昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領

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著者 : 青木冨貴子
  • 新潮社 (2011年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103732068

昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領の感想・レビュー・書評

  • 2015年8月31日読了

  • 昭和天皇、宮内府式部官長 松平康昌の皇室側が時の首相吉田茂やマッカーサーをバイパスして、『ニューズウィーク』東京支局長パケナムや外信部長ハリー・カーンを通じてワシントンと皇室外交を非公式に行っていた当時の様子を伝えている。巻末に参考文献がかなり列記してあったので、もう少し詳しい内容を期待していたのだが物足りなさを感じた。

  • 『象徴』天皇による、確固たる意志だけではない、実効性を伴った戦後日本の政治工作を、丁寧に検証していて、興味深い内容でした。

    昭和天皇をフリーメーソンに入会させる動きがあったなんて、全く知りませんでした。

  • 敗戦直後の数年間,昭和天皇が政治的に動いていたとの記述だが,パケナム自身が著者の克明な調査により経歴を偽っていたことが確認できたことから,彼自身の日記の信憑性も考えておく必要がある.でも,戦後の首相や要人とのつながりが日本の戦後史を変えていったことは否めない事実だと感じた.

  • 日本の戦後のアメリカの日本の情報を収集するために活躍した人。こんな人がいたのは知らなかったので興味深かった。あまり戦後史の本は読まなかったけれど今の状況の基本になっているんだからもっと読むべきだと思った。

  • パケナムという名前は、ウィロビー/キーナン/カーなどと並んで近現代史にしばしば出てくる。とにかく「うさんくさい外人」というイメージであったが、本書によりはじめて、戦後史に彼の果たした大きな役割が明らかになった。
    神戸に生まれ、名門貴族一族に連なる英国人で有りながら、実は明治日本人としての気質を色濃く持っていたパケナムは、吉田茂、マッカーサー経由でなく、別のルートから昭和天皇に然るべき情報を伝え、更に天皇のメッセージを米国の中枢にダイレクトに伝える貴重なパイプとして活躍した。結果戦後日本の方向は相当に変わったわけである。
    青木富貴子氏は、パケナムの真実を追い求めて、世界中を綿密に取材し、資料を集め、複雑なようで意外に単純、一本気な好人物パケナムを鮮やかに描き出している。
    近現代史に感心をお持ちの方はまさに必読書といえよう。

  • (2011.06.29読了)(2011.06.16借入)
    新潮社のPR誌『波』を読んだ神さんが興味を持って、「借りてきて!」というので借りてきた本です。この本を読みながら、マッカーサーがどうだとか、昭和天皇がどうだとか、白洲次郎がどうだとか、吉田茂が、鳩山一郎が、岸信介が、・・・。知らないことが多かったようで、しきりと感心しながら読んでいました。
    ということで僕も読んでみました。傑作ミステリーを読むのと同じぐらい興味深く読めました。この本の主人公は、英国人ジャーナリストのコンプトン・パケナムです。ニューズ・ウィークの記者として、アメリカ占領下の日本にやってきて、アメリカに記事を送るだけでなく、マッカーサーを飛び越えた日本とアメリカの橋渡しもしていたようです。
    コンプトン・パケナムが日本に来て、住む場所を探していた時に、住む場所を紹介した人の後ろに昭和天皇がいたのではないかというのには、ビックリしてしまいました。
    朝鮮戦争が勃発し日本にも軍隊を持たせ、かつ、アメリカ軍の駐留もできるようにするには、マッカーサーと吉田茂では、どうにもならないと判断し吉田茂の後を任せることのできる人物として、鳩山一郎や岸信介をアメリカ側に引き合わせる工作をしたのも、パケナムということです。
    鳩山、岸、等は、戦犯容疑者であったり、公職追放の対象者であったために、それを解除するためには、講和条約の締結によって、日本の独立を取り戻す必要があったということで、全面講和ではなく、単独講和を選んだということになります。
    後先になりますが、物語の発端は、パケナムの日記が著者の手に入ったことです。日記を読み解き、パケナムがニューズ・ウィークに送った記事を読み、関係者の公文書記録をつきあわせて行くことによって、アメリカ軍の占領下における日本とアメリカ政府の思惑が浮かび上がってくる様は、なかなか興味深いものでした。
    1945年から、1957年ぐらいまでのアメリカによる占領秘史が興味深く読める本として、お勧めです。類書を何冊か読んでみないと、なかなか理解は難しのかもしれませんが、きっかけを作る本としては、実にいい本だと思います。

    著者は、追いかけついでに、パケナムの生い立ちを調査して、パケナム自称の経歴と、実際との違いを明らかにしてしまいました。神戸に生まれ、多摩霊園に眠っています。日本語が話せました。日本文化にもよく通じていたようです。

    ●鳩山一郎・公職追放(10頁)
    戦後初の総選挙が行われたのは、敗戦の翌年、1946年4月10日であった。鳩山一郎率いる日本自由党が第一党に躍進し、これによって、鳩山内閣誕生が確実になった。ところが、鳩山に組閣の大命が下るわずか数時間前、突然、連合国軍総司令部は鳩山一郎の公職追放を発表した。
    (ずいぶん簡単に政治介入をしてたんですね。)
    ●恋文横丁(122頁)
    渋谷駅のハチ公の銅像前から道玄坂に向かうと、文化村通りに挟まれた三角地帯がある。当時、三角地帯の路地の両側には、雑多な店がひしめき合うバラックの商店街が並び、これが闇市場だった。「恋文横丁」と呼ばれる一角もあり、進駐軍兵士を相手にする女性が、アメリカ本国へ帰った相手へ送る英文の手紙を代書する恋文屋もそこにあった。
    ●ダレス(127頁)
    ジョン・フォスター・ダレスといえば、戦後日本の国際社会における枠組みと立ち位置を決めたアメリカ人として、マッカーサー以上に影響力を持つ高官であった。
    ●吉田茂の考え(133頁)
    1950年6月
    「日本は、民主化と非武装化を実現し、平和愛好国となり、さらには世界世論の保護に頼ることによって、自分自身の力で、安全を獲得することができるのです」
    ●マッカーサーの考え(137頁)
    1950年4月
    「マッカーサーは沖縄を極東の... 続きを読む

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昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領の作品紹介

昭和天皇の側近・松平康昌と米国中枢部の接点に位置し、GHQを介さないチャンネルの要にいた、一人の男。流暢な日本語、人懐こい風貌、そして情報を嗅ぎ分ける類い稀な嗅覚…。戦後歴代宰相の懐に食い込み、機密情報をワシントンに送り続けたC.パケナムとは-。虚実が錯綜する、その全貌を追う。新発見の日記を手がかりに、占領下の知られざる「点と線」に迫るノンフィクション。

昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領はこんな本です

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