最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

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著者 : 二宮敦人
  • 新潮社 (2016年9月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103502913

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最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常の感想・レビュー・書評

  • 世界最高水準・日本最高峰の芸術専門大学である「東京藝術大学」に通う学生たちとの対談をまとめたもの。

    普段はなかなか知りえない藝大の内側を垣間見ることができて素直に面白かったです。自由な校風と恵まれた環境、限られた時間とお金を存分に駆使して、全力で何かを表現しようとする学生たちの姿がそこにありました。本書では確かにななめ上の行動も多々紹介されているのですが、それぞれ自己実現に向かって真摯に取り組む真面目な人が多い、という印象です。

    奇人変人当たり前、非凡な学生たちをドーンと構えた懐で抱えている藝大。
    支えはするが後押しするわけでもなく、全力で向かってくる者を全力で受け入れ、指導するというよりは背中で魅せる鬼才溢れる教授たち。
    そして音校と美校、個々で並外れた技量を持ちながら互いに個性を認め合う学生たち。
    ゆるく正しく構成されたこの世界から秀でた才能が生まれ、それを今後も各分野で遺憾なく放出してくれると思うと、なんとなく日本の芸術分野は安泰だなと思ってしまうのです。

    来年は学祭にお邪魔してみようかな。半分は純粋な魅力と、半分は怖いもの見たさで。

  • 予約本。ふざけてやるのではなく本気。常にピュア。真剣でマジメなところに驚いた。みな学長みたいに「愛だ!芸術は爆発だ!」的なものを思っていたけど、離れたくても離れられないとか、芸術の方から選ばれたり、呼ばれる何かがあるのかもしれない…そう感じた。ブラジャー・ウーマンが苦しそうで切なかった。才能があるというのも大変なんだな。

    自由、才能があふれて天才、神みたいな天才が多いんだろうなぁ…と勝手に思っていたけど、才能とやるべきこと、向かう方向性などと常に押し合いへし合いしていて重圧に苦しくなったりするんだなぁ…と。著者の奥さまが個性的で、妙に落ち着いていて素敵でした。あと学園祭楽しそう!読んでいてちょっと自由の風を感じた。

  • 凄過ぎる、凡人の私には何度も読み直さないとうまく受け入れられない。
    とにかく藝大に行ってる方々は自分が何をしたいのか、早いうちから出来上がってて、もちろん行きながら模索してる人もいるだろうけど、脳の使い方が違ってる気がする。
    天才たちの集まり。そんな藝祭に行ってみたいものだ。

  • 藝大生の妻をもつ著者の東京藝大潜入レポート。
    ネタ本かと思っていたら、取材やインタビューに基づき、藝大生のリアルな姿を教えてくれる1冊でした。

    多彩な専攻があることにびっくり。
    作曲、音響心理、アートマネジメント、舞台芸術…など何でもありの音楽環境創造科。
    言葉で音楽を表現するための知識を身につける楽理科。
    「芸術大学」という言葉から想像していた以上に、さまざまなジャンルを学ぶことができる場であることを知りました。

    印象的だったのはインタビューに答えている学生さんたち。
    目標に向けて邁進する人もいれば、将来に対して悩みを抱えている人もいる。
    ものづくりや音楽の才能がある人は特別だ、と思いがちだからこそ、本書に描かれていた「普通の若者」の一面に親しみを感じました。

  • あの東京藝大のルポなのだからして、もう興味津々。確かに「秘境」と言ってもさほど大げさではない気がするほど、実態が見えない大学だ。いったいどんな天才奇才たちが生息しているのか?

    さぞかし変わった人がいるのだろうという予想は、半分当たりで半分外れ。確かに、いやもう天才と呼ぶしかないよねという優れた才能の持ち主や(「口笛で藝大に入った」人がいる)、ちょっと他ではお目にかかれないファッションで構内を闊歩する人とか(この女性が一番のインパクトだった)、すごいわ~としか言いようのない方々が次々出てくるのだが、トータルな印象としては、多くの学生が真面目で真摯で、「普通の」若者なのだと感じた。

    一般人から見れば抜きんでた才能を持つ藝大生も、その道のプロとして生きていくのはとても難しい。それでも一生懸命制作や練習に打ち込む姿に心を打たれ、「珍物件」拝見、という最初の気持ちは、読み進むにつれてすっかりなくなった。若者がひたむきに何かに取り組んでいる姿って、本当にいいものだとしみじみ思う。

    音楽・美術それぞれに、思っていたよりもたくさんの学科や専攻があることにも驚いた。ピアノや油画のようなメジャーなものと並んで、古楽や三味線を学ぶ学生や、「先端芸術」という、何それ?という学科も登場する。なかなか内側を窺い知れない大学だけに、非常に興味深かった。



    ・これは是非見たい!と思ったのが、学園祭である「藝祭」。1年生による神輿パレードは、ニュース映像でちょっと見たことがあるが、やはり実物を拝まねば。

    ・東京藝大の入試はすさまじい倍率だが、国立なのだからしてセンター試験も受けねばならない。以前から成績も良くないと合格しないのだと思っていて、そこがまた藝大の値打ちをいや増すものだと有り難がっていたが、実技がずば抜けていたらそれで通ると書いてある。え~、そうだったの。

    ・友人知人で東京藝大出身者は一人だけ。楽理科卒の彼女の結婚披露宴で、声楽科卒の友人が歌声を披露してくれた。曲は「イッヒ・リーベ・ディッヒ」。みんな、もううっとり。次に指名された新郎側の友人が「新婦が藝大の人だとは知らなくて…僕も歌を歌うんですけど…スミマセン」と恐縮していた。彼が何を歌ったかは忘れた。

  • 話題の本。
    一般的な大学生活とは懸け離れた東京藝大の学生たちの日常に迫るノンフィクション。
    タイトルはキャッチーだが、取材者である著者の真摯さに支えられた好著である。

    東京藝大は芸術系の大学の最高峰といってよいだろう。
    数多くのアーティストを輩出してきた殿堂。
    しかしその内情は、外部の者には窺い知れない。

    著者の妻は彫刻科に通う藝大生であり、著者はホラー小説やエンタメ小説を書く作家である。
    奥さんとの日常は不思議に満ちている。テーブルを自作したり、自分の体で型を取ったり、家に「生協で買った」というガスマスクが置いてあったり。奥さんネタだけで1冊本が書けそうなくらいだが、その奥さんの伝手で、著者が藝大のあちこちを見学し、何人もの人にインタビューしてまとめたのが本作である。

    まず、藝大には音楽を専攻する音校と美術を専攻する美校があり、各々のカラーがかなり異なるという観察がおもしろい。ざっくりいうと、音校は洗練されてスマートかつ勤勉、美校は型破りで何でもありな破天荒タイプが多い。

    藝大は難関というが、具体的にどう難しいのか。センター試験で高得点が必要だというわけではない。建築系やデザイン系など、センター試験である程度の点数を取る必要がある学科もあるが、センター試験が散々でも、実技試験が好成績であれば入れてしまう学科が多い。だがその実技試験が桁外れである。「人を描きなさい(時間:二日間)」「自分の仮面をつくりなさい」「自己表現しなさい」といった難問が出される。もちろん、「模範解答」などない。採点者の教授をいかに唸らせるか、表現者としての力量が問われるわけである。

    狭き門をくぐって入ってくる学生たちはそれぞれユニークである。
    口笛を楽器としてクラシックに根付かせたいと思う者。グラフィティアートに没頭した後、ホストクラブで働き、結局日本画がやりたいと藝大を目指した者。絡繰り人形を作りつつ、漆を学ぶ者。
    理論派。感性派。情熱家。天才肌。
    カラーもそれぞれだが、彼らに共通するのは、「自分にとっての芸術」を突き詰めようとする姿勢だ。

    破天荒に見えても、楽天的に見えても、その戦いは厳しい。おいそれと自分のやりたいこと、すべきことが見つかるはずもない。
    奮闘し、あがき、空回りし、中には自分を見失うものもいる。
    厳しい戦いを勝ち抜いて入学したはずの藝大生だが、卒業生の半数程度が「行方不明」という。フリーターになる者。旅に出る者。バイトをしながら目が出るのを待つ者。失踪する者。
    多くの者の「敗北」が積み重ねられ、数年に一度、「天才」と目される者が出る。累々たる屍の上に、時折、栄光が煌めく。

    藝大のあちこちに目を見張り、多くの藝大生の声を聞く著者のまなざしは、一貫して素朴な驚きに満ちている。揶揄する姿勢がないのが好感を持って読めるところだ。
    それは、著者自身が、フィールドは違えど、やはり表現者であることによるところが大きいかもしれない。
    そのまなざしは、「人にとって芸術とは何か」という、深い問いを孕む。

    終盤近くに触れられる、学園祭「藝祭」の様子が圧巻だ。まさに爆発。これぞ混沌。
    尖り過ぎて自分にはまったく理解不能ではないかと危惧しつつ、若き才能の片鱗に触れに、いつか覗きに行ってみたいような気もしている。

  • 高校のとき、まじめに受験勉強する私の隣でずーっとデッサンばかりしてた友達が三浪して行った東京藝大。今は誰も消息を知らない彼女を思い出してつつ一気に読んだ。お昼抜きで。

  • 高校一年の娘が、芸術コースを選択したいと言ってきたので、どうも売れてるそうでもあるこの本を手に取った。それまでは、藝大が音楽コースと美術コースの両方あることも初めて知った程度の知識。いまだにどこにあるのかわかってないけれど。

    藝大生(彫刻専攻)を妻に持つ小説家が、妻の伝手もあって藝大生へのインタビューを行ってその内容をまとめたもの。表紙や煽りからもっとはっちゃけているのかと思ったけれども、インタビューを受けてくれるような学生はまだまともな人たちなのか、飛んでいる知り合いの話は出てくるけれど、本人はいたって真面目な人が多い。もちろん、専攻する分野に関して究めるためにはある種の真面目さが必須の要件なのだろう。

    これだけ切望する人がいるところで短時間の受験で合否を決めるのは大変というか何か問題ありそう。それでも口笛で入学したという人もいたりするのは、フレキシブルな入試制度が必要だということなのかも。

    娘は藝大志望ということではなさそうだけれど、希望しているいわゆる美大も面白いのかもしれない。現実的にはこの本にも出てきたデザイン科であれば、仕事には困らなそうだし。そもそも娘が何をしたいのかわかってないんだが、何より楽しそうだ。最後に書かれた音校と美校が交わって協力して何かをクリエートしていく状況は、大学の意義というか、やはり素敵であると思った。

  • 日本の芸術教育機関の最高峰である東京芸術大学。
    そこに憧れる芸術家の卵は日本中にいるため、とてもハイレベルであり、入るのがとにかく超難関。
    何浪もする人が多いということは良く知られています。

    ただ、その狭き門を通ってからの学生たちのキャンパスライフについては、謎に包まれていました。
    この本は芸大生を妻に持つ著者が、その不思議さに目を留めてまとめあげたルポルタージュ。芸大生たちは、普通の大学生から見ると確かにずいぶんサイケデリックな日々を送っています。

    音楽と美術に大別される芸大。さらに14学科に分かれた多くの学生たちの話をまとめ上げているため、混沌とした内容になっています。

    入学時にすでにその芸術性を認められている学生たち。
    一人前の芸術家となるべく、大学ではその才能を磨き、高めようと、彼らが日々努力している様子がうかがえます。

    学生へのインタビューから、芸大生の特殊性が見えてきます。
    コンクールの前に掌一杯の砂糖を食べるピアニストや、卒業制作用に60万円くらい貯金をする漆芸専攻者、親の期待に応えて芸大を卒業し、その後はきっぱり別の道を行く人など。
     
    著者の妻は、入試の際、6時間のデッサン試験途中でおなかが空いたため、トイレに行ってソーセージを食べたそうです。
    「トイレにはたばこ禁止とは書いてあったけど、おやつ禁止とは書いてなかったから」だそうですが、そこまで過酷なのかという驚きと、そうやってしのいだのかという驚きがないまぜになりました。
    カンニングができない実技試験だからこその話でしょう。

    ピアノ科の学生が、一日ピアノに触らないと、三日戻るというのはわかりますが、それだから旅行はせいぜい一泊二日しか行けないというところも驚きました。
    みんな、自由にのびのび過ごしていそうですが、実際には楽しみを削って自分を高めるために一心に努力を重ねているわけですね。
    そのプロ精神には頭が下がります。

    芸術をいかに自分らしく表現していくか、様々に研究を重ねる様子は、端から見れば突飛なことをしているようでも、本人は至って真面目。
    奇をてらっていないからこそ、端から見ると変人めいても見えるのでしょう。

    そんな風に努力を重ねながらも、実際にアーティストとして名を馳せられるのはほんの一握り。日本一の芸術の殿堂を卒業したとても、その後ほとんどがフリーターになってしまうというという厳しい世界が待っているとのこと。
    将来が見えない不安と日々闘いながら、自分の感性を頼りに修練を重ねる彼らの努力が実を結ぶことを願わずにはいられません。
    それにしても、専門性の高い人って、味があっておもしろいものですね~。
    なかなか芸大に比するところはないものの、ほかの大学の専攻学科の学生の話も読んでみたいものです。

  • トライアングルは誰がたたいても同じ?
    棒がざっと十本

    金槌の頭、自分で加工する

    音校と美校も違い
    就職するのは「マケ」
    ダメ人間製造大学

    面白かった

    漆の人、バレーボールのトスで他人がかぶれる。
    かぶれは友達
    口笛は倍音が作れない

  • ああ、こんな生き方もあるのねって、ワクワクしながら読み進めた。当方、アラフォーのしがない会社員。それなりに社会人やってると、常識ってものに蜘蛛の巣みたいに絡め取られて、がんじがらめになって、毎日の生活に閉塞感感じて行き詰まりそうになる。それにひきかえ、常識なんてちっとも気にして生きてない子たち、読んでいて清々しい。
    むしろ変に賢くて受け身で定型的で将来に打算的な若者が多くなる中、こんな子たちもいるんだなぁと、頼もしく感じた。将来のビジョンはフワフワしてるけど、純粋に分かりたい、知りたい、やってみたい、からの創造とか。かけねなしの情熱が眩しい。そう、きっと文化文明ってそういう人間として自明の衝動から生まれてきたし、これからもこういう実学じゃない教育機関って、いやむしろ、今だからこそ必要だなぁと。
    辛口レビューも多いみたいだけど、もちろんこの本で紹介された子たちが藝大生の全てじゃないけど、知らなかった世界が少し垣間見れて、私は満足。

  • 爆笑だわ、コレ。

    おもしろかったー!
    2017一発目がこの本で、正解!

    自分のカフェに置きたい本

    進路を決める前の中学生や高校生に読んでほしい本

    著者の表現が上手。”最後の一押し”がほんとに上手。
    →学ばなきゃっ!


    24 美術は肉体労働

    32 音楽での練習は個人単位

    藝大のオルガンは、奏楽堂のは値段が億単位。

    34 音楽はその場限りの一発勝負

    美術はみんなで一緒に並べて展示ができる

    35 美術の作品はずっと残る。今評価されなくても、いつかされる可能性も。残り続けられる。

    47 音楽は、藝大在籍中お教授に教えてもらうのが当然。
    →そりゃ、どこの世界でもそうだよね。

    親が本気じゃないとダメ。

    49 演奏家は体力勝負
    →芸術全般そうだよね。

    70 好きという気持ちが生み出す無尽蔵のエネルギー

    76 振り払おうとしても付きまとってくるもの

    77 楽理科にコンサートの代表や企画の仕事が回ってくる

    100 本番は年に50回ぐらいある。

    112 人が芸術に触れる時、時間の流れは普段と少し変わってしまうようだ

    117 指揮者に最も必要なのは人間力

    118 『100人いたら、100人が好きになってくれることは無い。だが、100人がこちらを嫌うこともない』

    125 鍵盤の場所はもう全部覚えてますから、目が見えなくなっても弾けますよ。

    126 耳で聴けば大丈夫です。

    ★ 141 彫金科生は毎日相場をチェックしてる!

    165 小坪さんは、元ユーフォニアム奏者。だが、コントラバスを選ぶ。低音が好き過ぎて、グイグイと。。。

    184 声楽は体が楽器。人の体の中の空洞を震わせて共振させるようにして歌う。

    185 人との距離が近い。物理的に。

    ★200 人って意味とか文脈抜きに『なんかいいぞ』ってシンパシーを感じることがある

    230 なくてもよいのに、なくてはならない。

    233 卒業後の進路
    進学と不明が8割を占める

    多くが目指すのは、作家。

    239 プロフィールに『●●氏に師事』と書くのは、音校の学生のみ。

    247 デザイン科は働くのが好きな人が多いですよ。お金を手に入れるのが好き

    稼いで使って、稼いで使って。

    286 美術と音楽は繋がっている

  • 東京藝大。
    どっちかというと音楽寄りなので、藝大というと手堅い技術だけれど面白みに欠ける演奏、頭もよくて、プライド高く、ソリストというよりはオケ職人系(褒めてます)の音校人を想像しちゃうのだが、つかみは美校彫刻家の著者の奥さんのエピソード。

    可笑しい。
    かなり変だ!
    こんな方と結婚している著者さんもスゴイ !!

    で、美校・音校まんべんなくインタビューしたものを編集してある。
    ユルめの美校、
    堅い音校 という大雑把な性格描写から、それらを端から見つめプロデュースに徹しようとする人、有機的に繋げていくアイディアをひねる人、ビジネスとシッカリ繋がっている人、だいぶ精神的な辛さを抱えていそうな人、人、人。。

    本書に登場する人達は、かなり芸術家気質の高い人たちだろうか。
    例えばインタビューに答えるのにも数分考えこんでしまう、そんな描写もある。
    自分の胎内に宿している精神を見つめ続ける哲学的な真面目さを感じる。

    人間が人間である理由は何なのか?
    稼いで食べていくためではなく、人間の人間たる由縁を追求せずにはいられない、そういう姿勢に素直に感じいる、そんな文章が好感度高い。

    なるほど、これは今年の一冊ですね♪

  • テレビ等でも紹介されていた本書は、東京芸大の知られざる学生たちにスポットを当てた1冊。

    これを読んで初めて、藝大は国立の大学で東大よりも倍率が高く、天才が溢れている大学なんだと知った。

    まず「はじめに」で著者の妻(芸大生)のエピソードがすでに面白い。木彫りで陸ガメをつくり、フェルトを貼ろうとしている。「座れたら楽しいからねぇ」という妻と、それに心の中でツッコむ著者が秀逸である。

    音楽学部である音校と、美術学部の美校からなるのが藝大で、道路を挟んで向かい合わせに両学部があるらしいが、すでに入っていくファッションで違いがわかるらしい。演奏会のために普段からヒールを履いたり、きれいめな格好をしている音校と、ジャージやつなぎ、飾り気のない格好の美校。

    それぞれの学部の実情について、著者がインタビュー等をし、特徴やすごさを紹介している本だが、そのエピソードがどれも面白い(笑)

    一番印象に残ったのは、美校の人には「自分でつくる」という選択肢があるという話。p.40という序盤だが、住む家を考える際、賃貸か購入かという選択肢以外にも、「自分で作る」という選択肢がありそう、とのこと。(実際には訊いていないらしいが)

    最後の終わり方も、音校と美校で互いに尊敬しあってる「やっぱあっちの学部はすごい。天才」と言い合っているのが印象的で、いい化学反応が起きる大学なんだなと感じた。

  • ■概要
    入試倍率は東大の3倍。
    だが、卒業後は大半の者が行方不明となる東京藝術大学の、個性豊かな”天才”たちにスポットを当てたノンフィクション。
    作者の奥様が現役の藝大生ということもあり、彼女の学校の課題や、日常の話を聞いて面白いと思ったのが本作品を作るきっかけだそうな。


    ■考察
    藝術の世界は、自分の予想の、はるか上を行くものであった。
    学生も変なら、教授も変。

    知られざる藝術の世界を垣間見れる。面白い。

    とにかく貧乏時間にルーズ個性的でなんぼ!の美術側。
    裕福な家庭で時間厳守、絶対的な師弟関係が構築されている音大側。
    その双方を比較し、それぞれの違いを浮き彫りにしていくのが面白い。

    美術の方はやはり作品を主体にしている為、自分自身の”みてくれ”に関して興味が無いのだろうか
    一方音大の方は学生時代から舞台に立って演奏する経験があり、音楽を聴く=演奏者を観るが関連しているため自分を磨くことを怠らなくなるのだろうか

    個人的な気持ちとしては、藝術を表現する為に何でもありな破天荒な美術側が好きだと思った。

  • 芸術を学ぶって、もっと静かな感じを想像していた。
    ここに描かれる藝大生は、アグレッシブで、真面目で、時に本気で変な事する楽しすぎる人たち。
    きっと普通の大学生とは、視点も考え方も違う。
    怖いくらいに自由。
    きっと、こういう人達が、世の中をちょっと豊かにしていくんだろう。

  • はじまりの面白さに引き込まれて読み始めた。美大と音大の違いや繋がりが書かれておりわかりやすい。序盤の勢いが後半に薄れているが、普段触れないアーティストの学生生活が垣間見れ、興味深く読めた。

  • 入試倍率は東大より高く、卒業後は行方不明者多数、成功するのは10年に1人、ダメ人間製造大学と揶揄され、しかしそこは芸術の最高学府・東京藝大。猫友ちゃんの妹が藝大生、その彼も藝大院卒、ポツポツ聞く謎に満ちた藝大の日常です。今年、フリマ出店するとのことで、始めて藝祭に行きましたが衝撃的でした。作家の二宮さんが、現役藝大生である妻の紹介で藝大に潜入、藝大生への取材をもとにした摩訶不思議な世界の見聞録です。凄い、おもしろい、カオス、さすが藝大。

  • 「最後の秘境」「大人の幼稚園」、いろんなコピーがありますがとにかく楽しそうです。美校、音校、まったく文化が異なりますが、それぞれをお互いに尊重している態度が素敵です。

  • 自分の道を突き詰める。ダメ人間製造大学?
    卒業後、就職は1割未満。半数が進路未定。4割が進学。

    音楽環境創造科 2002年~
    2014年国際口笛大会チャンピオン.
    2次試験でモンティのチャルダッシュを口笛で演奏。
    クラシック音楽に口笛を取り入れたい。
    吸っても音が出るので、息継ぎが要らない。
    グリッサンドできるのが弦楽器的だが体で音を響かせる管楽器的でもある。
    欠点は音が小さい。倍音が出ない。

    器楽科
    バイオリン奏者は骨格が歪んでいる。
    顔の左右が非対称に、歯並びが悪くなったり、足腰の左右のバランスが悪くなり、バイオリンを体の一部にしていく。
    小さい頃から始めるのは体の理由もある。

    古楽科
    古楽のバイオリンは弦が羊の腸で出来ている。野性味のある音が出る。
    今の楽器よりも生身の人間に近い。

    工芸科
    鍛金の技法「煮色着色」 
    銅板で作ったものを重層で磨いた後に、大根おろしをかけ、緑青や明礬などの薬品の入った鍋で煮込む。
    赤とオレンジの間のような色が付く。

    先端芸術表現科 1999年~
    何でもあり。
    3年からは年4回の講評以外、大学に来なくてもいい。
    病んでしまう人も。

  •  芸術界の東大と言われる東京藝大生の、カオスな日常ー。
    確かに個性的で、凡人には理解不能な光景もあったり、不思議の坩堝。

     藝大と言っても、音楽系と美術系ではいろいろと違う。
    音楽系は何となく想像できるところもあったりするけれど、身近ではない分、美術系の学生の話がとにかく面白かった。
    どれだけ手間暇がかかろうとも、ものづくりが好きなんだという思い。
    無いものは何でも、一から作ってしまおうとするところも素敵。

     音楽、美術双方とも、理想とするものを作り上げるためのこだわりと努力が熱い。才能に恵まれているだけではなく、努力しているのだなぁと、当たり前ながら思った。
    好きを極めるのは楽しそうだけれど、その道で成功できるのはほんの一握りの人だけ。それでもやりたいことのビジョンがあって、大学生活をとことん好きなことに集中して打ち込める環境には憧れる。きっと私のような凡人にはやり通せない世界だとは思うけれど。
    でも、実際にそのパワーに触れてみたいと思った。

  • とても面白かった。

  • 藝大生の妻を持つ筆者が、藝大に潜入。独特の校風と、個性豊かな藝大生に触れていく。
    学生(および卒業生)に対するインタビューが、濃い。就職率の低さに現れるように、普通の大学や会社にはあまりいないタイプ。何かを突き詰めようとする人たちの、深さや独創性。はっとさせられることも多く、面白い。

  • おもしろすぎる、不可思議な人々。

  • 藝大大学生にインタビューした会話をまとめたような本。藝大を紹介するという点でとても良いとは思うが、残念ながらせっかく面白い学生の話がインタビュアーの合いの手と”思ったことをだだ流し”に心底冷えた。そして読書テンポをシラケさせるというか、流れが分断されるように感じて勿体無いなかった。例えばとても素晴らしいテーマを扱う番組なのに、しょーもないコメンテーターが要らぬコメントをし、テレビ画面の端に内容には全く不必要な枠で囲われた窓にコメンテーターなどの顔が出てきて、さらにクイズで時間を浪費するという残念で悲しいテレビ番組のような感じ。しかもそのコメンテーターの訳のわからん日本語のコメントに日本語の字幕がつくという不思議さ。ま、そういうのがもてはやされているということは、、、悲しいことだと思う(私比)。話はずれたが、藝大はとても良い学校だと思っています。

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最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常の作品紹介

入試倍率は東大の3倍! 卒業後は行方不明多数!! 「芸術界の東大」の型破りな日常。才能勝負の難関入試を突破した天才たちは、やはり只者ではなかった。口笛で合格した世界チャンプがいるかと思えば、ブラジャーを仮面に、ハートのニップレス姿で究極の美を追究する者あり。お隣の上野動物園からペンギンを釣り上げたという伝説の猛者は実在するのか? 「芸術家の卵」たちの楽園に潜入した前人未到の探検記。

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常はこんな本です

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