ニッチを探して

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著者 : 島田雅彦
  • 新潮社 (2013年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103622086

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ニッチを探しての感想・レビュー・書評

  • 家族から職場から、突然の失踪。中年銀行マン、藤原道長は会社のカネを着服し、にわかホームレスとなり、誰も知らない自分だけの居場所「ニッチ」を求めて東京都内を歩き回る。先住のホームレスから教えを受けたり、施されたり。オヤジ狩りにも遭い、痴呆症の美魔女から自宅に招待されたり。そんなこんなを繰り返し、彼は立派なホームレスへと成長する。

    しかし、「ニッチ」はなかなか見つからない。やがて、彼の着服金を追って、悪の組織が動き出す。

    小説という形式だが、これは都内ホームレスのHow To本だ。どこで時間をつぶせるのか、食事ができるのか、睡眠をとれるのか、具体名をあげて詳細に説明されている。おそらく、著者もプチホームレスを体験したのだろう。ものすごく具体的。屋根と壁が人間の安らぎの源なんて表現は体験しないとわかるまい。

    沢木耕太郎の「深夜特急」を読むと一人旅をしたくなるように、この本を読むと、無性に野宿をしたくなる。

  • 「21世紀版東京版ユリシーズ」と帯に書かれた作品。

    とある事情で逃走という名の放浪生活を余儀なくされた中年男の東京近郊ロードムービー。「ニッチ」=生物に適した生存の場所・条件、は多様である。しかし存外、人は家を持ち、仕事を持ち、家庭を持っていると日常=「自分のニッチ」以外のニッチには目が行かないものである。
    主人公道長は、放浪生活の中で東京近郊にもかくも多様な生命と日常が存在していることを知るのである。

     島田雅彦自体は、キザな二枚目、サヨク、独身貴族・・・みたいな鼻持ちならないイメージが強かったが、新書「酒道入門」を読んで完全にイメージが間違いであったことに気付いた。この作家は、世界や周縁的なもの、に対して愛着をもった眼差しを持っている。最近読んだ中では、開沼博さんの「漂白される社会」と共通点を感じる。
     多様なニッチにおける生の営みから、都市における現代社会の問題を独特の視点で切り取っている。学生時代にデビューし、その後数年感に渡り世界各国を放浪した島田さんならでは、だ。途中、漱石の則天去私ではないのかなと思うような境地も垣間見えていて、このへんは自分が5年10年した時にどんな心境になっているのかも気になり、再読は確定な小説となった。

  • おもしろかった。
    初めての島田雅彦作品!
    ストーリーは結構好みだったが、表現が面倒くさいことが度々あった。
    まぁ、好みの問題ですけど…

  • 話自体は面白いのです。
    ただ、いかんせん序盤で、妻子持ちの男性があっさりデリヘルを利用しちゃうシーンが、免疫力のない私にはショックでした。

    娘さんとの信頼感溢れるやりとりの中でも、つい、序盤のことが思い出されてしまい、主人公・道長を素直に応援しきれませんでした。

    物語全体からすれば、かなり瑣末なことなのですが。

    話自体は面白いです。

  • もう少しやり方はなかったのか。
    銀行と金融ゴロの不正を暴くにしても。匿名の内部告発とか。
    NPOに融資して1億円残して不正に着服したように見せかけて自分は雲隠れ。プータロー生活。
    路上生活もリアリティがあるのかないのか。その場しのぎ。家族に心配をかけて、生き残れたから良かったものの、埋め殺される寸前。
    ハラハラしながらも、どこかで冷めていた。

  • タイトルにあるニッチとは生物の多様な生息に適した場所、もしくは条件のこと。家族も仕事も捨てて、ある日突然失踪した銀行員の藤原道長。彼が自分の生きやすい場所を求めてさまよう物語と思いきや、銀行の事情や、それに対する彼の思いなど色々あってだんだんサスペンス的な色合いまで出てくる。久しぶりに一気に読まずにいられない小説に出会った。

  • 久々に手にした島田雅彦作品。痛快!

  • ★3.5。父の謎かけをすぐ娘が理解するあたりはやや都合良すぎに感じたけど、現代人が突如全てからドロップアウトして”ニッチに”生きようとする様がリアルに描かれていて、今のホームレスの生態など面白かった。

  • なんかミステリーなのかなと思ったんだけど、、、。
    自分探し?なんかよくわからなかったな。
    やっぱこういう話はいまいち好きじゃない。

  • 正義を貫き社会から離脱したホームレスで生き抜くお話。
    ライトにリアルに現代のホームレスの生き方が書かれています。
    なかなか面白い。

    事件との関連づけは、まあまあなのでしょうか。

    ニッチ(居場所)を探して…

  • 表紙の犬が、ニッチだと、思って読み進んで行ったのは、いいが、背任容疑の疑いをかけられ、逃亡する銀行の副支店長である藤原道長が、主人公である。
    初めの文章からは、何が、言いたいのか?
    ただただ、逃亡劇の話で、ホームレスのサバイバルゲームのごとき、持ち金の残高計算と、食料調達などで、何が、訴えたいのか?
    残った家族は、どのようにしているのか?
    主人公としては、いいだろうが、家族や、その後の生活はどうするのだろうか?と、考えるのは、現実主義なのだろうか?
    金銭問題だけでは無い。

    無実の罪で、痴漢扱いになった人物でさえ、仕事も、ふいにしてしまって、元には戻れなかったと、報道されていたが、この小説では、生き延びるための知恵が、書かれているかもしれないが、この続きが、知りたいと、思った。

  • 銀行員がホームレスになり、その後の珍道中?
    が描かれている
    最後は背任の疑いが晴れる

  • 面白かったけど、やけに時間がかかった。色んなエピソードにどんな意味があったのか?
    魅力的な表現が沢山あって筆力と言うより表現力に酔った。

  • 中年サラリーマンが会社の不正を暴いて離脱しホームレスになり逃亡する話。なかなか面白かった

  • 大手銀行の都内の支店に勤める道長が突然失踪します。
    銀行からは背任横領の嫌疑をかけられ、妻は女性との失踪を疑います。

    銀行員から「離脱」し、着の身着のまま失踪した道長は、超高級ホテルで1泊豪遊後、ホームレスの第一歩を踏み出します。

    炊き出し、野宿、食糧探し、段ボールハウス etc.
    ホームレスの先輩から手ほどきを受けながら、自分が生き延びられる場を求めて、警察や謎の追手の影を逃れて逃走劇を演じます。

    道長の失踪は計画的です。
    銀行からの離脱が単なる逃避でないことは、読み進むにつれ明らかになります。

    なにもニッチ(=生存のための適所)探しは道長ばかりではなさそうです。

    学生時代に書いたデビュー作が芥川賞候補に、その後何度も候補になりながら受賞できず終い。
    人気作家として成功を収め、50代に入り、作家島田雅彦として生きていく道を探る姿に重なります。

    この小説の主人公の名は藤原道長は、平安時代の貴族と同じ。しかも娘の名まえまで同じ。

    平安時代の道長は、兄弟の後塵を拝しながらも、我慢と強引かつ根強い活動で摂政に昇りつめた人物です。

    島田雅彦は自ら平成の道長を目指している?
    50代の作家島田雅彦の野心に拍手。

  • 銀行員の藤原道長が不正融資に反発して、自分が妥当だと考えた線で金を動かして突然失踪する.動機は理解できるが、その後の行動は非常に突飛だ.初日に高級ホテルに投宿するのは頷けるが、北区での行動、野宿、廃車での寝泊まりは読んでいて楽しめる.みっちゃんとしてアルツハイマーの倫子との生活は笑える.最後には黒幕の中国人に捕まり埋められるが、なんとか生還.なんとも楽しい読み物だった.

  • 浮浪者は大変だ!辛そうです。うちの近所にはいないのだけど、どこにいるんだろう?

  • 銀行の副支店長が失踪して、ホームレスになる。自分自身にニッチを当て嵌めてみると、とても『王道』を歩めないし、近寄れない身としては、やはりニッチをみつけて、生きるしかないだろう。島田雅彦氏の著書に今のところ『ハズレ』なし。純文学で、なおかつ下世話な要素もふんだんな氏の作風は文壇ではニッチなのだろうけれども。

  • 【Entertainment】生き方ニッチを探して/島田 雅彦/20140104(2/177)
    ◆感想
    皆、同じような場所、生活スタイル、会社で暮らしていると、求めるものが似通ってしまい、競争は激しくなる。結果、自分の満足度が低かったりする。ところが、少し視点をずらし、他人と違うことならば、競争はぐっと低くなり、満足度は高くなる可能性が高い。それを気づかせてくれた。これは、ライフスタイル、趣味、会社でのポジショニング等々あらゆることに成り立つこと。
    ・誰しも自分に適ったニッチを見出し、ハッピーに暮らしたがっているが、だれも似たような欲望を追及し、同じような生活スタイルを求めているので、競争が激しい。しかし、多少好みをずらせば、まだ空きニッチはある。
    ・おのがニッチを持っていること。
    ・ほじくりゃー、鼻くそ以外にも何かしら出てくる。
    ・どこにでも入り込む隙間はある。世の中と世の中の隙間、それが世間。人と人の隙間、それが人間だ。
    ・荒行は意外にも慣れてくれば苦の中に楽を見つられるようになる。続けているうちに、随時気や力を抜きながら、耐えどころは耐え、流すところは流し、なにか楽しいことや笑いはなし等を思い浮かべながら、走っている。そんな勘所をつかめたら、どんな非日常も日常に組み込める。
    ===qte===
    ニッチを探して 島田雅彦著 都会の流浪者暮らしを描く
    2013/9/8付 ニュースソース 日本経済新聞 朝刊  小学校「お受験」に始まり、中学高校の「スクールカースト」、大学受験じゃ模試の結果に一喜一憂。就活戦線は異状ばかりで、入社後は取引先や上司のパワハラ、板挟みの中間管理職を経てようやく管理職になったと思えばデフレに不況に業績悪化。といって専業主婦もママ友づきあいに介護にと、どこに行っても安住の地などありゃしない、と生きづらさに嘆くあらゆる世代のあらゆる皆様、そろそろ新しい自分の居場所を探しませんか?

    (新潮社・1700円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
     そう語りかけるのが本書『ニッチを探して』だ。

     主人公は、銀行副支店長まで上り詰めた52歳。けれどもひょんなことから会社の金を使い込み、身分を隠して逃亡の旅に出る。最初はおずおず高級シティホテルで豪遊、次いで昼間の居酒屋にネットカフェ、山谷の簡易宿泊街で炊き出しを受け、公園や古城の廃墟(はいきょ)。スーパーの試食品で糊口(ここう)を凌(しの)ぎ、丘陵に捨てられた車を舞台に一夜城の主となって……と「How to今日からホームレス」的に、都会の流浪者暮らしが描かれてゆく。

     流浪と呼べばいかにも転落めくが、民俗学者の柳田国男や赤坂憲雄が非定住民を論じた例にもある通り、漂泊は伝統的ライフ・スタイルのひとつだ。まして、あらゆる生きものは「それぞれの生息に適した場所を占める。その場所もしくは条件を『ニッチ』と呼ぶ」のだと著者が書くとき、主人公・藤原道長のニッチ探しの旅はそのまま、読者たちへの旅立ちの誘いとして響く。

     むろん誰もが今から放浪の旅に出られるわけでなし、捨てるに惜しい家族や日常に取り囲まれてもいるだろう。だが「いざとなれば、無理にこの場で生きなくてもいい」と新たな視野が開けるだけで、いまここで生きることが少し楽になる。その気軽さが結果的に、日常の小さなニッチに目をとめさせもするはずだ。

     小説家生活30年、ついには『芥川賞落選作全集』(河出文庫)まで刊行したキャリアは伊達じゃない。“文壇の王道”を期待されながらも、何故か居心地悪げに“文学のニッチ”を求め続けてしまった著者が送る、キュートな「流浪のススメ」だ。

     読んであなたも「小さな漂泊」してみませんか?

    (批評家 市川真人)
    ===unqte===

  • 銀行員である主人公、藤原道長は上司の不正融資を見過ごせず、融資先を独断で東北復興支援団体などに変更し、また、その一部を横領して失踪し、銀行や警察から逃れるためにホームレス生活をはじめ、都内を転々とするお話です。

    ちょっと哲学的な雰囲気を匂わせつつスリルとサスペンスもあり、なのにホームレス生活の細かい描写が面白く、全体としてはユルい空気感が笑いを誘います。笑いのセンスもいい!
    そして何より、文体が独特で私てきにはかなり気に入りました。解説書的な程よい堅さがすごく好み☆

    それと、主人公の藤原道長は言わずと知れた平安時代の政治家の名前ですが、妻の藤原香子は平安時代の世界では紫式部の本名で道長の使用人、娘の藤原彰子は平安時代も娘なんだけど、放浪の途中で出会うキャンディハウスの魔女である源倫子は平安時代で言うと道長の正妻なんです。妻が使用人で、匿ってもらった彼女が正妻だったというシュールな配役にも笑えました。ちなみに私はその時代が好きなので、彰子(あきこ)の事は「しょうし」と、倫子(のりこ)のことも「りんし」とどうしても読んでしまいました(笑)
    こんな面白ポイントが気が付かないだけで他にもあるのでは?と思い、登場人物の名前をスマホで検索しながら読んだら、コールガールが本物のAV女優だったりしてびっくりしました。

    いろいろ楽しんだので☆5つにしたいところですが、ラストがハッピーエンドなのはいいのだけど、余りにもあっさりしすぎて物足りないので-1します。ざんねーん。

  • 都市の隙間に居場所を見つける物語。

  • 主人公やその家族の人物描写があまりに希薄で、どうにも現実感が得にくいところもある。おかしな感情移入をさせず、進行中のドラマに没頭させる意図があるのかもしれない。

  • 面白かったです。中年の銀行マンが社内の不正を正すべく会社のお金を持ち逃げして失踪するロード小説。ホームレスになり都会でのサバイバル生活が実にリアルに描かれていて今すぐ誰でもホームレスで生きていけるアイデアが詰まっていました。男性向けですが。

  • 最後は家族が会えるのか?

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ニッチを探しての作品紹介

会社を辞めたい人、すべてを捨てて失踪したい人、居場所を探している人、必読! 大手銀行に勤務する藤原道長は、行内で背任の容疑をかけられ、妻と娘を残し失踪する。サラリーマン生活の離脱初日は優雅に鮨をつまみ高級ホテルへ、翌日からは下町の酒場、公園の炊き出し、路上、そして段ボールハウスへ――。所持金ゼロで生き延びるためのニッチ(適所)はどこにある? 東京をサバイバルする実践的サスペンス。

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