凍える牙 新装版

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 326
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103710097

作品紹介・あらすじ

深夜のファミリーレストランで突如、人間が炎上した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された男が発見される。二つの異常な事件の裏に隠されたひそかな繋がりとは?ヒロインの孤独な闘いが読者の圧倒的共感を集めたサスペンス小説の金字塔。直木賞受賞作、待望の新装版。

感想・レビュー・書評

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  • あらやだ直木賞でらっしゃるのね
    しかもシリーズものじゃございませんこと
    マダムメロンですわ

    『凍える牙』です
    乃南アサさんの初物は、マメムさんの推薦本でございますことよ!
    そしてマメムの語感でマダムメロンとか言い出したっぽいですよ!

    うーん、やばいね
    乃南アサさん、良いね
    そして主人公の女刑事音道貴子ええやん!
    1996年の作品ということでバリバリの男社会の捜査現場が描かれております
    そして男社会の代表選手のようなベテラン刑事と組むことになる貴子さん
    お互いに葛藤を抱えた二人の視点で進むストーリーも良い

    この二人がどうやって「仲間」になっていくか?あるいは落としどころを見つけるか?が物語の肝でもあると思うんだけど、二人の心の中を交互に見せて行くことで、男社会を守りたい男と男社会を軽蔑する女の変化が鮮明になるのよ
    そしてオオカミ犬の神秘性が物語にすごい奥行きを与えると同時に貴子の秘められた経歴を輝かせる

    うん、そりゃあ納得
    直木も納得(直木が選んだわけ違うだろ!)
    マダムメロンも納得の1作
    続けて読むかぁ〜

    またシリーズ増えてしまいましてよ!(思い出したようにマダム感)

    • ひまわりめろんさん
      なおなおさん

      Σ(゚Д゚)
      うひょー、そりゃもう読まなきゃじゃん
      でもそうですよね
      こんなコンビ作者がそうそう手放さない
      なおなおさん

      Σ(゚Д゚)
      うひょー、そりゃもう読まなきゃじゃん
      でもそうですよね
      こんなコンビ作者がそうそう手放さない
      2024/01/26
    • ひまわりめろんさん
      一Qさん

      海外のミステリーとこ含めるとマジでどえらいことになるのよ
      マメム許すまじ!(とばっちり)
      一Qさん

      海外のミステリーとこ含めるとマジでどえらいことになるのよ
      マメム許すまじ!(とばっちり)
      2024/01/26
    • マメムさん
      ひまわりめろん、お返事ありがとうございます。

      初コメナイアルカ(゚д゚)!
      ワタシ、罪アルカ(´Д`)ハァ…(悪寒)
      ひまわりめろん、お返事ありがとうございます。

      初コメナイアルカ(゚д゚)!
      ワタシ、罪アルカ(´Д`)ハァ…(悪寒)
      2024/01/26
  • 昔ながらのポケベルとかテレカとか出てきて時代を感じました。あと男尊女卑が酷い笑 でもほんと警察は男社会だからこれが当たり前だったんだろうなとは思います。
    読みやすかったけど、私的にはオオカミ犬が可哀想で…犬系のダメなんですよね…健気で…

  • いろんな「カッコいい」を発見できる本。
    若い女に素直になれない「おっさん」が一番カッコ悪かったとも言えるけど、実は一番カッコ良かった!

  • 途中で飽きてしまい、他の作品を挟んだ上で、トータル3週間ほどで読み終えました。
    最初の事件は、この先の展開を期待させるような内容だったんですが、以降は方向性が全く変わってしまい、それとともに気持ちも萎えてしまいました。

    どうにか完読してみると、少しずつ主役の2人に共感できるようになっていきましたし、終盤のバイクシーンには少し感傷的にさせられるものがあったので、案外楽しめたのかもしれません。

  • 男性社会の警察組織の中で働く女性刑事の心理を重点的に描写されている。個人的に女性刑事が主人公モノは苦手(ミステリよりも男性コンプレックス描写が中心になるから)だったが、この作品も例に漏れず、というより、それがこの作品の核心だった(爆)
    ミステリ部分は正直弱い。最初の事件が派手なだけに、途中から全く違う方向へ走り出して拍子抜け。登場人物が多い割には、大して意味のない描写も多く、あまり緻密でない構成が目立った。

  • 直木賞受賞作。女刑事音道貴子、最初の事件。昔ながらの古参刑事の滝沢と組まされた音道。
    女嫌いと男嫌い。意地と意地がぶつかり合う。
    元白バイ隊員でトカゲに組織されている優秀な白バイ隊員であった音道がバイクを疾走させていく。
    男社会のなか、生き生きとしてバイクを操る音道に対し、滝沢をはじめとして、まわりの刑事は、やっと音道を刑事の仲間として、認識していく。

  • 女性が男社会で生きにくい様子や、結婚不倫出産について酷い言葉を受けるという設定が辛い。音道刑事が黙って耐えるのが、言われるのは当たり前なんだから黙って受け入れる大人の女カッコいい?のだろうか。そんなに辛い設定でなければもっと楽しく読めたかな。

    オオカミが最高。オオカミがその後何をするかどうなるのかだけが気になって最後まで読み進められた。

  • オオカミ犬、孤高の存在の寂しがり屋である疾風に、音道は憧れ、自分を重ねて、惹きつけられたのでしょうか。
    ミステリーですが、オオカミ犬の印象がとても強いです。そして、警察内部の女性の立ち位置に、他のペット犬とは一線を画すオオカミ犬の立ち位置が重なります。
    事件の謎がとけたときの、すっきり感よりも、疎外感を感じる職場でなんとか頑張っている音道刑事の息苦しさを感じる物語でした。
    続編あるみたいですね。
    音道シリーズ、読んでみたいです。

  • 冒頭の意外性ある殺人シーンは面白く、その後も野犬らしきものに襲われて次々に死んでいくという意表をつく展開。中盤までは期待させるものでしたが、その後の事件解決までのプロセスや、謎解きとしての作品の魅力に乏しく、読後は圧倒的なオオカミ犬の存在感が際立っていた。

  • 都内のファミリーレストランで、人が燃え上がる事件が起きた。
    捜査にあたるチームとなった皇帝ペンギンのようなの容貌の滝沢と、女性白バイ隊員の音道。
    放火殺人と思われた事件は、別の事件と複雑に絡まる復讐劇だった。

    タイトルから思えば当然でしたが、始まりからはオオカミ犬が事件に関係することは想像できませんでした。
    犬を愛する飼い主なのに、復讐をその犬にさせる、とても残酷な事件だと思います。
    音道が、疾風が何故自分が追われなければならないのか、何故飼い主の笠原が迎えに来ないのかと疑問を持っているのではないかと思うに至るシーンに、胸が苦しくなりました。

    疾風の最期はとても悲しい。
    ストーリーは面白かったですが、辛い読書となりました。

  • 人間模様も犯罪の解決までの道筋もありありと情景が浮かんでくるような良書。何かドラマを見ているような気になった。

    ただ、センセーショナルに始まった発火のオチや、貴子がなぜあんなに犬に惹かれるのかという点は少し腑に落ちない部分もあり、星1つ減。

  • 疾風(ハヤテ)が可哀想で切なくなる。飼い主のことも、えみちゃんのことも、大好きだったんだね。

  • ウルフドッグの疾風の描写がもう少し欲しかった。疾風の目線からこの事件と犯人や刑事を描いてみたら、またおもしろいかもと思った。

  • 乃南アサさんの作品との最初の出会いが「凍える牙」でした。たちまちファンになりました。音道貴子刑事、惚れてしまいます(笑)

  • 女ゆえの苦労を乗り越えて刑事を続ける女性と堅物の男性刑事のやり取りが
    とても丁寧に描かれていて心の中で少しずつ絆のようなものが出来上がっていく様が良かった。

    ウルフドックという犬のくだりは現実味にかなりかけていたけど
    物語を盛り上げるエッセンスとしては最高。
    時間かかったけれど最後まで読み切ってとても達成感あったように思う。

  • 2014.4
    10日間読んで進まずを繰り返したけど、結局最後まで読めなかった…残念。(図書館)

  • 請求番号:913.6/Non

  • 久しぶりに一気読みしたいと思った面白さ(長編だから、数日に分けて読んだけど)。飼うのは無理だけど、遊んでみたいなぁ。

  • 深夜のファミリーレストランで突然人間が炎上した。その数日後天王洲では無残に噛み殺された男が発見された。現場の遺留品から動物の毛がみつかる。そこから浮かび上がる謎の生物オオカミ犬。犬を人殺しの道具として訓練できるのは警察内部の人間。身内の犯行か。放火事件、オオカミ犬事件を追うにつれ二つの事件が繋がりをもつようになる。放火事件で燃やされた被害者の原は炎上したビルの一室を所有していた小川と元警察犬訓練のプロである笠原の二人の男に狙われていた。放火犯の小川は、偶々笠原と顔見知りになる。小川の犯行を仄めかす発言をした笠原の家にも放火をし、笠原は重態、笠原の娘は死に、オオカミ犬は生き延びた。オオカミ犬は主人を殺そうとした小川を追って都心の高速を疾走する。小川を殺そうとした瞬間に後をつけていた警察と猟友会の人間に捕まってしまう。その後オオカミ犬は餌を食べずに死んでしまう。

    この話の主人公は女性刑事である。男社会の警察組織で皇帝ペンギンみたいな刑事とコンビを組む。刑事の世界に女は要らないと考えている皇帝ペンギンとギクシャクした関係を続けながら捜査を進めて行く。
    刑事の世界は未だに男性社会なのでしょうか。白バイに乗る女性刑事なんてかっこよすぎ。

  • 比喩でなく本当に牙だった。オオカミ犬、走るところ見てみたい。

  • 第115回直木賞受賞作品。
    乃南さん好きなのだけれどこれは読みにくかった。なんでだろ。最初なかなかリズムに乗れなかった。でも、後半の女性刑事と堅物ベテラン刑事との関係、オオカミ犬を追って行く展開などには引き込まれました。

  • ああうん。バイク乗りの女刑事の話。知り合いに聞いたら女性警察官は待遇いいよーって言ってました。

  • 火曜ドラマ/いつか陽のあたる場所へ
    ↑が、おもろいドラマなので、原作者さんに触れたくなり、本書を手にとってみた。

    約400ページ(しかも字は細かめ)!
    なかなか大変でした!

    個人的な結論】から述べるなら、本書は、もっとコンパクトになったはずだ。
    ↑と言うのも・・
    俺的に、『風呂敷広げ過ぎで収拾つかずぢゃね?』て感じたからだ!
    後半もカナリ急いだ?やっつけ感?有るし・・
    設定も展開も強引Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

    イントロが興味深く入れたのに・・
    伏線・トロイの木馬も仕掛けたのに・・
    結びか性急!?

    はい。
    惜しい。ただただ惜しい一冊でした。

    でも興味深くもあり、実績もある作家さんなので、あと一冊は乃南さんを追いかけたく思います(´・Д・)」

  • 女性刑事物。男社会の中での葛藤やら家族の干渉等、必ず女性の刑事だと出てくるなー。でも面白かった!道路の真ん中でこちらを見ている疾風の姿が残る。この先このコンビがどうなるのか興味深い。

  • 女刑事がメインで出てくるものって、総じてジェンダー語りが長くてなぁ。
    主人公にあんま共感出来ないけど、物語は面白かった。

    オオカミ犬かわえーなー。

  • オオカミ犬が見たい!女性差別を書いた作品として読むとすごい!!

  •   ちょっと期待外れで残念。

     犯人が犬(オオカミ犬)だったり、主犯の飼い主の動機とか、笑子の登場から先が読めた。

  • 女刑事かっこいいなあ。彼女の活躍する、最後の方の描写が特に好き。

  • 乃南アサさんの直木賞受賞作。
    深夜のファミレスで突然、客である男性が悲鳴を上げて燃え上がった…。
    こんなショッキングな事件で始まったこの作品。
    なぜこんなことが。
    という不思議から一気に物語の中へ引きずり込まれました。

    その後無残にかみ殺された男の下死体も発見され、謎は謎を呼んできます。犯人を追うのは女刑事の音道貴子。仕事は有能だが性格は勝気で無口無愛想なバツイチの32歳です。この道子とペアを組むのが、現場叩き上げの中年、滝沢刑事。女性は現場に必要ないと考えている刑事で、貴子と組まされたのが、少々不満に思っています。捜査をする主役の二人があまりうまくいっていないのですが、仕事上のプロ根性をお互いに認め合うようにまでなったころ、一連の事件の真相がわかります。

    ネタバレにならないように書くのは難しいですが、キーポイントは「警察犬訓練士」。犯人捜査に活躍する警察犬を訓練する特殊な職業です。復讐するにはそれだけの理由があるはずですが、そのためにこんな殺人方法を考えるのは切なく感じました。

    犯人はともかく、女刑事の知恵と手腕がひかる異色のサスペンスで、乃南作品の原点を楽しめる一冊だと思います。

  • 深夜のファミリーレストランで突如、男の身体が炎上した。遺体には獣の咬傷が残されており、
    警視庁機動捜査隊の音道貴子は相棒の中年デカ・滝沢と捜査にあたる。
    やがて同じ獣による咬殺事件が続発。
    この異常な事件を引き起こしている怨念は何なのか?

    事件に対して真摯に取り組もうとする音道に向かって数々の女性蔑視的な視線や
    あからさまな言葉が投げかけられる。男女平等の雇用機会が与えられているとはいえ
    まだまだ女性が入って行くには閉鎖的な男社会が存在するのだなぁとため息をつきながら読んだ。
    内容としてはオオカミ犬「疾風(はやて)」の健気なまでの飼い主に対する忠誠心と意志の固さにクラクラきた。
    犬に対して「意志の固さ」などというのはおかしいかもしれないけれど
    飼い主に可愛がられている動物は自分も人間だと思いこむ・・・とよく言われる。
    疾風には「考え」「感じる」という高い能力が備わっていたのに
    人間の勝手な怨念のために利用されたなんてせつな過ぎると思う。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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