君とまた、あの場所へ: シリア難民の明日

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著者 : 安田菜津紀
  • 新潮社 (2016年4月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500315

君とまた、あの場所へ: シリア難民の明日の感想・レビュー・書評

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  • それまで関わりのなかったシリアと「あしなが育英会」の企画を通じて関わるようになった安田さん。2008年初めて訪問して以降、これまで出会った人たちの暮らしや思いによりそったPhotoレポート、先日参加した講演会で購入して読みました。

    講演を聞きながらとても考えさせられた〈「ともに生きる」とは・争いに何故手をつけてはいけないのか〉等々と、誰が彼らをこのような状況に追いやっているかを深く考えないといけないと思いました。「ねえ知っているかい?僕らはチェスの駒なんだよ。チェスって駒ばかり傷つくだろ?そしてチェスを動かす人間たちは、決して傷つかない」と安田さんがシリアに関わることになったアリさんの言葉が印象的でしたし、ひとり一人の人間として尊重されない流れに強い憤りを感じました。決して、日本とは無関係ではないことも…。

    写真ってすごいですね。いろんなことを語りかける力を持っていることを改めて感じました(やってみようかな)。

    サンデーモーニングにコメンテーターとして出演されている時も、とても鋭い指摘をされていることに感心しています。これからも頑張ってほしいなと思います。

    お勧めの一冊です。

  • 「ねぇねぇ。こんな綺麗な場所、どうして壊しちゃうの?」

    「シリア難民についての話をして欲しい」との要請で宮城県の小学校
    に招かれた著者は、内戦前のシリアの首都ダマスカスの風景を撮影
    した写真を子供たちに見せた。

    その時に1年生の女の子が発したのが上記の質問だ。誰が答えら
    れるだろう。政府軍も、反政府勢力も、そしてISもきっと答えられない
    だろうと思う。勿論、私もだ。

    内戦前のシリアはイラクからの難民を受け入れていた。その国が今度
    は多くの難民を出す国になってしまった。

    2015年9月。シリアから逃れようとしてトルコの海岸に打ち上げられた
    3歳の男の子の遺体の写真は世界に衝撃を与えた。日本のメディアで
    は遺体部分にはモザイクがかけられていたが。

    カタールのテレビ局・アルジャジーラのニュース番組では空爆で破壊
    された街の風景や、怪我を追った小さいな子供を抱きかかえ泣き叫ぶ
    父親の映像が流される。日本じゃほとんど報道されないが。

    誰もが元から難民ではなかった。故郷があり、暮らす街があり、家族
    があり、生活があった。それなのに日本では難民を揶揄するイラスト
    がネット上に出回り、少ない数の人々が共感しているという現実もあ
    る。

    著者の安田氏はフォトジャーナリストだ。まだ若い女性なのだが、
    彼女の作品は目の前の対象に向き合った温かさを感じさせる写真
    が多い。

    写真と文章で、ヨルダンの難民キャンプで暮らす人々の日常をレポー
    トしている。残酷な写真は一切ない。否、ヨルダンの病院で怪我の
    治療をしている子供たちの写真は、内戦の残酷さを伝えてはいる。

    日本から遠い中東で起きていることは、国内メディアが報道しなけれ
    ば私たちは忘れがちだ。ISによる邦人2人の殺害、トルコの海岸に
    打ち上げられた男の子の遺体。それらは一定の期間、強烈な印象を
    残す。だが、時間が経てばシリアが今でも内戦中であることは忘れ
    てしまう。

    故郷を離れて暮らさざるを得ない人たち。なかには難民キャンプで
    生まれ、故郷を知らぬ子供もいる。シリアに平穏な日々が訪れるの
    は、いつになるのだろうか。

    帰りたいよね。そこが隣国の難民キャンプでも、子供たちの笑顔の
    なんと美しいことか。彼ら・彼女らが、シリアに戻れる日が来ることを
    強く、強く願わずにはいられない。

  • 《この本を選んだ理由/おすすめコメント》
    若き女性ジャーナリスト・安田菜津紀が収めた難民国の素顔です。
    (現代政策学部)

  • 表紙はヨルダンにある学校の
    シリア難民、ヨルダンの子どもたちです。

    世の中、見落としてはいけないこと。
    それはニュースにもならない、
    無視されていることです。

    シリア難民だからシリアの国の人たちと
    思ってはいけません。
    イラク戦争やISの支配により
    イラクのシーア派の人やクルド人の方々が
    シリアに流れてきたことを。

    そしてシリア自体も
    アサド政権、反体制派だけでなくISの侵攻
    加えてロシアなど他国の空爆で
    結果的には全てを引っくるめて
    難民が増えてしまった、この無情さ。

    メディアではトルコを経由して
    欧州に押しかけている姿ばかりが流れてますが
    ヨルダンにも難民の方が入ってきてます。

    さすれば、ヨルダンの人たちは
    治安が悪くなる、仕事が取られると思い込み
    両国の国民同士に溝ができてしまう悲しさ。

    でもNGOの職員さんの頑張りもあり
    大人同士がいがみ合っていても、
    表紙のように一緒に楽しんでいる姿には
    安堵感が。

    本を通して、何も罪もない人たちが
    紛争に巻き込まれ、帰らぬ人や
    家族バラバラ、大きな怪我を抱える人ばかり。

    読んでいて重たかった、この一言です。
    イラクでの戦争続きで難民になったアリさんの
    『チェスの駒』という言葉は忘れられません。

    そんな中、安田さんが久しぶりに再会した
    アリさんの、これからを諦めないという
    意志の強さには救われたかも。

    安田さん、いつも世界を走り回りながら
    知らないことを伝えてくれて
    心より感謝いたします。

  • 新聞でも取り上げられない、現地の生の声、現地に深く入っていった人が拾い上げてきた、
    実情にも目を向けないといけないと思った。

  • カメラを手に取りシャッターを切る者が感じる苦悩、福島菊次郎さんや広河隆一さんとも共通するが、それでもシャッターを切り続けていくしかない。
    安田菜津紀さんの優しさが伝わる、非常に読みやすい本でした。

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君とまた、あの場所へ: シリア難民の明日の作品紹介

最初から難民だった人はいない! ファインダー越しに見つめた、難民たちの真実。一瞬にして家族を、生活を、故郷を奪われた人々――残酷な映像ばかりが注目される中、その陰に隠れて見過ごされている難民たち一人一人の“今”にフォーカス。彼らの「置き去りにされた悲しみ」に寄り添い、小さな声に耳を澄ましながら、明日への希望を託してシャッターを切り続ける若き女性フォトジャーナリストの渾身のルポ。

君とまた、あの場所へ: シリア難民の明日はこんな本です

君とまた、あの場所へ: シリア難民の明日のKindle版

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