二十四時間

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103710059

感想・レビュー・書評

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  • 一日は二十四時間である。
    そんな簡単なことを忘れがちでもあるが、
    その一日の時間帯を上手に利用して
    書かれたのがこの作品である。

    二十四時間のそれぞれの時間帯で
    主人公の思い出やエピソードが書かれていた。
    合わせて二十四の連作短編集である。

    零時から二十四時まで順番にならんでいるわけではない。
    「二十三時」や「十八時」というように
    章のタイトルも時間名で記されていてが、
    エピソードも時間軸が順番になっているわけでもなかった。
    今までにない、
    ちょっと変わったスタイルの小説だった。

    最初、まったく別の人物のエピソード集かと思ったが、
    同じ名前の飼い犬が何回か出てきたので、
    全部の章の主人公は同一人物なんだと、途中からわかった。

    時間軸が前後したりするが、
    章ごとのストーリーは
    その時間に込められた短編の人生ドラマを感じさせる
    面白い出来だった。
    作者は自分の半生を描いているのかもしれない。

    では自分の半生は? と振り返ってみると、
    二十四時間省みても、
    自分には時間に込められたエピソードは無いようだ。
    なんだか寂しい、と想う。

  • 二十四時間ってタイトルと、ぱらっとめくってみた目次に並んだ「二十三時」「十八時」…という章から、ピッッッピッッピッピピピピピピーーーーーの音が頭の中で鳴りドラマの「24」を連想して勝手にそういうミステリーだと思い込んで読み始めたのでした。一章目、二章目、、、ページを繰れば時代も場面が変わり一向に事件も起こらない。この主人公はもしかして!?と、ようやく気付いたのだけど、これは何時という時刻とその時刻に絡めた思い出がつづられたご本人のエッセイでした。乃南さんのミステリーといえば、これまた勝手に寒・冷・鋭・尖・惨・灰色とか薄暗いとかそういうイメージ。なのですが、このエッセイは赤く染まる夕陽のような懐かしい色に包まれてる。乃南さんとはちょうど10歳違いなのですけど、子供時代の話にはあるある話が多いし、ジャンルは違えど学生時代の自分だけが疎かった話なんか「そうそう!そうだよね」と話しかけたくなるくらい。読む章によっては、すっかり記憶からなくなってたような昔の思い出をふっと思い出したりもしました。凡人と違うのはそういう普通の出来事が、雑多なままではなく風景が見えてその場にいるような気持ちになること。自分もこういう風なメガネで事実をいつも見られたらどんなにいいだろう。

  • 短編集仕立てのエッセイ。ん・・・あんまりおもしろくなく途中で挫折。最後まで読む気になれなかった・・・。

  • 12/04/15 最初は面白いが、後半はダレ気味。

  • 10ページ程度の短篇が集められている。45ページ(4編)まで読んだが、ピンと来ないのであきらめた。

  • 24の短編からなる。過去の思い出から1時間ずつ「17時」というような独特の時間を短編にしている。最初は別々の主人公であるかのように描かれているが、読み進めると同一人物ということがわかってくる。

  • 津市安濃図書館。

  • (「BOOK」データベースより)
    「私には小説でしか絶対に起こりえないような、24の不思議な体験があります」

    小学生時代、深夜放送にチューニングしたまま微睡んだ耳が異形の者たちの会話を捉えた「午前零時」の恐怖。一人暮らしを始めたアパートの階上で繰り広げられた修羅場に否応なく想像が走る「午前二時」の興奮。二十四の時間帯それぞれに刻まれた痛切な人生のステージ。過ぎ去った記憶が不思議な二十四角形を描く初の連作短編集。


    しばらく読み進めて、乃南さんの体験を書いた小説なのだと初めて気づいた。こういうこと、あったなぁと思うような何だか懐かしいものもあれば、へぇ、こんなこと考えてたのか…と思わされたり。

    一番は、愛犬、くまの生まれ変わりのネコのお話。「十五時」
    もうひとつ、笑ってしまったのは、ストの為に、同僚のA子と会社に泊まりこむことになった時のお話。「二十時」入浴そのものの経験はないのか、というツッコミがよかった。

  • 一時間枠で、物語を区切っている作風に感心~~。

  • 初めて読むのがエッセイだった。
    読みやすい。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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