ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534037

作品紹介・あらすじ

ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜を始める。暴力とエロスの予感が、やがてあたりを包んでいく。誰かがねじを巻きつづけなければならないのだ、誰かが。1984年の世田谷の露地裏から1938年の満州蒙古国境、駅前のクリーニング店から意識の井戸の底まで、ねじのありかを求めて探索の年代記は開始される。

感想・レビュー・書評

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  • 辛島デイヴィッド『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』が面白かったので、忘れないうちに再読することにしました。翻訳にあたって「この比喩は削られたに違いない!(笑)」とか「このあたり、長いから省いたのでは?」とか想像しながら読むのが楽しい。「20代の私は丸め込めても今の私はだまされないよ」と猜疑心ありありで読み始めたのだが、登場人物の生い立ち等にじゃっかん取ってつけ感があったりするものの、圧倒的な文章のうまさ語りの面白さに、あっという間に一冊読めてしまった。ちょっとこのあとべつの本を読まなければならないので、忘れないように感想をメモっておいて、2部以降につなげたい。

    気が付いたのが、パワーズ『Operation Wandering Soul』との共通点。
    1)コドモ男が大人になるのかなならないのかな、みたいな話。
    2)ヒロイン(ねじ巻き鳥ではクミコ、OWSではリンダ)が被虐待経験のあるアダルトチルドレン。
    3)自国の戦争責任を、時空を超えて物語を現地まで運んでいって振り返るところ。
    4)市場経済?消費社会?に対する嫌悪
    両方とも1992年くらいに刊行(執筆)されてるから、特に2)あたりは時代的なものもあったんだろうなあ。

    主人公が平静(涼しい顔)を装いつつも妻の顔をうかがって生きてるところが、対お母さんみたいじゃん!と思った。あと、クミコ、雑誌の編集をしつつイラストの副業したりして「ばかにならない」収入を得ているところが隔世の感。そのいっぽうで、綿谷ノボルの醜悪さ、みたいなのは今の時代の方が際立つというか、当時したり顔でテレビでコメントしてた経済学者って誰だっけ、忘れちゃったけど、首はすげかえられても、そういう役割の人はいまだ健在でしかもその質はさらに劣化する一方ではないか。リアルタイムで読んだときは30才って結構年上な気がしてたから、語り手=はるきみたいに思ってたけど、これはコドモ男を通してコドモじみた日本人たちにはるきがなにかしらを訴えかける小説だったのかもしれないな。そのあたり2部以降も引き続きウォッチしたい。

  • 村上春樹さんの本は二つ目です。
    名前が可愛いのでさらっとしているかなと思っていました。

    失敗しました

    最初は良かったのです。
    青山円形劇場でお芝居を見ているような気分。
    ジャニーズ系ではなく、実力で勝負する芸人さんたちの演劇。

    例えば妻の実家での食事の時の気持ちを
    「無意味な苦行と残忍な拷問のちょうど中間あたりに位置する行為」などあげだしたらきりがないのですが、自分も何気なく感じていることについて、絶妙な表現。
    私は彼のこういうところにどんどんひかれています。

    失敗といったのは、最後の方の残酷なシーン。
    これが最初にあったら、読まなかったのに

    ここでやめるわけにはいきませんでした。
    読んでから数日たっていますが、まだすぐにそのことを思い出しています。

    二巻目にはいっていますが、この先はこういうシーンがないことを熱望します。

    この前に読んだ村上氏の本では自殺した方がたくさんいたのですが、彼らが生前この本のこのシーンを読んでいたら、もしかしたら自殺はしなかったかも?なんて思いました。

  • 1994年4月25日 2刷 再読
    発売当初確かに読んだ。間宮中尉の長い話の記憶は確実にある。ある種の興味と感化みたいな感覚も覚えている。が、間宮中尉の話の前の長めの導入部分は、この後なんか必要だったか思い出せない。
    2巻目いくか。

  • 感想は第3部で。

  • 「ときによっては、好奇心は勇気を掘り起こして、かきたててもくれる。でも好奇心というものはほとんどの場合すぐに消えてしまうんだ。勇気の方がずっと長い道のりを進まなくちゃならない。好奇心というのは信用のできない調子のいい友達と同じだよ。君のことを焚きつけるだけ焚きつけて、適当なところですっと消えてしまうことだってある。そうなると、そのあと君はひとりで自分の勇気をかき集めてなんとかやっていかなくちゃならない」

  • 2冊目の読書ノート 1993/9/5~2005/4/30に記載

  • [鹿大図書館学生選書ツアーコメント]
    私が村上春樹さんに出会ったきっかけは大学図書館で借りたことであります。世界の村上春樹、と言われるほど世界的に人気な著者の本を読むことは日本人として誇るべきことだと考えます。多くの国で愛される村上春樹さんの本を大学図書館に置いて欲しいと思い、選書しました。

    [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN10565907

  • 戦争のこと。

    実のある話で読み応えがあった。
    読みやすくしようとしたら、こんなに描写力あるんだなあってなる。安定によかった。

  • 村上春樹さんの長編作品は1Q84以来2冊目になりますが、やはり面白い作品です。 続きが楽しみです!

  • 淡々と読めるが、他作品と感じが同じ気がした。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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