世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (618ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534174

作品紹介・あらすじ

村上春樹、80年代の記念碑的長編。

感想・レビュー・書評

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  • 完璧な街「世界の終わり」と現実世界の「ハードボイルドワンダーランド」を交互に描きながら人間の心のあり方を問うSF作品。

    現実世界では情報戦争の真っ只中。
    記号士から情報を守るため、人間の脳(無意識下)を使った暗号化技術が開発され計算士の主人公は手術を施される。

    記号士による追跡に対抗するハードボイルドな現実と、手術によって無意識下に作られた完璧で幸せな街。街は壁によって完璧に守られ、壁の指示のもと住人たちには役割が与えられる。それを淡々とこなすだけの幸せな世界…

    世界の終わりとハードボイルドワンダーランドは、無意識下と現実世界、単調な世界と困難な現実、箱入り引きこもりと外の世界、、、などのメタファーであり、あなたはどちらの世界を選びますか?と読者への問いかけ風にもなっている。

  • ・ふたつの世界が最後には交わるかと思ったが、交わらずに終わってしまった。

  • 初村上春樹にこれを選んで良かった...
    凄く余韻に残る重厚な童話的ミステリ(?)だった...
    序盤は三体(1,2)に似てる(面壁者part,VRによる仮想世界part)な...など謎なことを思っていたが、後半からは惹き込まれてなんとも言えない感情になっていた.結局、世界の終りの時系列も構造もいまいちハッキリはしないし、ハードボイルドワンダーランド側の結末も残さない感じで終ったがそれで良いと思う.ここでしっかりと終らせてしまうと陳腐になるのだろう..ところで、やはり「カラマーゾフの兄弟」は読まなければになった(1度挫折しているので読むのがかなり辛いが...)
    思っていたより「純文学」をしていなかったし、エンタメなんだなと感じた.各章のタイトルも特異感が出ていたし、文章も独特でこの空気に中毒になる人がいるのも納得の最高傑作だった.なんならオールタイムベストでもあるかもしれない

  • 二つの世界の繋がりを明らかにしていくストーリーは面白い。自分の中のもう一つの世界と、構造自体は他人により作られ自らは関与できない設定で、村上春樹らしい世界観で話が進む。最後も救いがあるのか、無いのか、いつものように読者が好きに続きを考えることができる含みを持たせた感じ。個人的には好きな部類。

  • 街とその不確かな壁のあとに読んだ。面白かった!!

    ハードボイルド・ワンダーランドの、地下の暗闇をひたすらに歩く場面で私の頭の中がつらつらと描かれてる文章がわたしは特に面白かった。
    他も全部、ずっと読んでいたいような文章。比喩がすごい。

    街とその不確かな壁よりも、疾走感があって冒険チックだったなと思う。

    あと、村上春樹さんの本はわたしはワインやビールを飲みながら読みたくなる。

  • ⚫︎受け取ったメッセージ


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

    〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。〈私〉の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、“世界の終り”の街から〈僕〉は脱出できるのか?同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?

    ⚫︎感想
    異世界へ連れて行ってくれる。
    世界の終わりは無意識世界、ハードボイルドワンダーランドでは意識的世界を描いている。
    二つの世界を科学技術「シャッフル」で行き来する。そして意識世界において、自己を受け入れ、世界の終わりで生きることを選び、新たな一歩を踏み出す。

    意識と無意識に等価を置いて物語が紡がれていく。モチーフが魅力的。

  • 10代の終わりに読んだ。
    この作品が、僕を読書の道に引き摺り込んだ。

    少年時代、もともと短編しか読めなかった。
    大学で一人暮らしを始めて、有り余る時間の中、村上春樹を読み始めた。風、ピンボール、羊。のめり込んだ。
    そして出会った、世界の終わりとハードボイルドワンダーランド。

    全く性質の異なるふたつの物語。
    動と静。
    あー、いや、説明したくない。

    いいから読んでください。
    頼むから。

  • 分かるような分からないような不思議な話

  • 最高。

    村上春樹の中で一番好き。好きすぎてヘンケルスの爪切り買っちゃった。

    いつものフォーマットが初めて出来上がった作品。
    80年代のバブル的な陽気さと、その裏にある寂しさ。
    名作。

  • 村上春樹の小説に出てくる女の人はどうしてこうも積極的で、そして主人公はウイスキーを飲みながら、言われるがまま引っ張り回されるしかないんだろう。ロールパンとソーセージの例えには「なるほど。」以外の言葉が出ない。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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