ソロモンの偽証 第I部 事件

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著者 : 宮部みゆき
  • 新潮社 (2012年8月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (741ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103750109

ソロモンの偽証 第I部 事件の感想・レビュー・書評

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  • 気が遠くなるような図書館の予約待ち人数に「まだまだ来ないだろうな」と思っていたら
    なんと冠婚葬祭ラッシュの今、予想外に早く届いて、うれしい悲鳴。

    普通のハードカバー3冊分に匹敵する、なんと740頁余りという分厚さだけれど
    旅行の準備に追われていようが、お鍋をかけっぱなしだろうが
    本を開いたら最後、もう読み続けずにはいられません。

    クリスマスの夜、中学校の校舎から少年が転落して亡くなった事件をきっかけに
    同級生や家族、先生、マスコミから、隣人を逆怨みする、完全に部外者の女性まで
    さまざまな人生の歯車が狂い始める。
    少しずつだけれど、でも確実に噛み合わなくなっていくその歯車の
    キシキシと軋む音さえ聞こえそうな、宮部さんならではの心理描写の見事なこと!

    世界に何も期待せず、絶対零度と言っていいほどの冷たい視線で
    何もかもを見下していた、亡き少年。
    彼の残留思念に皆が踊らされているようで背筋が凍るような瞬間が幾度もありますが
    彼が登校拒否になっても何の関心も示さなかったのに、
    お葬式ではさめざめと泣いてみせる女子たちには仲間入りせず
    マスコミの思惑や大人の論理で塗り替えられてしまう真実を
    同じクラスにいた自分たちの手で明らかにしようと決意する
    ヒロイン涼子の潔癖さ、ひたむきさに救われます。

    どんなに忙しくても、娘の言葉にしっかり耳を傾け
    危急の出来事には敏腕刑事らしく驚くべき行動力で対応する
    涼子の父は、まさに理想の父親像。
    もっと活躍シーンがないかしら♪ と、ついつい期待してしまったりして。

    人気の本ということもあり、図書館では1冊ずつしか予約できなかったので
    読み終えてから予約した第2巻は、いったいいつ届くことやら。
    頼りない脳味噌からこの巻の感動が薄れないうちに届いてほしいなぁ。。。

  • 最近、続々と予約してた本が届くんだけど、その中でも異彩を放ったのがこちら。
    噂に違わず、ぶ、分厚い!!重い!!圧巻!!
    でも740頁という分量を感じさせない宮部節で、寝不足なりながら2日で読了。

    時はバブル絶頂期の1990年。
    ホワイトクリスマスだった夜が明けた朝、中学校で生徒の死体が発見される。
    クラスでも浮いて不登校だった少年の死は、校舎からの飛び降り自殺と
    判断されるも、学年の問題児たちが殺したのを目撃したという告発状が、
    学校を揺るがし、事態を大きく変えることになる。
    そしてまるで呪われているかのように立て続けに起こる事件。
    この学校では一体何が起きているのか。
    「自分たちで真実を見つけ出します」学年の優等生、藤野涼子が立ち上がる。

    少年の遺族、そのクラスメイトに親、校長や担任その他の教師、少年担当の刑事、
    そしてマスコミ…たくさんの人の視点から見る、ひとりの少年の死。
    この事件を動かすのはひとりひとりの恨み、妬み、疑念、そして悪意。
    大出らにコンプレックスのニキビでいじめられ、僻み捻れてしまった樹理と、
    夫との別居に追い詰められ、隣に住む森内先生に完全なる逆恨みをする垣内は、
    もはや何も言えないような別格の悪意に染まっているとして、
    まるで学校をあざ笑うかのように亡くなった柏木卓也や、
    正義を振りかざして独善に陥っている茂木の闇も、相当深いんじゃないかと思う。

    対して、決して事なかれではなく生徒のこともよく見ていた津崎校長や、
    好き嫌いはあれど、まだまだ新米教師として未来のあった森内先生や、
    いつもにこにこと優しく、悪意と最も遠いところにいた松子ら、
    巻き込まれ傷つけられ追い込まれていった人たちが哀れで。

    立ち上がった涼子は、これからどうするんだろう?
    もう子供じゃない、でもまだ大人とは見てもらえない、微妙な年齢の中学生。
    何を考え、どのように感じ、どうやって真実を見つけ出していくんだろう。
    第1部では、てんてこ舞いする大人たちの「脇役」ともいえた中学生の彼らの、
    これからの奮闘、成長に期待。

    宮部さんの本って、面白いんだけど最後がイマイチ、で☆3とか☆4に
    なっちゃうことが多いんだけど,第1巻はドキドキっぷりに☆5にした。
    このままの勢いで最後まで読めるといいな~と思うけど、読んでから
    2巻を予約したので、続きはいつになるのやら?

  • 中学生の転落死を発端に描く大長編~宮部みゆきの話題作。
    現代ミステリは5年ぶり?
    さすがの描写力で、長さを感じさせません。

    雪が積もったクリスマスの朝、中学の裏庭で2年生の柏木卓也の遺体が発見された。
    屋上から転落死したらしい。
    一ヶ月前に不良グループ3人と揉めた後、不登校になっていた。
    大出俊次をリーダーとする不良グループのせいという噂も流れるが、卓也の親が自殺と認めるような発言をしたことから沈静化する。
    ところが、連鎖するように事件は起き続けて‥
    大出の父親は横暴なタイプで、世間に対してはむちゃくちゃな態度で息子をかばうが、家では暴君という。

    同級生の急死に女子は泣くが、クラス委員の藤野涼子の目は乾いていた。
    友達ではなくほとんど知らなかったためだが、自分が冷たいのかと内心悩む。
    剣道部でも活躍する文武両道の涼子のりりしさはすっきり輝いていて、親子関係も含めて、重い話の希望になっていますね。
    優等生(しかも美人)は嫉妬されることもあるけれど。

    発見者の野田健一は大人しく、学校では目立たないようにしているタイプ。
    家では不安定な母親を支えるため、何かと我慢を重ねてきた。
    父親が家を売ってペンション経営に乗り出そうとし、反対しても聞き入れないことに絶望した野田は‥
    親友のおっとりした向坂行夫がいいですねえ。

    柏木卓也が頭はいいが超然とした孤立しがちな性格だったので、教師達は家庭訪問を重ねてはいたが、あまり急いではいなかった。
    卓也は子供のころは病弱で、幼い弟に振り回される偏った生活に兄の宏之は苦しめられ、祖父母のもとで暮らしている。

    大出らにいじめられていた三宅樹理は、柏木が突き落とされるところを見たという告発文を作成、学校と、担任の森内恵美子と、藤野涼子に送りつけます。
    藤野の父・剛は警視庁の捜査一課の刑事で、娘に来た見るからに不審な手紙を開け、学校へ向かいます。

    森内はモリリンとあだ名される若い教師で、男子にアイドル的な人気はあるが、えこひいきするタイプだった。
    森内のところに届いた手紙は、マスコミに流され、騒動に。
    校長らが生徒のことを考えて伏せたことも裏目に出て、学校側のことなかれ体質が批判を浴びることにも。
    ニュース番組の記者・茂木は涼子にも取材に来ます。
    相次ぐ事件が噂ばかりで解明されないことに憤りを感じた涼子は、自分達で調査すると宣言する。はたして‥?

    一人々々がそこにいるかのようにありありと描写されていきます。
    それぞれの家にある思いがけない事情。
    親の影響を強く受け、意志は持ち始めていても上手く伝えるすべも知らない子供達。
    少年課の佐々木礼子刑事が、問題児を見る現実的なまなざしにも納得。

    時代がバブル末期の1990年という設定なので、まず携帯が出てきません。
    他にどんな意味があるのだろうか‥?
    いじめの質やスクールカーストは違うのでしょうか。
    重い内容だけど、重苦しすぎることはなく、先が知りたくなるばかり。
    さすが宮部さんというか~最近のものでも、かなりいいほうですよね!

  • 長かった・・・。読んでも読んでも終わらない。
    分厚いし重いし読んでて肩が凝る。
    でもまだまだ第1部。第2部が手に届いたらまた睡眠不足の日々か。

    宮部さんの作品は「火車」しか読んだ事がなかった。
    良く覚えてないけどどうしても納得のいかない部分があってそれ以降宮部作品から遠ざかっていた。
    いやいやどうしてもったいない事をした。
    さすが今をときめく女流作家。見事な筆さばき。
    これほど綿密にしかも分かりやすくこれだけの分厚い作品をかける作家はなかなかいない。

    ミステリーという面ではもちろんの事、思春期特有の中学生の心の内を描いた作品としても秀逸。
    大人でもなく子供でもない宙ぶらりんな中学生。
    そんな彼らが主役になって事件の真相に迫るという設定をする所が宮部さんのすごい所か。

    最近中学生が主役の作品をいくつか読んだが、作家によって彼らの心情の炙り出し方が様々で読み比べると面白い。
    早く続きが読みたい。

  • 凄い、この本。詰まってる。この1部だけで何冊も読んだ気分。
    詳細な内容。
    登場人物が多いし、それぞれの感情表現が凄い。
    1人の人がこれを書いたなんて信じられない。宮部さん凄すぎです。

    柏木君の死から、こんなにどんどんいろんな事件が起こるなんて。
    お兄さんの宏之の気持ちが切ないわ。
    藤野涼子の自分を見る冷静な感情もわかる気がするし、
    野田健一の葛藤も苦しい。
    どの登場人物も、目が離せない。

    さぁ、第2部も読まなきゃ。

  • ひさびさの宮部みゆきさん。
    やはり巧い。
    「 」でくくられた文とくくられていない文の継ぎ目が、引き渡しが巧い。頭のなかに浮かべるシーンを鮮やかに切り替えていってくれる。

    物語は...
     クリスマスの朝、雪の校庭に冷たい十四歳が見つかる。十四歳が意図した方向なのか、意図していなかった方向なのか、犠牲者が増えていく...

    読み進めるうちに、ざわざわ、ざらざらした感情が渦巻く。
    悪い方向を思い巡らせていく。
    それは自分が悪いことを愉しむ第三者であることをチクチクとしていくように。

    学校という皆がよく知り、皆がよく知らない閉鎖的空間は場面を想像しやすく読みやすい。

    社会の歪み、人の歪みを絡ませて、ざわざわを引き起こす。

    計算されたMONSTERではなく、無垢なMONSTERを作り上げていきながら...
    おもしろい。

  •  第一部の総ページが741ページって・・・すごいボリューム。しかもこれがまだ三部作のうちの第一部。導入部というのだから驚きだ。


     しかし、このボリュームに怯むことなかれ。第一部の登場人物が40人ほどいて、10人ほどの視点で次々物語が展開していくという、構成の複雑さに怯むことなかれ。
     一度読み始めたら、もうページをめくる手は止められません。


     購入するにも、厚いし、高いし。
     図書館で借りるにも、予約はいっぱいだし。

     いやいや、これは読むべきです。
     ためしに、図書館で、一部と二部を借りてみて欲しいです。もし、三部を読むのに、途方もない待ち時間が課されているならば、
     絶対、三部は購入したくなります!!

  • は、はやく次を読ませてよ~~~。もう、こうなると思ったから三部作全部出てから読むつもりだったのだ。でも辛抱たまらず「買っとくだけ、買って置いておくだけ」と自分に言い聞かせながら購入してしまい、そうなると、宮部さん久々の現代物が目の前にあるのに読まずにおくなんて、猫にかつ節食うなと言うようなもので、ガツガツとあっという間に読了。続きが読みた~~い!と身悶えしている。

    しかしまあ「巻を措くあたわず」とはまさにこういうことですね。今日は寝不足です。どうしても途中でやめられなかったのだ。まだ全体像が見えないので、作品としてどうかとかわからないけれど、なんというか有無を言わせぬ物語の力に引きずり回されて、もう降参。一体全体このうねった流れはどこへ向かうのか?

  • 雪のクリスマス。発見された中学生の死体。自殺か? 他殺か? 何故?

    少年は自問する。
    「なぜ、自分だけがこんなに苦しまなければならないのだ」と。
    少女は自問する。
    「なぜ、わたしだけがこんな辱めをうけなければならないのだ」と。
    別の少女は自問する。
    「わたしは、本当に他人のことを思いやって、この行動を起こしたのか」と。
    若い女性教師は自問する。
    「わたしは何もしていないのに、どうして糾弾されなければならないのだ」と。
    家族、学校、社会。
    人間が生きていくなかで、何が正しいのか? 何が過ちなのか?
    一人の少年の死を通して、明るみになっていく現代社会の様々な問題の縮図。
    嫉妬、羨望、後悔、疑念、不安、葛藤、苦悶。
    いろいろな心情を抱きながら、悩み、苦しみ、でも前へ進まなければならない。
    少年少女たちはその問題をどう乗り越えていくのか。

    まだ物語は始まったばかり。
    プレーヤーに配られたカードは裏返しのまま。
    カードを捲ると出てくるのはジョーカーか? はたまたスペードのエースか?
    ハラハラドキドキ。全三巻の合計2200ページにも及ぶこの物語は最後にどういう結末を迎えるのか。
    一度読み始めたら、先が気になってページを捲る手が止まらない。
    700ページのなんと短いことか。

    この第一部だけで40人以上もの人物が登場するのだが、それぞれの個性、特徴の書き分け方が素晴らしい。
    見事にキャラが立っていて、しっかりと一人一人がイメージできる。
    心理描写の記述や表現の上手さも作者ならでは。どんどんのめりこんでいく。
    1日に200ページ程度。3~4日かけて読めばいいか、と思っていたが、一気に1日で読み終えてしまった。
    だってそれほど面白いのだから……。
    すぐに次の第二部『決意』に手を伸ばしたくなります。
    (第二部のレビューへ続く)

  • お、お、面白い~~!!なんだこの物語は~~!(*^_^*)




    冬のある朝、中学の校舎から転落して死んだ中学二年生の男の子が発見された・・・。

    学校を舞台にした死の話、とくれば、苛め?事件?と、それだけで嫌な思いにとらわれ、また、学校内部のヒエラルキーとか、隠匿体質とか、事なかれ主義とか、勘違い野郎とか、ただの野次馬とか、とにかく心騒がす要素が大きくて、なんとなく避けてきたところがあるのだけど、

    さすが宮部みゆき!

    そんな通り一遍の事象では考えられない、人間というもの、何かことが起こる時のどうしようもない流れというかタイミングというもの、を奥行き深く描いていて、ひたすら読ませられた。

    悪意の人や気持ちが、意識的だったり無意識だったりの形で種々提示されるのだけど、それが腐臭を放ってはおらず、むしろ、とても悲しいもの、身近なものとして感じられるところも非常に面白く読めた。

    物語の筋のために、やたら迷惑な人を配置してそれに翻弄される形で話が進んでいく、という小説は多々あるけれど(私はそれがすごぉ~~くイヤ・・)宮部さんの描く迷惑なヤツにも背景があり、本人なりの正義もある、という・・・。そんな人間を、ただ包み込むのではなく、また、糾弾するだけでもなく、“人間”を描いている技量に唸らされた。

    主要となって動いている生徒、先生、保護者、警察、マスコミの人間だけでも、かなりの人数なのに、きちんと描きわけられいて、普通、その他大勢の扱いになりそうなちょっとした出番の人でさえ、気持ちの奥にある逡巡や喜び、畏れをきちんと描いているところには、ホント、舌を巻いてしまう。

    そして・・・イヤな奴だなぁ、と思って読んでいると、いつの間にか、これって私も持っている要素じゃない?もしかして、私の無意識の言動にこんな悪意が見え隠れしてて、他の人たちにはダダ漏れだったの?なんて、とても恐ろしい想いにかられたり、逆に、地味な存在の登場人物たちにある時瞬間的に光が当てられ、人間っていいよね、と思わせられたり。

    これは、第Ⅰ部でもうすぐ第2部が発行、来月には第Ⅲ部、と、続けてとても贅沢な読み方できそうなのも嬉しい。

    どんな結末が待っているのか、少年の死の真相はどこに隠れているのか、この中学はどうなるのか、楽しみに待ちたいと思う。

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