神の子どもたちはみな踊る

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著者 : 村上春樹
  • 新潮社 (2000年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534112

神の子どもたちはみな踊るの感想・レビュー・書評

  • UFOが釧路に降りるー離婚した男が同僚に頼まれて北海道に荷物を運ぶ。

    アイロンのある風景ー焚き火をする男と男女。

    神の子どもたちはみな踊るー宗教絡みの奔放な母とその息子。

    タイランドー女性医師。石。

    かえるくん、東京を救うーでっかい「かえるくん」が地球を救うため、片桐さんと共に闘う?

    蜂蜜パイー淳平、小夜子と高槻の娘の沙羅と熊。


    短編はここで止まるのが短編だけれど、先の気になる話ばかり。
    UFOの小村「まだ始まったばかりなのよ」。
    アイロンの順子と三宅さん、焚き火が消えたら。そして、啓介。
    神の子どもたちの善也、母親。
    タイランドのさつき、二ミット。石と蛇。
    かえるくんの片桐、かえるくんとみみずくん。そもそもかえるくんの説明が何もないけど。
    蜂蜜パイの淳平、小夜子と沙羅。高槻、この友人はこれからも好き勝手に動くのだろう。いいやつではあるんだろうけど。

  •  「UFOが釧路に降りる」は、元妻から離婚を迫られている小村が同僚の佐々木に頼まれて釧路へ行く話です。この話を深読みすれば色々と出てくるのかもしれません。けれども、ただ、小村が妻が離婚をすると申し出た事だけが頭にあり、佐々木のことはあまり深く触れていませんでした。けれども最後の方で分明してはいませんでしたが、佐々木(兄も妹も)の恐ろしさが少しだけ垣間見れた気がしました。
     「アイロンのある風景」は神戸の震災にあった三宅が海岸で焚き火をし、それを順子達が眺める話です。ただ焚き火を眺めるのではなく、焚き火のようなものが人間の中にあるのだと警告した作品だと思います。
     「神の子どもたちはみな踊る」は、沢山の異性と関わってきた母は宗教にはまってしまうが、息子はそんな母に反抗して宗教から足を洗い、多くの異性と交わった。そんな息子の父は産婦人科の医者をやっており、母と付き合ったことを息子ができた当初は否定していたが、数年後、息子の前で後悔した。……という話です。ただ気になることは、息子の邪念ってなんだろうってことと、宗教とは離別した筈なのになぜに元カノに神の子と言ったのかということです。やっぱり、拭いきれない何かがあるから、後悔して神の子って言ったのかな? よく分からなかったです。
     「タイランド」は、神戸に住む男が地震に巻き込まれれることを望む女性医師が主人公の話です。自分を捨てた男でも過去を振り返ってはならないってことが言いたいのでしょう。それが結果として悪くても、文句は言ってはいけないということがこの作品では主張したかったのでしょう。でも、言った方がすっきりする時ってあるから、必ずしもそれでいいとは思えないんだが……
     「かえるくん、東京を救う」は、アニメ「輪るピングドラム」で取り上げられた作品でした。この作品があったからこそ、この本を読もうという気持が持てました。ピンドラ(略)では世の中に起こったことが気付けば解決していたことって沢山あることを暗喩(?)として用いられていた題材でした。その中でも、特に片桐のような、実は会社や世の中で重要な位置にいるパターンって実はあると思うんです。その時、自分はどのように立ち振る舞えばいいのかを教えている作品なのでしょう。それは兎も角として、私は片桐の生い立ちになんだか不憫になってはいけないんだおろうけど、なってしまいました。でも、かえるくんのように軽率な言葉は慎んだ方が賢明なんでしょうね。だって、下手に同情していいとは思えない場面だろうし……と気にかけながら後半読んでいきました。かえるくんがみみずと戦う場面よりもそっちの方が気になっていました。
     唯一の書き下ろし作品である、「蜂蜜パイ」。四角関係なのに、あっさりとWカップル(夫婦)が成立。なんか、前からそうなることが運命づけられたみたいな感じ。ほのぼのするんだけど、たまにある沙羅の予知能力(?)が恐ろしさを醸し出しているかもしれない。
     今回初村上さんでしたが、流石にノーベル文学賞候補者だけあって話は面白いなって思いました。でもこれらの作品は、落ちがなさすぎて納得のいく終わり方ではない方も多くいるかと思います。けれども、これでいい気がします。なんとなくですけど……このぽいっと投げ出された感じが逆にいい味出しているのではないのでしょうか?

  • これ短編集なんですよね、勝手に長編と思い込んで、読んでみたいと思ってたのですが…。

    やっぱり、村上春樹さんの作品って不思議。
    ファンタジックな雰囲気を醸し出していて、問題というか、謎は全て解き明かされない。
    だけど歯がゆさが残るような不完全燃焼でもなく。
    このファンタジックな感じが、好きなんだよね。

  • 1999年に「新潮」誌に「地震のあとで」とのタイトルで連作された短編に書き下ろし「蜂蜜パイ」を加えて出版された短編集。

    この地震とは阪神大震災。
    それぞれの登場人物は直接的な被災者ではないが、間接的に様々な影響を受けている。

    「UFOが釧路に降りる」ーー阪神大震災のテレビ報道を5日間見続けた妻が、家を出て言ってしまう。

    「アイロンのある風景画」ーー高校三年生の五月に海岸沿いの茨城のある街にやってきた順子。同棲相手の啓介とともに仲良くなったのは、海岸で焚き火をする三宅さん。

    「神の子どもたちはみな踊る」ーー編集者の善也は母と二人暮らし。生まれた時から父はいない。

    「タイランド」ーー甲状腺の免疫機能の研究をデトロイトで続けてきたさつき。証券アナリストのアメリカ人の夫と別れ帰国。
    バンコクでの世界甲状腺会議に参加後、観光でしばらく滞在することに。

    「かえるくん、東京を救う」ーー主人公の片桐は信用金庫融資課の職員。父母を亡くし、弟と妹の面倒を見て大学を出して結婚もさせた。自分は独身。何も失うものはなく腹が座っている。
    そこを見込まれて、ある重要な仕事を依頼される。「かえるくん」に。

    「蜂蜜パイ」ーー書き下ろし。
    短編小説家の淳平。大学時代からの親友・高槻と小夜子。卒業して高槻と小夜子が結婚しても三人の仲は続いていた。

    人は様々な縁によって紛動される。それをどうするかは自分次第。
    人の為に明かりを灯せば、自分の前が明るくなる。

  • 震災と関係ない風に、震災をなんとなく、しっかり散りばめた?
    そんな本。

  • あっ、そういえば読んでいなかったと思って手を付けた短編集。神戸の震災を軸に語られる物語の数々。村上ワールド全開な感じでもちろん全編に渡って不思議だなーと思わされる話の展開と結末。村上好きにはたまらない一冊。

  • 個人的には『タイランド』『蜂蜜パイ』が印象に残ったかな。
    阪神・淡路大震災が背景にはあるものの、必ずしもその題材に拘泥した訳でもないように見える。どれもまぁまぁで正直強いインパクトがない、やっぱりこの作家は短編にはあまり向いていないんじゃないかな。
    上手く言えないけど、リズムの緩やかさとオチに拘らない態度からそう思うんですが。

  • 阪神淡路大震災の後の生活を描いた短編集。蜜蜂パイが印象的だった。

  • <閲覧スタッフより>
    大手前大学 交流文化研究所主催 文芸講演会
    村上春樹と『阪神間文化』の周辺-私がめぐりあった作家たち-
    講師:ノンフィクション作家 小玉武 先生

    文芸講演会記念 特集展示本
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    所在記号:913.6||ムハ
    資料番号:10139326
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  • 再読
    2000年2月25日発行の初版本。いつ読んだか全く思い出せないけど、たぶん研修医になってからかな。僕は2000年卒なので、その前かもしれないけどよく分からない。研修医になってから数年はかなり世間的なこと断絶していたので。

    新しいことにチャレンジしているんだろうけど、関西弁キャラはすこし無理があるし、「かえるくん」はちょっとふざけているような感じもするし、失敗感はなくはない。でも、6編並べるとなんかいいんだよね。「蜂蜜パイ」はよかったわ。タイランドもよい。(世界甲状腺会議って、ちょっとうそくさい感じでひっかかったな。ホントにあるのかもしれないけど。)

  • UFOが釧路に降りる
    「小村さんの中身が、あの箱の中に入っていたからよ。小村さんはそのことを知らずに、ここまで運んできて、自分の手で佐々木さんに渡しちゃったのよ。だからもう小村さんの中身は戻ってこない」

    アイロンのある風景
    「気色の悪い関西弁使うな。イバラギの人間にけったいな関西弁使われたくないんや。お前らは農閑期にむしろ旗たてて暴走族やとったらええんや」
     町に落ち着いてほどなく啓介と知り合った。両親は水戸市内で老舗の菓子屋を経営していたので、いざとなれば家業を継ぐことはできたが、本人は菓子屋の主人におさまるつもりはまったくなかった。いつまでも仲間とダットサン・トラックを乗り回し、サーフィンをやりながらアマチュア・バンドでギターを弾いていられればいいと考えていたが、誰がどう考えてもそんな気楽な生活が永久に続くわけはない。

    神の子どもたちはみな踊る
     母親と二人で暮らしている阿佐ヶ谷の賃貸マンションを出て、中央線で四谷まで行き、そこで丸ノ内線に乗り換え、霞ヶ関まで行って日比谷線に再び乗り換え、神保町駅で降りた。たよりない足で多くの階段を上り、多くの階段を下りた。神保町の駅の近くに彼の勤めている出版社はあった。海外旅行関係の本を専門とする小さな出版社だった。

    タイランド
     三年前にやっと離婚の調停が成立したのだが、その数カ月後に、病院の駐車場に停められていた彼女のホンダアコードの窓ガラスとヘッドライトが誰かにたたき割られ、ボンネットに白ペンキで「JAP CAR」と書かれるという事件が起きた。
    「ドクター、ここはデトロイトだ。今度はフォード・トーラスを買うことですね」

    かえるくん、東京を救う
     今ここで殺されたところで、誰も困らない。というか、片桐自身、特に困りもしない。
    「私はとても平凡な人間です。いや、平凡以下です。頭もはげかけているし、おなかも出ているし、先月40歳になりました。偏平足で、健康診断では糖尿病の傾向もあると言われました。この前女と寝たのは三カ月も前です。それもプロが相手です。借金の取り立てに関しては部内でも少しは認められていますが、だからといって誰にも尊敬されない。職場でも私生活でも、私のことを好いてくれる人間は一人もいません。口べただし、人見知りもするので、友達を作ることもできません。運動神経はゼロで、音痴で、ちびで、包茎で、近眼です。乱視だって入ってます。ひどい人生です。ただ寝て起きて飯を食って糞をしているだけです。何のために生きているのか、その理由も分からない。そんな人間がどうして東京を救わなくてはならないのでしょう?」

    蜂蜜パイ
     しかしなぜか高槻は、最初のクラスで淳平を一目見たときから、こいつを友人にしようと決めたようだった。彼は淳平に声をかけて、肩を軽く叩き、よかったら飯でも食いに行こうよと誘った。そして二人はその日のうちに、心を許しあえるほどの親友になっていた。一口でいえば、うまがあったのだ。

     しかし淳平にも高槻の気持ちは分かった。小夜子が母親になってしまったのだ。それは淳平にとっても衝撃的な事実だった。人生の歯車がかちりという乾いた音を立ててひとつ前に進み、もう元には戻らないことが確認されたのだ。それについてどのような感慨を抱けばいいのか、淳平にはまだよくわからなかった。

     大学に入った当時のことを彼は思い出した。クラスで最初に顔を合わせたときの高槻の声が耳元で聞こえた。「なお、一緒に飯を食いに行こうよ」、温かい声がそう言った。
    「どうして僕を食事に誘ったの?」と淳平はそのとき質問した。高槻は微笑み、自分のこめかみを人差し指の先で自信たっぷりにつついた。「俺にはいつでもどこでも、正しい友達を見つける才能が備わっているんだよ」

  • かえるくんが彼女に「結婚して」って言われるところがとても好き。「あなたと結婚したいのよ、かえるくん。あなたと一緒に暮らして、あなたの子どもを産みたいの。あなたと同じくらい大きなおちんちんを持った男の子を。」っていう彼女に、「僕は神のこどもなのでそれは出来ない」と返したかえるくん。私だったら"仕方のないことね"って思い出にできちゃうほど美しくは生きてないので食い下がるけど、文学の世界にはこういうやりきれない出来事が光るよね。

  •  NHK のラジオ講座「英語で読む村上春樹(世界の中の日本文学)」で現在の題材になっている「かえるくん、東京を救う」はこの短編集に収録されているものだ。そこで他の村上春樹の短編も読んでみることにした。

     この短編集「神の子どもたちはみな踊る」には「かえるくん、東京を救う」の他5作品の短編が収録されている。私自身あまり短編に触れることがなかったので、味わい方が今ひとつピンと来ないが、サラリと読めたように思う。文学作品というより、もっとカジュアルなエッセイなどのように思えた。性的描写が割と頻繁に出てくることからも軽さというか現代性を感じさせるのかもしれない。最近のノーベル文学賞候補の作品はこういうものなのか。ちょっと軽過ぎるのではないかと感じられるところさえあった。しかし物語の展開の意外性などは、さすがは村上春樹と思わせ、楽しむことができた。

     今後は「1Q84」や「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」などの長編も読んでみようと思う。先ずは村上春樹の代表作といえる「ノルウェイの森」から入ってみたい。

  • (2013/12/19読了)
    神戸の大震災が、それぞれの話の中に登場する。登場人物や舞台が同じではなく、話の中心が震災という事でもないけど、連作となるのか?
    連作「地震のあとで」として連載された5作と書き下ろしの1作を加えた6作収録。
    ファンタジーあり、話の落ち所がわからないのものあり。連載された作品達は、少し不安定な気分になるような感じで、書き下ろしはハッピーエンドで、既読の村上作品を考えると珍しく思った。
    ひとつずつの話を読んでいる時にはそれほどの面白くは思わなかったけど、まとめてみればまあまあの感じ。

    (内容)
    しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった。生きること、死ぬこと、そして眠ることー1995年2月、あの地震のあとで、まったく関係のない六人の身の上にどんなことが起こったか?連載『地震のあとで』五篇に書下ろし一篇を加えた著者初の連作小説。

  • 不思議なエピソードが集まった短編集だった。
    長編小説と違い、気軽に読めるが、世界観にのめり込めない分、物足りない感じがした。

  • 2013.10.9
    かえるくん、東京を救うに出てくる片桐さんのような人が縁の下で社会を支えているんだと思う。

  • 久しぶりに読んだ。

    私も、緑のヘビの夢が見たい・・・・

    蜂蜜パイは、やっぱりちょっと泣けてしまう。。

    人間って、なかなかキレイにはいかないね。

    みんな、切ないよね。

  • 阪神大震災を遠景に、釧路、東京、茨城、バンコク・・・ほか、の人たちに起こっている日常生活を描いた短編5編。震災の喪失感に負けぬ劣らぬ日常生活の中の虚しさ、虚脱感があるのが皮肉。震災がTV、新聞の中の出来事でしかないのが神戸出身(私の高校の先輩)の著者の作品であるだけに一つのメッセージを感じます。

  • 13.7.12 ★好きな箇所★「焚き火が消えたら、一緒に死んでくれる?」「ええよ。」…「少し眠っていい?」「いいよ」「焚き火が消えたら起こしてくれる?」「心配するな。焚き火が消えたら、寒くなっていやでも目が覚める。」(「アイロンのある風景」より。若者は漠然とした不安。年を重ねれば消えない後悔。アイロンは暖かさ。日常。火は怖ろしいもの、かつ必要なもの。コントロールできると思うのは傲慢?→連想:映画「鉄コン」冒頭シーン)/短編集だったので、合うのと合わないのがあって、途中で返却。

    阪神大震災とかオウムのこととかが透けて見えるけれども直接的には書いていない。東北の地震が起こる前にも読んでいたら、自分の中で感じ方を比較できたけれども。

    最近、こういう話は意識的に距離をとって読むようになった。いいか悪いかは自分自身では分からない。

  • 「片桐さんはきっと、かえるくんのことが好きだったのね?」

    「機関車」と
    片桐はもつれる舌で言った、
    「誰よりも」。

    それから目を閉じて、
    夢のない静かな眠りに落ちた。

    (UFOが釧路に降りる/アイロンのある風景/神の子どもたちはみな踊る/タイランド/かえるくん、東京を救う/蜂蜜パイ)

  • 再読。もう何回目だ。これは村上春樹の中でも読みやすいし、比較的わかりやすいから好きなんだと思う。「地震のあとで」という連作短編だったのだ。この時の地震と言えば阪神大震災だけど、今や地震と言えば東北だもんなぁ。みんな好きだけど、最後の「蜂蜜パイ」が特に好きだ。こうやってうなされていた子どもがたくさんいたんだろうなぁ。淳平のように素敵な物語を作ってやりたいものだ。

  • 購入時以来、初の再読。神戸の地震がテーマの短編集ですが社会の疵とオブセッションでは、村上春樹の魅力が十全に出て来ていない感じがする。やはり個人の闇を描いてこその人。

  • ★★としたけどまあ★★+。長い話のほうが好きかな。

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神の子どもたちはみな踊るの作品紹介

しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった。生きること、死ぬこと、そして眠ること-1995年2月、あの地震のあとで、まったく関係のない六人の身の上にどんなことが起こったか?連載『地震のあとで』五篇に書下ろし一篇を加えた著者初の連作小説。

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