- Amazon.co.jp ・本 (75ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103534303
感想・レビュー・書評
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カンガルー日和にも収録。図書館の地下牢に閉じ込められ、本の暗記を強要される。仄暗い不思議な世界観。羊男や美少女が登場する場面もありホッとする。
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初!村上春樹さん読みました
これは超短編で読みやすかった!挿絵も綺麗
図書館で見つけた作品
これが村上春樹さんかー!是非いろいろ読んでみたい! -
『図書館奇譚』は一般的にはメジャーな作品ではないと思うけれど、村上作品ではお馴染みの「羊男」というキャラクターが出てきたり、超現実的な展開であったり、異世界に行くストーリーであったりと、村上春樹のエッセンスが詰め込まれている。例えたら、村上春樹版の「不思議な国のアリス」のような小説だ。
村上春樹作品の中では『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に雰囲気が近いと思う。大人向けのファンタジー小説だ。僕はこの『図書館奇譚』を、主人公の「僕」が図書館の地下に行って帰ってくる中で成長(母離れ)する物語として読み解いた。
「母殺し」と書くと物騒だけど、子が親から自立するということだ。僕は図書館からの脱出を試みる中で、母親からもらった靴を図書館の地下に置いてきてしまう。その後。「僕」は文字通り自分の素足で図書館からの脱出を試みるのだ。それは母親の庇護の下から離れ、自分の足で歩く(自立する)ことを象徴していると言えるのではないだろうか。そうやって「僕」は母親からの自立(母殺し)を象徴的な意味合いで達成したのだ。
同じく羊男が登場する『羊をめぐる冒険』は父殺しの要素が出てくるから、比較して解釈すると面白ろそうだなと思う。 -
図書館で軽い気持ちで調べ物をしようと思ったらおかしな老人に騙されてあるはずのない地下深くの廊下に囚われて脳味噌を喰われそうになる。
大人向きのダークな童話。
いつの間にか不思議な世界にふっと入ってしまう。 -
装丁とイラストで、雰囲気って変わるね。
カンガルー日和を読み直したけど、全然違う。カンガルー日和では可愛らしいお話しが、こんなにおどろおどろしくなるなんて。
アナログの本の可能性ってまだまだあるよね。 -
非現実的なのに文章の世界にスッと入り込める自分がいる。前作よりずっとダーク。イラストも私のツボでとても良かった。
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挿し絵と不気味な世界で引き込まれた。
最後お母さん出てきて考えてみた。
老人はお母さんの感じ?支配的な母親だったのかなと。羊男は自分とか。よくわからないけどそこがいい。 -
村上春樹。
日本で最も有名な作家の一人で、世界でも有名な作家の一人である。
読書家だと自負している私だが、村上春樹を読み通したのは実は本書が初めて。
というのも、小学生から中学生にかけて、村上春樹を読んだことがあるものの、苦手意識があったのだ。
しかも、村上龍と角川春樹とごっちゃになってしまっていたという、どの口が読書家というのやら、な認識もあり、かなり久しぶりに手に取った次第である(今は区別はついています!)。
イラストを手がけるのはドイツ人画家、カット・メンシック。
個人的には、日本人にもなじみやすい絵だと感じた。
その理由として、色を抑えていることで、切り絵を思わせるからではないかと思う。
さて、本文について、図書館はまさに不思議空間である。
一冊一冊に異なる世界が描かれ、それは無数の、しかし薄くて軽い扉たった一枚のの向こう側にある。
主人公の「ぼく」は、その不思議な世界に迷い込んでしまった。
「知識の詰まった脳味噌というのはとてもおいしいものなんだよ」
羊男は語る。
確かにそうかもしれない。
グロテスクでありながら、そうかもしれないと思わせる、この世界!
牢獄から出ようとする「ぼく」と、美少女と羊男。
三人は一緒に閉じられた世界から出ようとした。
しかし、一緒に、という言い方は間違っているのかもしれない。
なぜなら彼らの世界は同一でありながら、異なる世界に生きていたから。
私は図書館でたくさんの夢を見、知識を得た。
そしてもっと頭が良くなれば、もっと知識を得られたならば、と望んだ。
「ぼく」はちゅうちゅうと脳味噌を吸われるのを嫌がったけれど、知識と引き換えなら私はどうするだろう? -
図書館で何となく読んだ本。場所も相まって背筋がぞくぞくした。
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不思議で幻想的(残酷的)なお話。冒険活劇として最高な1冊でした。