最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103502913

作品紹介・あらすじ

入試倍率は東大の3倍! 卒業後は行方不明多数!! 「芸術界の東大」の型破りな日常。才能勝負の難関入試を突破した天才たちは、やはり只者ではなかった。口笛で合格した世界チャンプがいるかと思えば、ブラジャーを仮面に、ハートのニップレス姿で究極の美を追究する者あり。お隣の上野動物園からペンギンを釣り上げたという伝説の猛者は実在するのか? 「芸術家の卵」たちの楽園に潜入した前人未到の探検記。

感想・レビュー・書評

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  • ユーミンの本でユーミンが藝大に落ちたところを読んでいるタイミングではるさんのレビューを読みました
    こりゃあ呼んでるなと思いました

    僕ってこういう偶然を大切にするタイプの読書人なんです
    こう見えて

    いやぁ面白かった
    読んで良かった

    東京藝術大学のカオスな天才たちについては、他の素晴らしいレビュアーさんたちに譲るとして、自分はちょっと書き手に迫ってみたいなと思ってみました

    だってさ、めちゃくちゃ読みやすいのよ!

    インタビューを中心に組み立てられたノンフィクションなんだけど、読みやすさという点ではまさに出色の出来です
    小説家としてのスキルが随所に活かされていて物語を読んでいるようでした

    たんなるQ&Aじゃないんだよね

    人がきちんと描かれているし、情景の描写が確かなので場面を想像しやすい
    一方で言葉での表現はイメージを固定化させない
    補足説明も行間にするっと紛れ込ませているので邪魔な感じがしない
    人物の登場順もよく考えられていて、後から出てくる人や、再登場する人の言葉が物語を進める推進力になっていたり、軽い伏線になっていたり
    そして最後のまとめ方もきれいで納得感もあり爽やかさもある

    まさに小説でした
    ノンフィクション小説

    なんだそりゃ!

    それにしても、東京藝術大学…一度は行ってみたいな〜

    • ひまわりめろんさん
      読んだことないや
      ふーん、まぁ機会があれば…
      チラッと見たら『アフタヌーン』なのね
      『アフタヌーン』と言えばわいは『ガンスミスキャッツ』なの...
      読んだことないや
      ふーん、まぁ機会があれば…
      チラッと見たら『アフタヌーン』なのね
      『アフタヌーン』と言えばわいは『ガンスミスキャッツ』なのよね〜
      それこそ全巻持ってた
      2023/08/30
    • 土瓶さん
      おびの~りさんの言う通り!!
      ビシッ(効果音)

      「はちみつとクローバー」はずいぶん前に知人の女性に強く勧められて読んだけど、いまいち...
      おびの~りさんの言う通り!!
      ビシッ(効果音)

      「はちみつとクローバー」はずいぶん前に知人の女性に強く勧められて読んだけど、いまいちピンとこなくて、そう告げたら怒られた思い出が(笑)

      「ブルーピリオド」は最近八雲が主人公を食いそうな勢いで好感度アップ!

      そいて「アフタヌーン」といえば!!
      連載中のに限れば

       「ブルーピリオド」
       「フラジャイル」
       「ワンダンス」
       「おおきく振りかぶって」
       「スキップとローファー」
       「ヴィンランド・サガ」
       「来世は他人が良い」
       「メダリスト」

      好物ばかり。










      ん? 土偶???
      2023/08/30
    • ひまわりめろんさん
      たぶんおびーのリアルなお友だち
      たぶんおびーのリアルなお友だち
      2023/08/30
  • 読んでみて初めて東京藝術大学の面白さというか凄さがわかりました。
    東京藝大ってこんなところだったんだー!

    「普通の」学問や技術を身につける大学とは趣が随分と異なっていて、「芸術」を身につける大学ってやはり一味も違う「天才」たちの集団なんですね!(笑)
    しかも少数精鋭で、「大学」というよりも徒弟制度の集団がいくつも集まって構成されている組織みたいな感じになっていて、「芸術」とは古来より現代に至るまで少数相伝で担われてきたということがよくわかりました。
    文中に「東京藝大は芸術界の「東大」なのではなく、東大が学問界の「東京藝大」なのだ」という話がありましたが、古来の「芸」という観点からするとむしろこういう話もなるほどなあと。(笑)
    日本の「芸術」ってこういう人たちに担われていたんですね。学長が絶叫するのもよくわかります!(笑)
    とりあえず、大学祭には物凄く行ってみたい気になりましたよ。

    さて、本書の構成は、藝大生である著者の妻の行動が奇異であることに興味を持ち、藝大生に対して次々とインタビューをして得た奇天烈な思考や言動を載せるという形式でしたが、最初は面白いと思いながら読んではいたものの、結局、最後までこのスタイルのままだったので途中からこのスタイル自体に飽きがきてしまって、単調さが際立つ結果となってしまったのは残念この上ないです。
    素材が変わっていただけに、いっそさらに発展させて小説にしてしまった方が面白かったかもしれない。

    個人的な感じとしては、音大よりも美大の方に変人が揃っているのではないかな?(失礼!)

  • 美術作家、小説家、建築家、音楽家、演奏者、いわゆるアーティストと呼ばれる人たち。生まれ持った才能と感性を思うがまま使い慣らし、これからフリーダムに生きてくであろう天才の雛集団が藝大なのかなと勝手に思っていた。

    とは思ったけどそうでは無いようで。

    薬剤を使うせいで肌荒れが酷い美校生、家が買えるくらいの楽器だけでなくパフォーマンス用のドレスを何着も用意しとかなければいけない音校生はジリ貧生活強いられてたり…と、知らない日常、美大生ならではの苦悩があった。

    色んな制約があってその中でベストを、理想を、面白さを、自分を、追求し続けている人。
    それが藝大生であり、藝大に関わらずスポーツやビジネスで天才と呼ばれている人たちの共通点なのかも。

    じゃあ普通の大学行って一般企業に就職した人は凡人でなんにもないのか?
    そういえば、同じように、人間関係とかお金とか仕事で毎日悩んでる。

    人生も、音楽や美術のように正解がないのなら、
    生きてる限りみんなアーティストじゃないかと。

    我慢とか諦め、ではなく、どうしたら?を問い続けながら、工夫する。楽しくちょっと自由に日常を捉えるヒントを貰えた気がした。

    __________________
    King Gnu井口理さんが出てきてびっくり!!
    藝大声楽科だったんですね!?知らなかった〜!

  • 学生時代の井口さん(King Gnu)が載ってると知り手に取った。

    確かに「秘境」だった。
    日本の、そして有名な大学なのに
    まだまだ知らない世界が溢れてるんだなあと思った。

    音楽学部と美術学部で全然雰囲気や人の系統が違って
    考えていることも経歴もさまざまで特殊で
    だけど1人1人ちゃんとした人生のヒストリーと今後の方針の軸をしっかりもっていて。
    面白いなあと思った。全員、青春してるなあ。

    そして後半に井口さん登場。
    一番チャラいと言われている声楽科。
    恋愛を歌うオペラで、気持ちをいかに声で伝えるか。そして何ヶ国語をあやつり表現するか。
    ポップス方面で活動したいなとすでに言いつつ、「声楽科の人がJ-POPを歌うとやっぱり変です」って言っちゃっている…
    (あと声楽科のチャラさについても。笑)

    当然かもしれないけれど、やっぱり人を魅了する人ってすごい努力をしてきたんだなあと。
    かっこいいなあ。

  • 思わず一気読みしてしまった。
    この作品で初めて東京藝大の存在を知ったが、こんな大学が日本に存在したのか!と、とても衝撃だった。
    自分の大学生活がいかに平凡なものなのかと感じた。

    この作品には「やりたい」ことに真っ直ぐな人たちがたくさん出てきた。私自身もやりたいこと、興味があることは多い。しかし、何も行動できていないのが現状。
    でも、この作品を読んで、何か1歩踏み出した先にこんなものがあるのかとワクワクした。

    また、最後の方に出てきた東京藝大の学園祭「藝祭」に是非とも行ってみたいと思った。

  • 藝大生の妻をもつ著者の東京藝大潜入レポート。
    ネタ本かと思っていたら、取材やインタビューに基づき、藝大生のリアルな姿を教えてくれる1冊でした。

    多彩な専攻があることにびっくり。
    作曲、音響心理、アートマネジメント、舞台芸術…など何でもありの音楽環境創造科。
    言葉で音楽を表現するための知識を身につける楽理科。
    「芸術大学」という言葉から想像していた以上に、さまざまなジャンルを学ぶことができる場であることを知りました。

    印象的だったのはインタビューに答えている学生さんたち。
    目標に向けて邁進する人もいれば、将来に対して悩みを抱えている人もいる。
    ものづくりや音楽の才能がある人は特別だ、と思いがちだからこそ、本書に描かれていた「普通の若者」の一面に親しみを感じました。

  • 世界最高水準・日本最高峰の芸術専門大学である「東京藝術大学」に通う学生たちとの対談をまとめたもの。

    普段はなかなか知りえない藝大の内側を垣間見ることができて素直に面白かったです。自由な校風と恵まれた環境、限られた時間とお金を存分に駆使して、全力で何かを表現しようとする学生たちの姿がそこにありました。本書では確かにななめ上の行動も多々紹介されているのですが、それぞれ自己実現に向かって真摯に取り組む真面目な人が多い、という印象です。

    奇人変人当たり前、非凡な学生たちをドーンと懐で抱える藝大。支えはするが後押しするわけでもなく、全力で向かってくる者を全力で受け入れ、指導するというよりは背中で魅せる鬼才溢れる教授たち。そして音校と美校、個々で並外れた技量を持ちながら互いに個性を認め合う学生たち。
    ゆるく正しく構成されたこの世界から秀でた才能が生まれ、それを今後も各分野で遺憾なく放出してくれると思うと、なんとなく日本の芸術分野は安泰だなと思ってしまうのです。

    来年は学祭にお邪魔してみようかな。半分は純粋な魅力と、半分は怖いもの見たさで。

  • 以前所属していたオーケストラでは指揮者が代々藝大の学生で
    彼らが友達でソリストを呼んで来たりしていたのでなじみ深い。
    音校生のエピソードは「うんうん」と何事も頷いてしまう。

    美校生のエピソードはどれも尖った話で面白い。日々アートですね(笑)

    藝大は定員も枠が小さいので東大よりはるかに難しいですよね。
    そういう意味では秘境と呼べるかもしれません。

    そんな藝大ですが就職は一握りで残りは留学や行方不明ってのが壮絶です。
    皆さん溢れるぐらいの才能あるのに勿体ない世の中だなあ。。。

  • 芸事(音楽・美術・表現その他を広く含んで)やってる人ってこうよね…分かる分かると頷きながら一気に読んだ。日本のように、実学優先主義で、これはこのように使える勉強です。お金になるよ、ってのでないと、「それで、それは何に使うの?」「それ勉強して何になるの?」しか言われない国だと、変人で括られて終わりだと思う。だがしかし、二宮さんの語り口は温かい。ご本人は一橋の経済卒、まあ手堅い人をいっぱい見てきて、藝大を見て…どっちも悪いものではないとご存知だからだろう。

    この大学で扱うことは、芸術を享受する側のひとに響かねば、どんなに良いものでも価値は発生しない。つまりあなたなり私が、ある作品やあるパフォーマンスを見ても、今日は「よくわからない」と首を傾げて素通りするかもしれない。しかし半年後に、全く同じものに触れたら、琴線に触れるかもしれない。読み直した本に感銘を受けたり、ふと目にした作品や音楽に感動したり…受け手の中で、心が動くきっかけが育って初めて、輝きがわかるものがある。そういうものだ。だから、「いついつこれに役立つ」と内容証明されていなくても、敷地内に転がる作品群が、無意識に学生諸氏の感覚を磨いているように、芸術って、一般の人がふと触れてみたくなった時、質の高い、美しいものが、無造作に楽しめないといけないのだ。

    誰だって、一曲の音楽に、コミックの感動に…彫刻の迫力に…映画や舞台に感動して、悩みから解き放たれたり、人生のあるきかたが変わった事があると思う。そういう、私達の隣りにある、非日常を創造してくれるのが、藝大の人々や色んな芸事に携わる、多くの人々。そう考えたら、彼らだけを奇人変人扱いは、ちょっと可愛そうかなと思う。私達と何が違うかって言えば、「やってる対象に、ぎゅっと人生を掴まれて、やらずにいられない」人だと言うだけのこと。数字や都合や常識でだけ割り切れない、飛び込むのは選ばれなければならない場所だけれど、そういう場所が世の中にあっても、私は良いんじゃないかと思う。突飛なことをしているように見える(ブラジャーウーマンのあたり)学生さんも、素顔は明晰で、決してイッちゃってる人ではない。危ないと言うなら、学外で事件を起こす人のほうがよほど怖い。単に、驚くべき行動の下の、思考がちゃんと理解できれば、彼らも私やあなたと同じ社会のひとりであると、ご理解頂けると思う。

    藝祭に行くも良いし、学生主催のコンサートや、大学附属の美術館やアートセンターに行くのもいい。無駄なものとか遠いものとか言っていないで、少しそこで生み出されるものに触れて、あなたが興味を持ったり、笑顔になったり…自分なりに挑戦して楽しんだら、それでいい。興味が湧かない?うん。別にいいのではなかろうか。あなたはまた別のことにご興味があるのかもしれない。それはそれで、素敵なことだ。

    何にせよ、藝大の扱う領域を目指したい人、どんなところなんだろうと興味がある方、ただ気になって読んだ…。どなたにも楽しめる聞き書きルポである。秋だし、お手に取られてはいかが?

  • 藝大出て直ぐに就職するのは1割らしい。就職するのは落伍者?芸術をあきらめ就職するしかなかったという理由で。
    確かに定年まで勤め上げるのが幸せという『常識』とは別の価値観なのだろう。
    考えていることがバカ過ぎて(しかも実際にやってしまう)ついていけないヤツが沢山いるみたいですね。
    充分異質なブラジャー・ウーマンはまだマシなほうなのか?
    入試問題「鉛筆、消しゴム、紙を使って好きなことをしなさい」で、合格を勝ち取った人の自画像の作り方。発想と実行力が天才!
    今年の春に金沢21世紀美術館に行ったが、意味不明な作品ばかりで「???」だった。
    美校の藝大生曰く「アートとは、知覚できる幅を広げ分かり合おうとすること。」らしいが、分かり合えそうにないと改めて思う。
    音校の藝大生曰く「音楽って生きるためにはなくてもいいもの。だけど、なくてはならないように発展してきた。」は分かる。
    9月初旬の藝祭。今年はチョットしたイザコザがあって警察が来たみたいですが、勇気を出して一度行ってみようかな。

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著者プロフィール

1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。著書は他に「!」「!!」「!!!」「!!!!」「暗黒学校」「最悪彼氏」(ここまですべてアルファポリス)、「占い処・陽仙堂の統計科学」(角川書店)、「一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」(幻冬舎)などがある。

「2016年 『殺人鬼狩り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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