五つ星をつけてよ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103504313

感想・レビュー・書評

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  • スマホやSNSをテーマにした短編小説集。
    送ったLINEがいつも既読スルーだから自分達は友達ではないと思っていた女子高生の話。
    夫に先立たれ子ども達が巣立って残された時間を手作りジャムをブログで紹介することに捧げている老女。
    自分で撮った空の写真をSNSに投稿することで現実逃避している青年。
    誰かの評価を確認してからでないと自分で好きなものが選べなくなってしまった女。
    会ったこともない男に恋をしてしまった中学生女子。
    引退したアイドルのブログにアンチコメントを書き込んだり、書いてあるアンチコメントを読むことに生き甲斐を感じている人々。

    どれもスマホの世界、一歩間違うと怖いんだな、でも読後感が良いものが多いかな…と思いきやジャムの話!!

  • ビブリオバトルチャンプ本('18.4 教員大会)

  • 今や生活、人間関係に欠かせないインターネット絡みの短編集。『キャンディ・イン・ポケット』..1番爽やか。女子高生の友情話。『ジャムの果て』..1番お気に入り。こんなオカン嫌だ。ちょっと可哀想だけど自業自得か。『空に根ざして』..1番イラついた。こんな彼氏嫌だ。『五つ星をつけてよ』..1番しみじみした。依存しがちな主人公が1歩踏み出せたのが嬉しい。『ウォーター・アンダー・ザブリッジ』..1番中二病を拗らせている。中二の話だけど。『君に落ちる彗星』..1番冴えない話。総括:どれも安易な展開ではなく面白い!!

  • おもしろい!!とはならないけれど、じわじわと心を抉ってくるタイプ。
    五つ目の話が特に印象的だった。SNSを介しての恋愛なんてろくなことにならないな、という感じ。
    思春期の不安定さを大人になっても思い出せるのは凄いことだと思う。自分は無理。

  • SNSでリアルではない世界が広がった現代だからこそ、人との距離感がむずかしいよね。
    リアルでの人間関係がうまくできない人間は、ネットでもうまくいくわけがない、どこまでいっても人と人との関わりでしかないんだから、とは常々思っていて、というか忘れてしまわないようにしているけど。

    私のSNSの使い方は、自分の忘備録という意味合いが一番で、他人の人生にはそこまで興味がない、というスタンスでも
    いざ依存してしまうと、ネットに出しているほんの一部がその人の全てなように感じられてしまう
    それしか知りようがないから。
    反省も込めて…

    ラストよかった

  • キャンディ・イン・ポケットはすごく好きなお話やった。シュッとした椎子がかっこいい。
    他の話はあんまり好きではなかったけど、この世界を綺麗に表してるなぁと思った。
    世の中ってこんな感じやろな。。

  • インターネットにまつわるオムニバス

    「キャンディ・イン・ポケット」
    登校時だけの友情。彼女と自分は釣り合わないと思っていた。卒業式の日の、これで最後なんだという寂しさと名残惜しさと未来への期待の混じった空気で、いつもの学校がまるで違う空間になってしまうあの感覚。思い出すとやっぱり青春って何者にも変えがたい時間なんだなと思う。

    「ジャムの果て」
    夫に先立たれ、娘にも息子にも相手にされず、ジャムを作ってはブログを更新する主婦の話
    子育ても家事も、どんなに尽くしても報われないものなのかもしれない。

    「空に根ざして」
    昔の彼女の結婚をSNSで知る。結婚したかった彼女に答えられなかったのは、自分なのに。

    「五つ星をつけてよ」
    要介護の母と二人暮らしのバツイチ女性。昔から、母に良いと言われた物を選んできた。母を頼れなくなった今、レビューの星の数だけを頼りに物を買う。自分で選んだ結婚は、失敗だったから。

    「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」
    ネットで知ったバンドマンに恋をした中学生の話
    繋がれるバンドマンは、よろしくない。
    ひどくのめり込む前に気持ちが冷めて本当に良かった。
    だめ男だと気付いて離れられた彼女は中学生ながらしっかりしているなと思った。大人でもそれができない人って案外多いものだ。

    「君に落ちる彗星」
    誰からもうらやまれるような生活をブログに上げながら、夫からモラハラを受けて家を出ら決意をする元アイドル
    その元アイドルのブログのオチスレに書き込みをして鬱憤を晴らす女。表参道のレストランで華々しく働いていたものの、不倫がバレて慰謝料のためやむなく地方の実家に戻って働いて、そのままずるずると生活を続けている。
    そのオチスレに張り付いて、書き込むでもなくただ高みの見物を決め込んでいる青年。彼の母が宗教の先生をしているおかげで楽な仕事にもつけず、ただ生きながら母親の信者と不倫をする。
    救いがない。この、救いのないままならない現実の雰囲気は窪美澄を思い出した。

  • 生い立ちの中で何か大事なものを欠いていて、自信を持てず、他からの承認や評価なしには自分の存在に危うさを感じる人々の短編集。情報過多の時代に口コミ、マニュアル等で正解が1つのような風潮。便利だが、試行錯誤する機会が奪われていることは裏腹。作品の中に私を見ているような気分になる。行間で母と娘/息子の物語と読めた気がする。献身的に家族に尽くし、子どもに介入し過ぎるあまり、自立を受け入れられず、甘すぎるジャムを作り続ける母の『ジャムの果て』が印象的。邪険にされる手作りジャムが実は母の自己愛なのね。上手い。

  • SNSに纏わる短編集。然り気無い情景描写が瑞々しい。やわやわとした苦味を感じる、大人になった子供達に拒絶と現実を突き付けられるジャム作りが趣味の母親、バンド大学生と付き合う中学生と青い詞と許せない事ばかりだったあの頃、元アイドル主婦とヲチスレの住人の話が印象的。気を許した故の既読スルーの友情もすき。

  • インターネットが生活の一部になった現代社会の、あるかもしれない短編集6編。
    最後はちょっぴり意表を突く仕掛けがあったけれど、全体的に現代あるあるだなぁと思うものの、ズバ抜けてよかった~と思うものもなく、ぼんやりした印象。
    もっと尖ってるのかと思ったので、やや期待外れ。

    ≪キャンディ・イン・ポケット≫
    既読スルーする友達。
    ≪ジャムの果て≫
    ブログにコメントをくれる男性と実際に会うことになり…
    ≪空に根ざして≫
    インスタに空の写真ばかり投稿する男性。
    ≪五つ星をつけてよ≫
    レビューばかり気にする女性が、母親の介護士に疑念を持って…
    ≪ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ≫
    ツイッターで大阪のバンドマンと出会い、付き合うことになった少女。
    ≪君に落ちる彗星≫
    元アイドルのブログ。匿名掲示板のヲチスレに住む女性、ヲチスレをヲチる男性。

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著者プロフィール

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『魔法がとけたあとも』がある。

「2021年 『求めよ、さらば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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