- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103534112
作品紹介・あらすじ
しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった。生きること、死ぬこと、そして眠ること-1995年2月、あの地震のあとで、まったく関係のない六人の身の上にどんなことが起こったか?連載『地震のあとで』五篇に書下ろし一篇を加えた著者初の連作小説。
感想・レビュー・書評
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個人的には『タイランド』『蜂蜜パイ』が印象に残ったかな。
阪神・淡路大震災が背景にはあるものの、必ずしもその題材に拘泥した訳でもないように見える。どれもまぁまぁで正直強いインパクトがない、やっぱりこの作家は短編にはあまり向いていないんじゃないかな。
上手く言えないけど、リズムの緩やかさとオチに拘らない態度からそう思うんですが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編6編の連作、久しぶりの春樹作品だけど やっぱりメタファー満載なので読み易い文章なのに考え考えしながら読了。毎度ながら読み手に色んなことを投げてきて答えはあなたが考えなさい!で終わりますね♪
阪神淡路大震災の5年後に出された「地震のあとで」連作。 -
これ短編集なんですよね、勝手に長編と思い込んで、読んでみたいと思ってたのですが…。
やっぱり、村上春樹さんの作品って不思議。
ファンタジックな雰囲気を醸し出していて、問題というか、謎は全て解き明かされない。
だけど歯がゆさが残るような不完全燃焼でもなく。
このファンタジックな感じが、好きなんだよね。 -
面白かった、短編集の中ではレキシントンの幽霊と並んで好き。
蜂蜜パイって題名がかわいくていいなぁ
神の子どもたちはみな踊るの雰囲気が好き -
遠い地で起きた阪神大震災を残響として聞きながら、人はしかし日常生活の中に戻っていかなければならない。その場合、とりあえず「今ここ」に存在する日常生活と「遠く」にある異常事態が共存したカオスのような世界を私たちは生きることになる。春樹がこの短編集で目指したのはそうした、「社会」の底が抜けた「世界」を晒すということではなかったか。春樹らしいセックスやスノッブな細部も控えめに綴られたこの作品集はそうした「世界」の崇高さ、神秘を指し示していると思った。真っ向から描くだけが震災のアクチュアルな表現になるとは限らない
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村上春樹の文はテンポがいい。私はそう思います。
そんな村上作品の中でも短編集という形をとった本書は特に読みやすく、忙しい理系大学生である我々の癒しとなってくれる本です。
難解な語、長い文などを用いずに独特の世界観を立ち上げていくその文体は他にはないユニークさで、気づいたら彼の世界に誘われています。突拍子が無い一方で、どこか懐かしさを感じさせるテーマは理解できずともしばらく心に残っているはずです。
中国など他の国でも人気な小説家なのでこれを機に一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
(応用科学系 B2) -
阪神淡路大震災の影響で書かれた物語。10数年ぶりに再読。前回と変わらず、あまりよくわからないが、蜂蜜パイが面白い。村上春樹は、男性の感傷的な心情を書くのがうまい。
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すごく読みやすかった。最後の蜂蜜パイが一番好き。
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これが村上春樹...これが村上春樹、なのか?
読みやすくて驚いた。磁石の入った水を飲んでるみたい。飲みやすいけど何か異物も存在する、不思議な感じ。 -
阪神大震災後、少し離れた場所で起きた話の短編集。
村上春樹さんは長編が好きかな。 -
神戸淡路震災の後をモチーフとした連作、というか六編それぞれは何も関連性はない。
何かしらの棄損や悲しさは共通するが、結果希望を持たせるのは書下ろしの最終話のみといっていい。が、何らかの変換の後人生は進んでいくところは共通だ。
震災と地下鉄サリン事件を経て書かれているはずだが、オウム的な事象を少しでもモチーフに取り入れているのは表題作くらい。オウムについては「アンダーグラウンド」にすべて入れ込むということなのだろう。
短編集としては一番自分にハマったように思う。 -
8月に芝居を観に行くので、久しぶりには読んでみた。
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珠玉の短編集
最後の蜂蜜パイが秀逸 -
嫌いではない筆致なのですが、、読み終わると相変わらずなにも残らない、、読了感。本来文字にしづらいものは文字にする割に、肝心なところがいつもボケているイメージ。阪神淡路大震災からのインスピレーションがこの内容なのか。。凡人には判読不明でした。
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1999年に「新潮」誌に「地震のあとで」とのタイトルで連作された短編に書き下ろし「蜂蜜パイ」を加えて出版された短編集。
この地震とは阪神大震災。
それぞれの登場人物は直接的な被災者ではないが、間接的に様々な影響を受けている。
「UFOが釧路に降りる」ーー阪神大震災のテレビ報道を5日間見続けた妻が、家を出て言ってしまう。
「アイロンのある風景画」ーー高校三年生の五月に海岸沿いの茨城のある街にやってきた順子。同棲相手の啓介とともに仲良くなったのは、海岸で焚き火をする三宅さん。
「神の子どもたちはみな踊る」ーー編集者の善也は母と二人暮らし。生まれた時から父はいない。
「タイランド」ーー甲状腺の免疫機能の研究をデトロイトで続けてきたさつき。証券アナリストのアメリカ人の夫と別れ帰国。
バンコクでの世界甲状腺会議に参加後、観光でしばらく滞在することに。
「かえるくん、東京を救う」ーー主人公の片桐は信用金庫融資課の職員。父母を亡くし、弟と妹の面倒を見て大学を出して結婚もさせた。自分は独身。何も失うものはなく腹が座っている。
そこを見込まれて、ある重要な仕事を依頼される。「かえるくん」に。
「蜂蜜パイ」ーー書き下ろし。
短編小説家の淳平。大学時代からの親友・高槻と小夜子。卒業して高槻と小夜子が結婚しても三人の仲は続いていた。
人は様々な縁によって紛動される。それをどうするかは自分次第。
人の為に明かりを灯せば、自分の前が明るくなる。 -
震災と関係ない風に、震災をなんとなく、しっかり散りばめた?
そんな本。 -
あっ、そういえば読んでいなかったと思って手を付けた短編集。神戸の震災を軸に語られる物語の数々。村上ワールド全開な感じでもちろん全編に渡って不思議だなーと思わされる話の展開と結末。村上好きにはたまらない一冊。