作短編集。

    こんな娘が大学のユルユル系イベントサークルに入ってきたら、そら浮くわな、村八分にもされるわ。とは言え、そこは白川三兎の筆、鬱陶しい空気読めない理屈女をあざ笑うとか、逆にユルい連中にしっぺ返しくらわせるだけの小説にしていない。なるほど、そういう落とし所に持っていくかぁ…って物語運びは見事である。小説としては楽しませてくれる1冊。

    会話(コミュニケーション)ってのはリズムだと思っている。相手とのリズムをいかに合わせていくか、作っていくか。それが上手くいけば話の内容も上手に伝わるし、雰囲気も上手に伝わるし、言外に匂わせた…ってなこともしっかり鼻についてくれる。

    コミュ障(って言葉、ムッサ嫌いなんだけど)とかKYとか言われる、大勢の話の流れに上手いこと乗れない連中って結構たくさんいるし、そういう連中って確かに付き合いづらい。リズムが違っていて、しかもこっちのリズムには一切合わせようとしない。意図的ではなく合わせるという術を知らないのじゃないかと思う。

    ツーと言えばカーの相手としゃべる快感と真逆で、リズムが合わない人としゃべるのは実にツラい。だからおのずとそういう人とは付き合わなくなるし、排除しようとしてしまう。聞く耳もたない人は、こっちも相手しない!ってヤツ。

    この本の主人公タージは、確かにエエ奴である。一本筋が通っていて自分流で気遣いもできて、努力家で、約束を破ることもない。ただ、現実にタージがいたとして、俺がこの娘と友達になれたかというと…まず絶対無理やったろうなと思う。俺の限界を超えてる。
    人脈関係とか損しているんだろうけど、会話を交わす際常に不快感が伴う人とは、俺付き合えない。イジメるつもりは一切ないが関われないと思う。

  • 【ネタバレ】とにかくうっとうしい「田嶋春」の物語。最初は痛くてたまらないのですが、最後にはたまらなく愛おしくなります。少しご都合主義が鼻に付く展開もありますが、終わりよければすべてよしって事でひとつ。

  • +++
    正しいことを正しいと言って、何が悪いんですか! 史上最高に鬱陶しい主人公、誕生! 一流私大の法学部に在籍する女子大生「田嶋春」、通称タージ。曲がったことが大嫌いで、ルールを守らない人間のことは許せない。そのうえ空気は、まったく読まない。もちろん、友達もいない。そんなタージが突撃した「青春の謎」には、清冽で切ない真実が隠されていて――。読めば読むほど、不思議とタージが好きになるかも! ?
    +++

    個人的には、初めからちょっと好きだったかも、田嶋春。これほど極端に空気を読まないわけではない(と自分では思う)が、似たところがある気がして、親しみを覚えてしまったりもする。なので、タージの気持ちが全く分からないというわけではなく、かと言って、全面的に支持できるというわけでもないので、肩頬に苦笑いを浮かべて眺めてしまうような読書タイムだった。きっと深く知ればみんな好きになると思うよ、田嶋春。彼女のことをもっともっと知りたくなる一冊なのである。

  • 空気の読めない最高に鬱陶しい主人公!そんな彼女が体験した青春の謎とは(byらむね)
    (866305/913.6/Si/大学図書館)

  •  登場人物がもう駄目です。まったく。

  • 大学生。正義。『波』2016.3にて。

  • 曲がったことが嫌いで空気を読まず周りをかき乱し鬱陶しがられるタージこと田嶋春のお話
    鬱陶しいけど巻き込まれるけど
    人柄がわかるにつれ自身の気持ちや考えや行動も変わっていくという
    影響力、大な女の子
    読むにつれ魅力的になってくのが不思議

    しかし田嶋春=タージマハル?どんな意図の命名なんでしょ??

  • 正しい言動しかしない天然大学生タージこと田嶋春。天然なのか計算なのか計り知れないので、後ろ暗いことのある人には脅威。はじめはうざいだけなのに、だんだん可愛く思えてくる。読後に表紙のイラストを見るとじわじわ可笑しくなる。

  • なりたくないんじゃなくて、なれない。

  • まったく困ったフシギちゃん。なのに周りを感化させてゆく(人知れず)力はアッパレとしか言えないけれど。
    やっぱり、なりたくはないキャラだし、側にいたらウザいと思う。
    三兎さんの他の本のキャラと重なる気がするけれど、問題提起をしてくれる!というところがなのかなあ~。

  • 初めて読んだ白河作品がこのタージシリーズ。あまりの面白さに以後白河作品全部読んだくらい。ドノハナシモ小説新潮で読んだことあったけど、この順番で読み直すとまた感動がよみがえる。続きがあるといいなあ。

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田嶋春にはなりたくないの作品紹介

正しいことを正しいと言って、何が悪いんですか! 史上最高に鬱陶しい主人公、誕生! 一流私大の法学部に在籍する女子大生「田嶋春」、通称タージ。曲がったことが大嫌いで、ルールを守らない人間のことは許せない。そのうえ空気は、まったく読まない。もちろん、友達もいない。そんなタージが突撃した「青春の謎」には、清冽で切ない真実が隠されていて――。読めば読むほど、不思議とタージが好きになるかも! ?

田嶋春にはなりたくないのKindle版

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