学問

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 252
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103668138

感想・レビュー・書評

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  • 矢沢あいの漫画を白樺派チックな文体で描いた・・・そんな印象を受けました。ベースとなるのは「晩年の子供」でしょうか。女子校だったのでいつもこういう思春期の男の子女の子のやりとりを見るたびに(世間ではこんなにあっけらかんと語られていることだったのか・・・)と未だにびっくりし、ちょっと馴染めない私がいます。が、終盤、ジャズ喫茶以降の描写はやはりさすが・・・・。私にとってのこの1冊、には成り得ないけど良い試みの作品だと思いました。「目に見えない手間をかけられた人なんだ」・・・こういう描写が、山田詠美・・やはりたまりません。

  • Dig it!学問ってのは穴を掘ることだったんですね。
    それは何かを見つけること、あるいは失うこと?
    山田詠美はデビュー当時から長年のファンです。全作品を読んでいるわけではありませんが、出来不出来はともかく、安心して小説の世界に連れってくれる貴重な作家なんで、彼女の本を手に取って読み始めるときは心弾みます。
    昭和40年から50年にかけての、地方のある町を舞台とした四人の少年少女が織りなす欲望のコラージュ。欲望っていうとちょっとアレだけど、要するに生きること。食べる、眠る、気持ち良くなる、物にする、といったエレメントがちょっと図式的すぎるくらいそれぞれ四人に割り振られているけど、「奴隷なんかじゃない、私は、愛弟子になったのだ」と快感について、幼きマニフェストを掲げるに至った仁美のマスターベーション遍歴が、かつて男の子だった僕の「しこしこ」以前のオナニー経験と重なり、めまいを覚えるほど揺さぶられました。なるほど、小説はフィクションかもしれませんが、僕らの記憶だって同じようなものじゃないのかな。衝撃的な発見だったけど、愉快なことでした。それと、男の妄想、女の想像力、私の自慰は秘密の儀式、セックスはぬかるみの共同作業、毛布を掛け合うような調子で、覆い覆われるのを繰り返すキス、なんていう表現に出合うと思わずうれしくなります。

  • この本に『学問』とつけたセンスに脱帽。
    最後まで読んでこれが山田詠美による学問だ、と。

    「私ねぇ、欲望に忠実なの。愛弟子と言ってもいいね」

    山田詠美の集大成といっても過言ではないこの作品。
    過去の作品の良いところをすべて集めまた新しい形にしましたという感じ。実に素晴らしい。
    こんな風にひとつひとつの仕草や情景を事細やかに描ける人いないのではないか。とくに愛というものに対して、男と女のあの独特な空気感に関して。
    山田詠美の描く性愛。生と性の輝き。
    読んでよかったと思った本です。

  • 山田詠美 学問

    これはもう、書かれた時点で古典作品として佇んでいるような作品です。


    生と死。


    てんちゃんと ふとみ 仲間達は私の、心の中に住んでいて
    思い出すことになぜか胸がギュッとするのだ。

    この作品の言葉一つ一つが研ぎすまされている。

    詠美様   この作品を生み出してくれてありがとう。

  • 山田さんの本は初めて読みましたが、甘酸っぱく切ない昔日を思い起こさせてくれる作品でした。

    1章ごとに登場人物たちの最後から始まるのですが、読み進めていくうち、生と死、というより、生活と死、というような感じを抱きました。
    小さな頃から一緒に過ごしてきた友人、昔はよくわからなかった言葉も、感情も、駆け引きも、性も、成長するにつれ、少しずつわかる。自ら知りたいと学んだこともあれば、いつの間にか身に付いているものもある生活上の知。頭で理解し、体で理解する生物の欲望。
    細かくてしつこい描写が逆に自分の中の懐かしいものを思い起こさせ、あの時はハッキリと理解していなかった自分の感情を文字に起こしてくれているようです。

  • ブコフにて。久しぶりの山田詠美。うーん、、、テンちゃんは魅力的ですが、結局何が伝えたかったのか。そして結ばれないのか結局。

  • 途中までしか読んでない…

  • 山田詠美連続二册目。
    一冊目なんだったっけ?

    この本は、ある仲間の成長とその各々の人生の終わりについて
    言及しているのだけど、
    その過程でいろんなことがあって面白い。
    っていうとちょっと違うか。

    『学問』ってそうゆうこと?みたいな。

  • 7歳の時、引っ越して来たばかりの家の裏山を探検していた仁美は男の子の前でシッコをしかぶる。そこから始まる4人の子ども達の物語。
    オトコにはわからない女の子の性。

    「学問」のタイトルとはうまくつけたものだ。

  • いちいちゾクゾクしてしまいます。
    あれをこんなに上手に文章にできるなんてさすがです。
    でも登場人物たちの恋愛経験が豊富すぎて、途中から共感しにくくなりました。(笑)

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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