- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103534181
感想・レビュー・書評
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今月もいろいろ買ってはいるんですが、なかなか気い入れてのめり込めるものにあたりません。
先の日曜日に購入したのがこれ。村上春樹さんの小説を、それも単行本で手に入れ、読了するなんてのは、ほとんど10年ぶりくらいになるのではと。先だって、朝日新聞夕刊に掲載されてたインタビュー記事に触発されたんだな。
通勤及び営業に向かう車上で、合間を見つけては読み継ぎ、比較的短時間で読了。まあ、短編集やしね。独特の語り口には、幾分の懐かしさを抱きつつ、結構楽しめたのでしたとさ。
「風の歌を聴け」とか「羊をめぐる冒険」あたりでは、かなりリアルタイムで取り組んできたのですがね、働きだしてよりは純文学といわれる範疇のものとなれば、とかく疎遠になりがち。この人のものは、そんなジャンルの雰囲気にとらわれてもいず、そう気難しい内容でもないので、その都度押さえとけば良かったかなとも思う。村上作品が、我が思考の埒外に位置するようになったのは、初期作品群で顕著だった死者との関わりにこだわる姿勢が薄れてきたあたりからか。
初期作品でよく登場した芦屋浜のテトラポット地帯(おそらく)も、今や湾岸線に遮られ、ストレートには海に連なっておりませんからね。あ~ヤダヤダ。
作中のところどころでジャズに関する話題が挟まれるのも相変わらず。この奇譚集で綴られる冒頭のトミー・フラナガンのエピソードなんて、実は一番の奇譚なのかも。
ということで、J.J.Johnson「DIAL J.J.5」のバルバドスを聴きながら(現在は、1,500円の廉価版があります)。
(2005年記)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
苦手(笑)、村上春樹さんの短編集。奇譚の名の通り、不思議な話ばかり。結末がぼやけているのが想像を掻き立てるような。さらさらと読めて、不思議に心晴れる物語です。
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今いる場所がふわふわするような、不思議な。
強く感情移入をするのではなく、ずっと傍観者でいる感覚。 -
再読だった。。。
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【推薦文】
なぜかしらないけど有名で、新刊は必ずベストセラーになって、ちょっと興味はあるけどでもどの本もうんざりするほど長い!(笑)そんな村上春樹の作品が短編で読めます。村上春樹ワールドを保ちつつ、短くあっさりとまとまっています。『日々移動する腎臓のかたちをした石』だとか『偶然の旅人』だとか、妙な題名にそそられるものがありませんか?
(推薦者:生命工学科 B3)
【配架場所】
大岡山: B1F-一般図書 913.6/M
すずかけ台: 2F-ペリパトス文庫 913.6/M -
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」が気に入った。村上春樹の描く女は日本人離れしてて好きじゃないんだけど、この話ではそれが逆にいい味にはまってた。神隠しが起きるのは山や辻じゃなく、マンションの踊り場っていうのが現代的に乾いてていい。他のはそこそこ。
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奇譚(きたん)とは、不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない物語――。話題の四作品に、書き下ろし『品川猿』を加えた、村上春樹待望の最新作品集刊行!
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東京の不思議な物語集。四つの短編が収められ、ひとつひとつが不思議な小説。名前を盗む猿や、亡くした息子が見える海岸、人が消えてしまうマンションの階段・・・。そこに囚われる人々の様子をゆったりとした文体で描いている。日常の中からふと変な道に迷って、そこで不思議な現象を目にして、でもその道が終わるとやはり日常があって・・・、と。長編のような一種の疲労感はなく、味わうように読み進められた。