不発弾

  • 203人登録
  • 3.62評価
    • (14)
    • (40)
    • (30)
    • (8)
    • (1)
  • 38レビュー
著者 : 相場英雄
  • 新潮社 (2017年2月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103507611

不発弾の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 東芝の不正会計をモデルにしたフィクション小説。フィクション小説でありながら、登場している企業名や重要人物はすぐに実在の人物が思い浮かぶため、物語に入りやすい。本書は、東芝の不正会計に協力した自称金融コンサルタント古賀と、古賀を追う警察組織の攻防が描かれています。古賀は、資金繰りが窮している企業に取り入り、企業の債務が解消されたかのように見せる「飛ばし」という金融手法を用いて、裏の世界を暗躍していきます。
    東芝に限らず、あらゆる日本の企業は自社の債務を隠すために、ありとあらゆる手を尽くしており、それが「不発弾」として明るみに出ていないのである。
    以下に興味深かった点を幾つか述べておく。

    ①オプション取引をたくみに使うことで、債務が解消されたかのように見せかけることができる。
    プットオプションの売りを購入しておけば、オプション料を手にすることができ、かつ、相場が行使日までに下落していれば、オプション料の利益を得ることができる。仮に、90億円から60億円に目減りした資産をA社が持っている場合を考える。まず、60億円に目減りした資産をB信託銀行が買い取り、この資産を原資としてオプション取引を含む仕組債を発行する。A社はΒ信託銀行より資産の買い取り価格60億円とオプション料を手に入れることができる。この取引によって、A社は90億円を資産として手に入れることができ、行使日までに損失を隠すことができる。このように、権利行使日までに債務を隠すことができるという意味で、「不発弾」と呼ばれている。しかし、相場が行使日に上昇してしまうと、無限大に損失が膨らむため、不発弾は爆発し、企業を破綻に追い込むのである。

    ②東芝の名誉会長を務めている西室は、日本郵政の社長に就任している。
    国策として原発事業を推進する必要があった日本は、東芝に米国の原発メーカーを買収するように交渉した。この原発メーカーがのちに、東芝に巨額の負債をもたらすことになる。そして、日本郵政の社長に就任した西室は、オーストラリアの郵便会社トールを買収した。しかし、このトールも業績悪化により4000億円の赤字を計上している。果たして、この2つの買収に関与したのが西室であることは、まったくの偶然と言い切れるのか?

    ③東芝名誉会長の西室と安倍首相は蜜月関係にある。
    戦後70年談話の座長を西室が務め、安倍首相の積極的平和主義を支持する主張を述べている。東芝が不正会計問題でも上場取り消しとならないのは、安倍首相による何らかの下支えがあるからなのだろうか?

  • 東芝の不正会計をモデルにした経済小説。
    三田機械の不適切会計を捜査二課管理官の小堀が調べ始めると、背後に一人の男の存在が。彼は、バブル崩壊を経て財テクの失敗から負債にあえぐ企業に対し、損失を先送りる“飛ばし”を紹介するコンサルタントをしていた古賀だった。調べを進めると、かつて彼の周囲で不審な事件がいくつも起こっていると同時に、政財界へ豊富な人脈を持っていることも分かる。小堀は古賀を捕らえられるのか・・・
    バブル前、バブル期、そしてバブル崩壊から現代まで、実名ではないものの世間を騒がせた複数の企業が話に加わり、非常に興味深く読めた。ヤクルト、オリンパス、山一證券、クレディ・スイスなどなど、当時の報道を思い出した。
    単に善し悪しでは語れないのだろうが、ラストは小説というより事実よりなのかなと。

  • ひ~!難しいよ~~!!!と言いつつ・・・もう、わかんないとこはそのままでガンガン読めちゃう不思議さww

    若き警察キャリア、捜査二課の小堀クンが頑張るわけなんだけど、事件の背後には一人の金融コンサルタント古賀遼の姿が・・・「不発弾」ヤバい~~!!!

    大企業のマネー・ゲーム、な~んて言われるとなんだかなぁ~って感じだけど、そのツケが個人に及ぶとあっちゃ黙ってられない~~!!!
    確かにそんなんでリストラや給与カットなんて目にあっちゃたまんないし、絵空事じゃないので震撼((((((; ゚Д゚));

    小説的には古賀も悪者とも犯罪者とも思えず、小堀クンを応援しつつも逃げ切って欲しいと思っちゃったりw

    人気の相場さんだけどお初だったので、遡って読んでみます~♪

  • 経済小説とか企業小説とか自分にはあまり縁がないし理解できないかもと思っていたのだけど、これはもう難しいとかなんとか、そういうのをすっとばしてとにかくぐいぐい一気に読まされた。
    そう、読んだというより否応なく最後まで読まされ続けた感じ。途中で放り出せない吸着小説。
    なんと読んでいる途中でモデル企業の会長辞任ニュースが!現実が小説に追いついてきた!
    世の中、どれだけ汚れきってるんだ!なんなんだこいつら!許せない!許せないぞ!
    けど最後にはすっきりするんだろうな、きっと。勧善懲悪プリーズ!なのに!なのに!!!
    あぁ、許せない許せない許せない!!!!!

  • 相場さん、よく書いたなぁ... ハゲタカ以来の衝撃。
    もうこれはノンフィクションと言ってもいいでしょう。

    金融ドラマ。
    バブル後に 暗躍した金融コンサル古賀遼と、2016年現在の三田機械(東芝)の決算の裏側を追う捜査二課のキャリア小堀の視点が並行して話が進む。

    早い話がバブルのツケ、つまり財テクの大損を日本企業がどうやってとりつくろって誤魔化して今なお抱えているのか、という話。
    その部分においては、実名小説と言ってもいいほど、モデルがハッキリしている。

    日本から出禁くらったクレディ・スイス。
    プリンストン債をつかまされたヤクルト。
    けったいな買収でお家騒動に発展したオリンパス。
    モンデールさえも使いこなす絶対勝者ゴールドマン・サックス。
    そこからネット証券をたちあげた松本大。
    なんだって郵政は豪州のロジ会社を買収したのか?
    すべての上位に君臨する現総理。。

    なんだってこんなヒドイことになっちゃったんだ?というと、もう 大蔵省の 鈍重ぶりにつきる。
    経産省もだね。
    覚悟のない前世紀の亡霊達がもたらした巨大なツケ...

    金融関係者はすべからく読むべし。

  • 金融用語は難しい。。そして難しいからこそ、知るものと知らざるものの格差がえげつなく広がる。

    持てるものと持たざるもの、知るものと知らざるもの、それによってうまれる埋めようのない格差。それをわかっているかどうか。見ようとしているかどうか。

    相場英雄って『ガラパゴス』書いたひとなのね。納得です。

  • バブルに踊り、サブプライムに懲りず、パナマ文書が暴露されても、我関せず! 懐がますます寂しくなってきた!!

  • 粉飾決算を巡る経済社会小説。

    モデル企業の東芝問題がタイムリーすぎて一気に読みました。
    古賀視点での高度成長期末期からの証券業界黒歴史のパートと、小堀視点の現在の事件調査のパートがうまくリンクしてると思います。
    ただ、視点がくるくる変わるのと、文体が同じような感じなので、どちらのパートだったか一瞬迷ってしまうことがありました。
    ラストは政界も巻き込んでのあいまいにしているのは、モデル企業の現実での決着がついていないからかなと思いました。
    それにしても、現在進行中の問題を取り扱っているのに、企業や政治家のモデルがすぐにわかる作りは著者のチャレンジを感じます。
    惜しむらくは、小堀たちナンバーの活躍が躍動的ではないのが残念でした。
    一応、ナンバーシリーズつながりですよね。

  • 最後まで展開が読めなかった!
    オリンパス、東芝、財界と政界の癒着、、、全てが絡み合う現代社会の闇をえぐり出した小説。楽しかった

  • 粉飾決算の問題、金融ブローカーとされる男の生い立ちから、男の地元の信金の支店長自殺問題に隠された確執などから見えてくる政治的問題、金融や株といった経済問題など昨今の社会の闇が見えてくる感じであった。粉飾決算の疑惑がかけている中で、政治や金融機関、男の母と信金の支店長との間に起こった問題、男の後輩が裏社会で暗躍していることと母の死との関連、男の内縁の妻など周辺人物から見えてくる事件の闇が明るみになっていき、事件の背景を見ると恐ろしいものだと感じる。アシノミクスも物語の魂胆に関わっているだろうと思う。

全38件中 1 - 10件を表示

相場英雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
相場 英雄
米澤 穂信
東野 圭吾
柚月 裕子
横山 秀夫
雫井 脩介
雫井 脩介
東野 圭吾
池井戸 潤
長岡 弘樹
山田 宗樹
塩田 武士
中村 文則
東野 圭吾
宮部 みゆき
米澤 穂信
東野 圭吾
柚月裕子
奥田 英朗
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

不発弾を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

不発弾を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

不発弾を本棚に「積読」で登録しているひと

不発弾の作品紹介

大企業のマネーゲームで人が死ぬ――そんなことは、絶対に許さない。この国の不条理に、一人の男が立ち上がる! 日本大手の電機企業による巨額の粉飾決算。警視庁キャリア・小堀秀明は、事件の背後に、ある金融コンサルタントの存在を摑む。バブル直前に証券会社に入社し、激動の金融業界を生き延びた男が仕込んだ「不発弾」は、予想を超える規模でこの国を蝕んでいた――『震える牛』『ガラパゴス』の著者が日本経済界最大のタブーに挑む!

不発弾のKindle版

ツイートする