神の子どもたちはみな踊る

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534112

感想・レビュー・書評

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  • UFOが釧路に降りるー離婚した男が同僚に頼まれて北海道に荷物を運ぶ。

    アイロンのある風景ー焚き火をする男と男女。

    神の子どもたちはみな踊るー宗教絡みの奔放な母とその息子。

    タイランドー女性医師。石。

    かえるくん、東京を救うーでっかい「かえるくん」が地球を救うため、片桐さんと共に闘う?

    蜂蜜パイー淳平、小夜子と高槻の娘の沙羅と熊。


    短編はここで止まるのが短編だけれど、先の気になる話ばかり。
    UFOの小村「まだ始まったばかりなのよ」。
    アイロンの順子と三宅さん、焚き火が消えたら。そして、啓介。
    神の子どもたちの善也、母親。
    タイランドのさつき、二ミット。石と蛇。
    かえるくんの片桐、かえるくんとみみずくん。そもそもかえるくんの説明が何もないけど。
    蜂蜜パイの淳平、小夜子と沙羅。高槻、この友人はこれからも好き勝手に動くのだろう。いいやつではあるんだろうけど。

  • 神戸淡路震災の後をモチーフとした連作、というか六編それぞれは何も関連性はない。
    何かしらの棄損や悲しさは共通するが、結果希望を持たせるのは書下ろしの最終話のみといっていい。が、何らかの変換の後人生は進んでいくところは共通だ。
    震災と地下鉄サリン事件を経て書かれているはずだが、オウム的な事象を少しでもモチーフに取り入れているのは表題作くらい。オウムについては「アンダーグラウンド」にすべて入れ込むということなのだろう。
    短編集としては一番自分にハマったように思う。

  • 8月に芝居を観に行くので、久しぶりには読んでみた。

  • 「片桐さんはきっと、かえるくんのことが好きだったのね?」

    「機関車」と
    片桐はもつれる舌で言った、
    「誰よりも」。

    それから目を閉じて、
    夢のない静かな眠りに落ちた。

    (UFOが釧路に降りる/アイロンのある風景/神の子どもたちはみな踊る/タイランド/かえるくん、東京を救う/蜂蜜パイ)

  • この方は本当に、短編の才能があると思います。


    はぎれの良い文章で余計な言葉何一つ使っていない。非現実的なことを当たり前のように、説明なしに進めて行く度胸。


    どれも簡単そうで難しいことです。


    内容は言わずもがな阪神大震災を経験した村上春樹が書く短編です。どれも大胆に震災のことには触れていないので経験していない(正確には当時のことを覚えていない)私にも読みやすかったです。



    震災があった今だからこそ読もう!


    というような本ではないです。


    ・・・まとまらないなあ。

  • 震災をテーマにした作品で、独特の喪失感が読了後広がります。
    何度も読み返したい1冊☆

  • 私はハルキと同じ一人っ子である。それが 彼の文章に惹かれる理由のすべてだと言ってもいい。自己意識が何者かに動かされる感覚、「自分ではない何か」や「あちら側」の存在に、私たち一人っ子は昔から慣れ親しんでいる。「あちら側」と「こちら側」は等価・対等であり、ふたつの間で自己完結を繰り返すのだ。「踊り続けるしかない」と瞬間を生き続ける『ダンス・ダンス・ダンス』(88年)の「僕」もまた、きっと一人っ子なのだろう。

    95年、日本中が息を呑んだ恐怖がふたつあった。阪神大震災と、地下鉄サリン事件である。サリン被害者へのインタビューを徹底的にまとめあげた97年作『アンダーグラウンド』で、ハルキはふたつの悲劇にある共通要素について「圧倒的な暴力」と書いている。これは「あちら側」が「こちら側」と対等な関係ではなかったことを示しており、つまりは一人っ子の概念がひっくり返されてしまったこ とになる。一人っ子代表のハルキは、新たな手法をもってこのふたつの事件と向き合わなければならなかったのだ、どうしても。

    『アンダーグラウンド』の2年後に生み出された本作『神の子どもたちはみな踊る』は、震災のあと、世界がどのような表情を見せたのかを紡ぐ6編の物語からなる。自己完結で終わるものはひとつもなく、ときには優しく、ときには儚く、現在から見た「未来」を描いている。「善きものであれ、悪しきものであれ」。そこには静かな希望さえ漂っている。

    「僕」が個人的に生きるための行為に過ぎなかった踊りは、「人間」が相対的に想いを伝えあう手段に発展した。神をつくりだした人間=「神の子」が神に裏切られても、その事実さえも「こちら側」が総出で引き受けることを前提とした、一人っ子だからこその飛躍は潔い指針となった。最後の『蜂蜜パイ』で、小説家の主人公は「世が明けたら、これまでとは違う小説を書こう」と決意する。それはそのままハルキの想いと重なるように思える。

  • 村上春樹の短編集作品。


    村上春樹独特の消化不良感(でもどこか満腹・満足感)が最高です
    逆にこれがたまらないです。
    そしてどの話も秀逸で何かしら心に残してくれます。
    手にとって後悔がないと私は思いました。

  • £2.00

  • 神戸の地震がポイントポイントで出てくる。
    きれいな話。

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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