- Amazon.co.jp ・本 (618ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103534174
感想・レビュー・書評
-
大いなる秘密を、その秘密の事情に最も詳しい人から聞くという目的のためだけに、主人公は地下の超危険な地帯を命懸けで旅をしてきたにも関わらず、共に旅をしてきたパートナーは最初からその秘密を熟知していて、「言っても信用されないと思った」という高度に文学的な理由のためにずっと黙っていた、この点については、この際何も言うまい。何せこの小説、めっちゃおかしい(funny)。一応コメディーを意図して書かれたものではなく、人間の深層心理をテーマにした至極真面目な小説である。しかし笑える。
もう都市伝説化していることだけど、村上春樹の伝家の宝刀「やれやれ」が火を噴く。20回は出てくるんじゃないだろうか?こんだけやれやれされると、シリアスな場面でも笑えてくる。
また、主人公がとにかくおちんちんdrivenなのも最高に笑える。女を見るとまずセックスについて考える。ペニスについて想いを馳せる。登場する女の子は全員主人公と寝たがる。漫才である。
極め付けは、「僕のペニスが勃起しているのが感じられた。やれやれ、と僕は思った。」何と勃起からのやれやれ。「勃起やれやれ」型と呼ぶと便利ですので皆さんどうぞお使いくださいね。
登場人物のセリフがめちゃくちゃ不自然で、それもまた笑いを誘う。書き言葉に無理やり話し言葉の文末をつけているみたいなのだ。例えば、「メロスは激怒したの。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意したのよ。」とか、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したの。」とかやってみると、すごい村上春樹風になる。
内容はさておき、ネタ性に富んだ小説でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初・村上春樹。洗練された言葉、泥臭く骨太な文体と、作者に対して持っていたイメージを一変させる力があり、打ちのめされました。2つのストーリーがじょじょに重なってゆくのも感動的。「世界の終り」をどう捕えるのか、読者に問いかけていて、きっと読むたびに答えは違うのだろうと思います。きっと若い読者は計算士の生き方に憧れそうですが、自分としては、「世界の終り」に留まる方を選びそうです。しかしボブ・ディランのしわがれた声が耳から離れませんね。
-
村上春樹の最高傑作だと思うけど、個人的にはもっとバランスが悪いほうが楽しめる。1Q84の3巻みたいな蛇足感が欲しい。そしてそれを批判して楽しみたい。
-
村上春樹氏は日本の小説家であり、世界各国で彼の書籍が読まれています。近年では、ノーベル文学賞を受賞されるか否かの話題が頻繁に取り沙汰されますが、いまだ受賞には至っていません。今後、受賞されることになるかもしれませんので、そうなる前に村上作品に触れておくことをお勧めします。今回は推薦図書ということで、いくつかの村上作品の中から「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を推薦いたします。個人的にこの物語を非常に好んでいて、読むと幻想的空間に存在している感覚になります。この作品中には、「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」と称されるパラレルな世界が存在しており、・・・な作品です。一度、読まれてはいかがでしょうか。
(北九大 環境システム S.M.さん) -
角獣が生きる壁に囲まれた街にはがされ入り込んだ僕が町の謎に迫る物語「世界の終わり」と計算士という仕事で働く私が老博士より暗号化の中でも最高級のシャフリングを使う依頼を受け、事件の渦中へと入り込んでいく物語「ハードボイルド・ワンダーランド」。2つの物語が同時進行していく1冊となっています。
-
これ、村上春樹で好きなタイプ。
中2病で最高です。不思議な冒険したい。 -
面白かった
-
村上春樹作品、今までノルウェイとカフカしか読んだことがなく、どちらも心にずしっとくる作品だけど、なんか重すぎて個人的には好きになれなかったけど、これは凄まじかった。
世界観、細かい設定、一語一語の表現がまぁ凄くて凄くて。
村上春樹の天才ぶりを実感しました。 -
時間かかったけど、やっと読み終えたーー!春樹さん、なんてクリエイティブな人なんだろう…まだ二冊しか読んでないけど、ますますファンになりました♪
ハードボイルドの主人公の最後の時間の使い方がとても良かった☆
あと、出てくる食べものが全部美味しそう~♪