風の墓碑銘

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 421
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103710073

感想・レビュー・書評

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  • 音道貴子シリーズ。
    久しぶりに読みましたが、やっぱり面白かった!
    しかも、本作では滝沢刑事とのコンビが復活。
    相変わらず、ぶつかり合いながらも、名コンビぶりを発揮して事件の真相を解明していきます。

    読み進めて行くうちに、事件や人間関係が絡み合い、そこに音道や同僚刑事の恋愛模様まで・・・どうやってまとめるのだろうと思いましたが、そんな心配は必要なかった。
    事件の真相はスッキリしないけれど、最後の最後で読後感は悪くないかな。

    音道と滝沢の関係が、少し変化しているところも面白かった。
    章ごとに、音道と滝沢の視点が入れ替わっているのも人物描写を深めていて、お互いの良さを認め、距離感が縮まったみたいだけれど・・・素直じゃない。
    これから、そんな二人の関係がどのように変化していくのか楽しみです。

  • 音道貴子シリーズ第6弾。
    期待通りの面白さ。
    過去と現在の事件。
    いくつもの謎に、時間の壁。
    偽刑事問題も絡んできて、地道な捜査の醍醐味を味わえるストーリー。
    貴子と滝沢の関係性が、変化しているのも面白い。
    お互いいらいらさせ合っているのは相変わらずだが、息のあった「相方」になっている。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-62d4.html

  • 音道シリーズ。東京の下町を舞台に人間臭さの漂う作品。地道に事件の真相にたどり着く展開が良かった。これがシリーズ最後になるのかな。残念。

  • 女刑事・音道貴子が活躍する推理小説。しかし、鮮やかなトリックや派手なアクションがあるわけではなく、女性蔑視のおっさんの刑事を相棒に地道な捜査を繰り返す。そこは退屈だが、しかし、その先に意外な事実が浮かび上がってくる。

  •  乃南アサ「風の墓碑銘(エピタフ)」、2006.8発行、再読。女刑事音道貴子の長編小説、492頁の大作です。ミステリーの内容や結末の良し悪しはともあれ、今年36になる音道貴子と来年50を迎える滝沢保警部補の「やりとり」、相方(相棒)、最高です!

  •  音道貴子のシリーズをずっと読んできたが、やっぱり長編は一段とおもしろい。(3人称ではあるが)貴子の立場からと、相方の滝沢の立場からと代わる代わる描かれていて、二人のやり取りを両方向から見ることができて、時々笑ってしまった。
     解体家屋の地中から発見された白骨死体の事件を追っていると、今度はその貸家の持ち主・今川老人が殺される。24年前の事件が関係していることがわかり、どんどん話が複雑になっていくが、とてもわかりやすくて、惹き込まれていった。途中、仲間だと思っていた同僚の奈苗とのトラブルを挟んでも、じゃまにならない。
     最後、カメラの件だけで決定的な物証になるのかと疑問ではあるが・・・。 
    滝沢の病気はヤバいんじゃないかと心配したが、回復したようでよかった。

  • 過去作でも述べたが私は著者について人物の心情と場面をとても丁寧に書く人だとこのシリーズを読んで思いました。
    その場所に行ったことはなくても、人物の心情もとてもわかりやすいし、
    また、情景を思い浮かべることができます。
    それは、「あれ?これどこかで読んだっけ?」とふと思うような、懐かしさのようなものさえ感じました。

    最後にシリーズ全作を読んで音道貴子という人物について。
    最初、警察という男社会の中で懸命に働く良い意味で一生懸命な人だと思いました。
    が、読み進めて行くうちに、その男達に負けないようにしていくうちにどんどんと
    棘のある人物になっていっているように感じました。
    私がそう感じるようになったのは単にそういう部分が目についただけなのではなく、著者が敢えてそういう変化を書いたのでは?と思っています。

  • 音道刑事シリーズ第6弾。

    久々に滝沢・音道のコンビが復活、活躍します。

    音道の所轄管内で、借家の解体工事現場で白骨化した遺体が発見される。
    借家のオーナーに話を聞きに行っていた音道だったが、そのオーナーが何者かに撲殺される。

    殺人の捜査本部が立ち、再び滝沢と組むことになった音道。
    白骨化した遺体とオーナーの撲殺事件は、悲しい過去で繋がっていた。

    このコンビのやりとりが、お互いに牽制しつつも尊敬し、時には反発しあいながら、良い意気を見せるところが面白いです。

    シリーズ作らしく、登場人物の成長ぶりがうかがえて微笑ましいです。

    ストーリーは重いですが、その分丁寧に書かれていて、かなり悲壮感が漂う感じですが、満足でした。

    またこのコンビの作品が読みたいですね。

    それにしても滝沢刑事が復帰してきてよかった~。

  • 解体工事現場で発見された白骨死体三体、老人ホームの現役的徘徊大家、偽刑事等全体がなだらかに広がりすぎた感。再びコンビを組んだ貴子と滝沢が互いに心から憎らしく思ったり認めたり嬉しく思ったりリアルに迫る。凸凹さが微笑ましい。昴一やヒモ付同僚や悪びれない犯人等皆がしっかと血が通って濃やか。短所描写が冷静。

  • 音道貴子シリーズ.安定な人間ドラマ

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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