21世紀を信じてみる戯曲集

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 79
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103405160

作品紹介・あらすじ

「信じる」とは何か?書道教室、崩壊家族、火山観測所。「ザ・キャラクター(読売演劇大賞受賞)」ほかに、新作を収録した、野田地図最強三部作。

感想・レビュー・書評

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  • 「ザ・キャラクター」
    この戯曲がもつコトバをどこまで理解できているだろうか。
    問題は、このマドロミという存在だ。
    私たちははじめ、マドロミとともに「俤」の中の「弟」を探そうと書道教室にするりと入り込む。
    そして、探るために、自分の言葉でこの集団の狂気を増長させていくにつれて、あることを知る。
    弟は、地下鉄サリン事件(そう言い切ろう)の犯人であった、と。
    書道教室に騙されていた、殺された、被害者の家族という立場から、
    結局最後に気がついてみれば自分は加害者の身内であり、
    また、自分さえあの事件を増長させていった人間の一人へ。
    私たちは、間違いなくつきつけられている。
    お前は、まだ目を覚ましたくないのか?
    まだ、それでもまどろんでいる気なのか?
    批判するその言葉、慰めのその言葉一つ、すべてに責任がある。
    「幼い」では許されないのだ。
    幼くてもいーじゃん!な論調に断固としてNOを突きつける。
    勇気のいる話でもあると思う。
    マドロミは私たちだ。
    自分は、あの集団の狂気と、この社会で起きているできごとと、
    それらを傍観しているだけの存在で、まったく関係がない、
    と心のどこかで思っている私たち全てのことだ。
    私たちは、今起きている何事とも無関係ではない。
    一人一人が自分の問題として、引き受ける必要性のあることだらけなのだ。

  • 『ザ・キャラクター』ギリシャ神話と現実が曖昧に絡まり、26年前に起こったあのカルト事件に繋がる。コメディで始まり、シリアスで終わる。独特な漢字の言葉遊びやドタバタ感、演劇でないとニュアンスを捉えきれないので映像が観たい。意図せずして3日前が丁度あの日だった。

  • テンション高い戯曲集。ギャグは面白かった。台詞のテンポもよかった。
    言葉遊びと風刺に偏りすぎて肝心の中身は?。

  • 信じるって何なんだろう。

    ザ・キャラクター。最初は笑えるのに
    だんだん笑えなくなっていく。何かにはまっていく
    時というのは、快感も常に伴わなきゃダメなんだなって、
    読むという客観的行為によって再認識。

  • やっぱり野田が好き。

    野田の戯曲を読むと、日本語を改めて好きになる。

  • 「ザ・キャラクター」「表へ出ろいっ!」「南へ」収録。
    冒頭「ザ・キャラクター」公演パンフレット収録の「世界に通用しないモノを創る」という文を読んで、自分が日本人であり、日本語のおもしろさがわかり、その上でこのような作品に舞台で、さらに文面でふれることができる喜びをあらためて感じた。「表へ出ろいっ!」だけ舞台で観なかったのが、戯曲を何度も読むたび悔やまれる。

  • 「ザ・キャラクター」「表へ出ろい!」「南へ」の三本立て脚本集。「ザ・キャラクター」が一番面白かった。「南へ」を観に行きたかったので、購入。(もう公演は終わってるので。。)野田秀樹、初めて読んだけど、結構面白かったから、ぜひ公演に行きたい。

  • 11.4.20 忘れてた! 11.5.1~

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著者プロフィール

2018年10月現在
東京芸術劇場芸術監督、多摩美術大学教授。
劇作家・演出家・役者。

「2018年 『野田秀樹×鎌田浩毅 劇空間を生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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