辺境・近境

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著者 : 村上春樹
  • 新潮社 (2008年2月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534211

辺境・近境の感想・レビュー・書評

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  • 本を読んでて「?、読んだことあるかも?」ということが何冊かある。この本は僕にとってまさにその類の本で、メキシコのあたりから「?」になり、香川の讃岐うどんで「!」となるのである。もう5回くらい読んでいるかも。でも全く損をした気持ちにはならない。好きな曲は何度聴いても良いものでしょう?

    さて、僕は決して村上春樹大好き!というわけではない。僕は男でストレートだから性的な対象ではないし(当たり前だけど)、割合上手く付き合ったり、離れたりしているほうじゃないかと思う。(もちろん好きな作家の一人です)
    ただ(あんなに売れている)「1Q84」を途中で放り出していて、もしかしたら自分がおかしいんじゃないかと思ったのだけれども、また時期が来れば読めるのかもしれない。みんなよく読めるなぁ。と感心する。
    あ、そうそう、この本の感想を書かなくては。この本は、彼の旅行記です。以上。ではつまらないので5回読んで初めて分かったことを。
    僕は今まで、彼の文章は割に平坦で冷静で起伏に富むことは少なく、平面のような文字通り2次元上の紙の上にある世界であると思っていた。もちろん、紙に書かれるということではあるのだけれど、1ヶ月旅をするメキシコも、アメリカ横断も、四国の香川県のうどんも、神戸を歩くのも同じ彼独特の軸があることがわかった。
    それは彼(村上春樹)の時間軸だ。3時間の話を20ページ書き、1ヶ月の話に60ページを割く(例えばですよ)ということは、それらが等しく平らにページに収まるように扱われているのだ。何が平等なのかというと、そこで村上春樹自信が感じた「出来事に対する思いの時間」だ。つまらなければ早く、興味深ければ遅く進むその時計の存在を決められたページの中に収めるということ。E = mc2(2乗)。真理は常にシンプルで美しい。

    そして、彼の時間軸と自分の時間軸がうまくシンクロすると本当にがつんとはまるのだ。頑丈な四輪駆動車の車輪が道に開いた穴ぼこに上手くこれ以上無いタイミングではまるように。
    僕の場合だとエッセイやメモアールに多いが「遠い太古」「走ることについて」とか良い例だ。
    そして読書5回目となるこの本では、チベットが「がちっ」とはまってしまった。前は、うどん、その前は、神戸とメキシコ、その前はアメリカの話ではまった気がする。

    二次元の地図の上を進む彼の時間軸によるエッセイという村上春樹敵3次元世界。彼が感じたこと、どうでも良いと思ったこと、生ビールを何杯のんでいるのか、締め切りやページ数が決まっている中で、その彼を通したこの世界は、どこに時間をかけるのか、何を感じるのか、そして何を感じたのか、そのタイミングがいつ、どこでくるかわからず、そして都度、機知に富み非常に興味深かった。

    マラソンが好きな著者は、決まった距離を極力同じリズムで走り続けること(もちろん、様々な条件で難しいけど)。それも一つの「限られた距離の中での時間」という考え方で見るとどうなるのだろう。残念ながら彼のように、ある程度規則的に進む針をもたないではない僕の時計は、また同じ本を読んで違う感想を書くのかもしれない。
    けれども、村上春樹はおそらく心に自分だけの時計(時間)をもっている、といっても良いと思うぞ、と僕は自分の中で確信したことをここで明らかにする。これを意識して読めば、また次の村上春樹の本が彼の3次元的世界を、まさに「行ってみなくてはわからない」旅のように、「読んでみなくてはわからない」彼の世界を自分の肌で感じる位に読めるんじゃないかと思うと楽しみでならない。(知らなかったのが僕だけだったら今更ですいません)

    旅は自分を変え、自分で想像した「こうであるはず」の旅を追記憶していくものだ。でもその奥深さは、やはり筆者の言うとおり、自分が何を見て、何を触って、感じて、そして自分というバイアスを通して何を伝えるかなのだと思う。
    だから近境も辺境も実は心持次第で、散歩も、通学路も、通勤も全てが旅となりえるのじゃないかと思う位、突発的偶発的なそのときでしか味わうことの出来ない旅をしたいと思った。

  • いろいろな人の旅行記があるが、さすが村上さん‼︎って感じ。もちろんいい意味で。時々クスっと笑わされた。

    海外だけでなく、国内もあるところが、いい。四国に行ってうどん食べたくなった。

    ノモンハンは、ねじまき鳥を読んでいたので感慨深かった。今も戦争の跡あるのかなー。

  • 通常の配架場所: 2階開架
    請求記号: 915.6//Mu43

  • アメリカが好きな村上春樹さんもアメリカを車で横断しているときの食事情の単調さにうんざりしているのが、共感できた。

  • 日本の無人島、メキシコ、中国とモンゴルの国境ノモンハン、アメリカ横断の旅行記と震災後の神戸を歩いたりアメリカのある町のことをかいたり。
    メインはノモンハンなんだけど、ホカも面白いです。個人的には無人島に1泊しかできなかったのが好きです。その理由が笑える。
    同行カメラマンは朝日堂でもおなじみのエイゾーさんです。身体はタフなように見えて、精神的に弱いという。メキシコではタフな人だなと思ったけど、無人島とラスベガスのカジノでは悲しいところを見せてくれます。

  • 村上春樹の旅行記。世界、国内に旅した記録。入院中に気晴らしになるかと思い、読了。
    まぁ、旅行記。ノモンハンの草原で、戦争のことを思い出したり、香川のうどん屋をめぐったり、アカプルコの飛び込みを眺めたり、瀬戸内海の無人島で虫に追い回されたり、メキシコのバスのBGMに苦悩したり、どこでもビールを呑んでいたり。

    ただ、のんびりとしているようで、旅行記を書くにあたりただの感想ではなく、人に伝える難しさが書かれているあとがきは秀逸でした。

    --------------------
    こんなことがあったんだよ、こんなところにも行ったんだよ、と誰かに話しても自分がほんとうにそこで感じたことを、その感情的な水位の違いみたいなものをありありと、人に伝えるのは至難の技。それをなんとかやるのがプロ。

  • さぬきうどん屋めぐりの参考に。
    なかむらやさんは死ぬ前に一度は行ってみたいものです。

  • 世界各地を旅した文章を集める。無人島でのキャンプや香川でのうどんの食べ歩きはユーモアが漂い、メキシコや中国、モンゴル国境、アメリカ横断などの文章にはいつものニヒリスティックをかなぐり捨てて、戸惑いながらも異文化と接触を試る生の著者の姿が。

  • あまり声を大にして言えないのですが…。村上春樹は小説よりこういう旅行記のほうが好き。

  • 2011.11.19 開始
    2011.12.18 読了

    村上春樹の紀行集。
    いろんな時期、いろんな場所、いろんな考え。
    ひとつひとつそれぞれがそれぞれの色。

    ノモンハンに関するエッセイがいちばんグッときた。

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辺境・近境の作品紹介

1990〜97年、瀬戸内海の無人島に渡り、メキシコでバスに揺られ、モンゴル平原の戦場跡を訪ね、北米大陸を横断し、香川で讃岐うどんを食べ、震災後の神戸を歩く。村上春樹のロード・エッセイ。カラー口絵収録。

辺境・近境の単行本(ソフトカバー)

辺境・近境のKindle版

辺境・近境の文庫

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