僕の音楽キャリア全部話します: 1971/Takuro Yoshida―2016/Yumi Matsutoya

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103504818

作品紹介・あらすじ

どんなにヒットした過去の曲より、今手がけている作品が、僕の最高傑作。松任谷由実「守ってあげたい」、松田聖子「赤いスイートピー」、ゆず「栄光の架橋」―― 誰もが一度は耳にしたあのイントロやフレーズは、いかにして生まれたのか。いつの時代も日本ポップシーンのメインストリームで「音」をつくり続ける著者が、アレンジャー、プロデューサーとして、自身の仕事と音楽観の全てを語る。

感想・レビュー・書評

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  • 失敗や後悔を率直に語っている。特にシンクラヴィア導入をめぐる葛藤が面白かった。

    過去の作品をユーミンと一緒に聞き直す内容のテレビ番組を観たことがあるが、その際著者のミュージシャンとしての細部にもこだわるプロ意識の高さに驚いた。この本にはその緊張感はあまり出てこないため、その側面について知る著作を探したいと思った。

  • アマチュアハンドを組んでいた学生時代にコンテストに参加し、その審査員だった加藤和彦にドラムの林立夫とともに誘われて、1971年にCMのレコーディングを行った。その後、吉田拓郎の「結婚しようよ」でハーモニウムを演奏して、実質的にデビューした。

    小坂忠、後藤次利がメンバーのフォージョーハーフには林に誘われて参加したが、松任谷は小坂の音楽が理解できなかった。改めて林から誘われてキャラメル・ママに参加し、3回ライブを行った。キャラメル・ママからティンパン・アレーになる頃に、自分たちの強みはクリエイティビティと演奏技術であると分析し、サウンド・クリエイト集団になることをイメージした。そして、「ひこうき雲」と「扉の冬」のレコーディングのオファーを受けた。「MISSLIM」から松任谷がアレンジを手掛け、由実の家でプロコル・ハルムやミッシェル・ポルナレフのレコードを聴いたりした。「12月の雨」などでは、山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子、鈴木顕子がコーラスを担当している。ハイ・ファイ・セットのアレンジも担当するようになり、伊藤銀次にも演奏してもらった。

    85年に開催した「All Together Now」は、ニッポン放送の社長からのオファーに対して、松任谷がたくさんのアーティストが出演するものを提案して実現した。「今だから」のアイデアも松任谷が出した。

    松任谷がよく聴いたアルバム
    マリーナ・ショウ『フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?』(Who Is This Bitch, Anyway?)
    スタイリスティックス「ザ・スタイリスティックス」
    ポール・サイモン『時の流れに』(Still Crazy After All These Years)
    スティーヴィー・ワンダー『心の詩』 (Music of My Mind)
    マイケル・ジャクソン『オフ・ザ・ウォール』(Off The Wall)
    ボブ・ジェームス「Bj4」

    松任谷が大切にしている映画
    「男と女」
    「未知との遭遇」
    「グッバイガール」
    「マディソン郡の橋」
    「アイガー北壁」

  • 誰もが一度は耳にしたあのイントロ、あのフレーズは、いかにして生まれたのか。デビューしてから45年。日本ポップシーンのメインストリームで「音」をつくり続けてきた松任谷正隆が、自身の仕事と音楽観の全てを語りつくす。

    穏やかな語り口。

  • 松任谷さんも松任谷さんの音楽も好きだけどなぜか期待したほどには入ってこず。

    JAFの会員誌のエッセイは好きです。

  •  松任谷由実の伴侶にして、日本を代表するアレンジャーの一人である著者が、自らの45年に及ぶ音楽キャリアを語り下ろした本。
     インタビュー/構成は、著者と親しい音楽ライター・神館(こうだて)和典が担当している。

     当然、ユーミンとの共同作業(アルバム作り、コンサート・プロデュースなど)が話の中心になる。
     私はユーミンに思い入れがないので、その分つまらないかな、と危惧したのだが、十分面白く読めた。ユーミン以外のアーティストとの仕事の話もたくさん出てくるし、個人史がそのままJ-POP史になるような立ち位置の人だからである。

     考えてみれば、私は少年時代に、著者がDJをしていたNHK-FMの番組「サウンドストリート」をよく聴いていたし(著者の担当は月曜日だったか)、彼がそこでかけた曲を通じて音楽の好みが広がった部分もある。その意味ではわりと近しい存在なのだ。

     意外な裏話満載。たとえば――。

     私は著者の唯一のソロアルバム『夜の旅人』(1975年)が大好きで、ジャパニーズAORの名盤だと思っているが、意外にもあのアルバムは契約消化のために渋々作ったもので、「一時期は恥ずかしくて、廃盤にしてくれと、僕自身がレコード会社に頼んでいたほど」不本意な面があったのだという。

     また、ユーミンのアルバムがいちばん売れていた時期は、じつは著者が音楽作りに悩み、悪戦苦闘していた時期なのだという。次のような赤裸々な一節がある。

    〝由実さんのアルバムでは『ダイアモンドダストが消えぬまに』から五枚、組んではいけない人と一緒に音楽制作をしてしまいました。シンクラヴィアのプログラマーです。〟

    〝人間というのは、売れ始めると、その喜びよりも、落ちる怖さに意識がいくものです。だから『LOVE WARS』あたりは生きた心地がしなかった。〟

     ほかにも、「松任谷由実」として初(つまり結婚後初)のアルバム『紅雀』が受けた酷評に悩んだことなど、「成功の頂点にあるように見える人にも、やはり苦悩はあるのだなァ」と感慨深いくだりが多い。
     
     ユーミンの好きな人なら必読の一冊だろう。

  • ユーミンのアルバム一枚一枚解説するのかと思って読んだら大間違い。影響を受けたアーティストやプレイヤーを後から追って聴くのも楽しい。

  • 松任谷正隆の音楽人としての半生をインタビューを通して振り返った本。加藤和彦に誘われて吉田拓郎の「結婚しようよ」のレコーディングに参加したことが、実質的なプロミュージシャンデビューだったとのこと。子供のころに大好きだった「結婚しようよ」に松任谷正隆が参加していたとは!
    話の中心はやはり松任谷由美のアルバムやコンサートについて。ユーミンの個々のアルバムをじっくり聞いたことはなく、シングルカットされた曲ぐらいしか知らないが、本書を読むと、彼女のアルバムを聴いてみたくなった。
    あと、これに呼応する形でのユーミンのインタビュー、あるいは本人によるエッセイがあれば、よりユーミンサウンドの秘密がが立体的に浮かび上がるのではと思った次第。
    それとは別に、あとがき代わりの「インタビューを終えて」に著者が書いている、「彼(インタビュワーの神舘和典氏)は仲間ですから、本当にいろいろなことを話しました。載せたら僕の人生は即終わるようなこともたくさん話しました。僕の周りで僕のことを一番知っているのは、親でも由美さんでもマネージャーでもなく、間違いなく神舘さんでしょう。」に衝撃!人生が即終わるほどのことって何?そんなこと他人に喋っていいの?そしてそういうことがあることを公表しちゃっていいの?これは音楽業界では密かに、でもかなり話題になったのではないだろうか。

  • 歌手やミュージシャンの本はたくさん読んだけれども、アレンジャーの本というのはこれが初めてかもしれない。基本的には音楽論というよりも仕事論。建築家が自分の建てたビルの話をしているような印象。しかしパールピアスの語源のゲスさにはがっくり。それ、言わない方が絶対よかったよ。

  •  松任谷さんは、プロデューサーとして、具体的には何をしているのか? それは結局のところはよく分からない。新しい挑戦をということは、分かる。
     
     深まりがなく感じてしまうのは、自分が求めているもの(プロデューサーの仕事の中身)が見えてきにくいからか。
     良い意味で、雑談ぽいんだよな。あまり下世話な感じもしないし。

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著者プロフィール

松任谷正隆

1951年、東京生まれ。4歳からクラシックピアノを習い、学生時代にバンド活動を始め、細野晴臣、林立夫などと伝説的グループ、キャラメル・ママを結成。その後アレンジャー、プロデューサーとして、妻である松任谷由実を筆頭に、松田聖子、ゆず、いきものがかりなど、多くのアーティストの作品に携わる。1986年には主宰する音楽学校「MICA MUSIC LABORATORY」を開校。モータージャーナリストとしても活動しており、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ会員でもある。

「2021年 『おじさんはどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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