ワンダフル・ワールド

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 400
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103399513

感想・レビュー・書評

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  • 【あらすじ】
    アロマオイルを纏った肌をぶつけ合い、のぼり立つ匂い。調香師との情事は、私に長い愛人生活を終わらせる予感を抱かせた。あの光景を目にするまでは──(「アンビバレンス」)。年上の人妻経営者に持ちかけられた三か月間の恋人契約。俺に抱かれ、女の喜びを感じると話していた彼女は、なぜ突然いなくなったのだろう(「バタフライ」)。記憶と熱を一瞬で呼び覚ます特別な香り。五編の恋愛小説集。

    《オー・ヴェルト》
    ・田代くんが、思ったことは何も我慢せずぽんぽん言ってしまう性格の万実に言った「表裏がないってことだから。万実ちゃんといると、言葉に隠された意味とか本音とか建前とか、色々考えなくて良いから楽だよ」が私も田代くんと同じですごくしっくりきた。

    《TSUNAMI》
    ・なんの前触れもなく、突然の波に呑まれて奪われていく命があることを思うと、こうして死の訪れまでの間に心の準備のための猶予が用意されているのは、残酷なのか、それとも幸福なのだろうか。

    ・生と死とを分かつ境界線は、人が思うほど太くはない。死は、つねに生のすぐそばにある。それは同時にこうも言い換えられはしないだろうか。死せる者は、生ける者のすぐそばに在り続けるのだ、と。

    ・この子もまた、きっと見守ってくれるだろう。最愛のものをなくした私が、それでも懸命に日々を生きてゆこうとするのを。自分のいないこの世界が、それでもなお、愛しく眩しく輝き続けるのを。

    【個人的な感想】
    五編の短編すべてに途中に性的な表現もあるが、最後の短編の『TSUNAMI』が2週間前に愛犬を失った私に響きすぎて号泣したので★5にした。
    『TSUNAMI』では17年間共に生きた猫と飼い主の女性の最後のお別れを描いた話。
    大切な家族である猫や犬を亡くした方に読んでみてほしい。

  • 短編だけど、つながっていて
    特に
    バタフライの志織さんには強く共感した

    わたしでも同じことを考えただろうか
    読むまでは思いつかなかったとしても
    読み終えた今となっては
    志織さんの真似をしてしまう自分が想像できる

    もし当事者となってしまったなら
    何かの役割としての自分ではなく
    ただひとりの女性としての選択ができる潔さを
    そのことを喜べる覚悟を持ち合わせていたい

  • 読書記録です。まだの人は読まないでね。

    「アンビバレンス」「オー・ヴェルト」「バタフライ」「サンサーラ」「TSUNAMI」
    忙しかったので短編集を1編づつ…と思ったのに、一気読みしてしまいました…また寝不足だ。
    タグに「小動物と恋愛」とあったけど、一番共通するのは「におい」。良くも、悪くも。
    恋愛にまつわるピュアな「におい」を文字を読むことで感じられるってすごい。
    オバチャン加齢臭で今はちょっと困ってるけど、とっても遠い昔を思い出しました。常に外野だったけどね…

  • インコアイスが出てきてびっくり笑

    「香り」をテーマにした短編集。
    バタフライ、好きな話でした。
    おいコーも楽しみにしてます。

  • 短編集なのですが、どのお話にも「香り」の話題がキーになっていて、そういうタイトルでも無かったので、なんだか得したみたいです!

著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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