きみのためのバラ

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著者 : 池澤夏樹
  • 新潮社 (2007年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103753063

きみのためのバラの感想・レビュー・書評

  • 池澤作品に漂う、あの雰囲気はなんなんだろう?村上作品の中の、どこか寂しい冷たさや、あるいは恩田陸作品のねっとりと絡む様な濃厚な暗さに飽きた時、わたしはある意味で癒しを求めて池澤作品に手を伸ばす。彼の書く文体にはアジアの南風が宿っているような気がする、あたたかく、やわらかく、それでいて体を解放してくれるような。

    どれも小品としてスケール・深度ともにきれいにまとまってはいるが、『20まマイル四方で唯一のコーヒー豆』『きみのためのバラ』がとても良かった。多分誰しも一度は経験した事がある、過去と今とのオーバーラップ。つらいものにせよ青春の青臭い1ページにせよ、筆者は過去を克明に描いて見せることで、現在に向かってひらく裂け目をも明確にしようとしている、そんなふうに思った。


    あと池澤さんは、「味が濃くてはっきりしていて、香辛料がたっぷり」な料理が好みとみた!

  • 初読み作家。タイトルに惹かれ購入。
    様々な場所で、ただ通り過ぎるだけだった人たちが一瞬の奇跡のように出逢う。“会話”を交わせなかった一日の終わりのディナーで目の合った男女。妻を殺して義父から逃げる男の出会った“逃げる人々”の教えてくれた奪い合う気持ちを攫ってしまう言葉。幸せになるはずだった花嫁の、絶望としなやかなというには苦しい強さ。父との関係に罅を持つ少年の切ない変化への憧れと小さいが確かな前進への気配。異国を舞台とした(沖縄も入っているけれど)その場所の空気とともに織られる他愛ないが故に後から意味を持つ一瞬を描いた短編集。洗練された文章というのかもしれない。やわらかさというよりしなやかさ、そして芯の真珠のような発光で物語を照らす。久々に好きになった男性作家。

  • 熱かったり、透き通っていたり、様々なバリエーションが楽しめる短編集です。表題作がお気に入りです。

  • 資料番号:010979532
    請求記号:F/イケザ

  • 8この話。
     どれも面白かった。

     「ひどい一日」を送った男が、その話をしたくて、食堂で女性と話す。が、彼女はそれ以上の「ひどい一日」を抱えていて、結局彼は聞くだけになってしまう。(都市生活)
     バリで現地の男性と結婚することになった私の友人が、結婚前にいったん日本に帰っている間に男性は死んでしまう。これは、『花を運ぶ妹』の外伝。(レギャンの花嫁)
     沖縄の病院でアルバイトをしていたとき、年上の女性の医師にさそわれ、10日間のセックス生活をする。それは何だったのか。(連夜)
     街の有力者の娘と結婚したがうまくいかず、結局殺してしまう。逃げたところで、彼は争いを鎮める「マントラ」を知る。(レシタションのはじまり)
     ロシア人の女性と結婚し、娘も生まれたが離婚。半年に一回その娘と会う。が、彼女はだんだん日本語がわからなくなってくる。私はその二人と会って、日本人どうしだが、自分たちも同じだと思う。(ヘルシンキ)
     無職になった時、おばの遺産が入って、中年の男性が半年パリに住む。パリは彼に何かを与えた。(人生の広場)
     父親の暴力が原因で、中学校のときから、家族の前で英語しか話せなくなった彼が、カメラマンの助手としてカナダにやって来る。そこの宿の女主人が、コーヒー豆をこぼした。それを拾いながら、彼は忘れていたある出来事を思い出していた。(20マイル四方で唯一のコーヒー豆)
     ドイツの汽車の中で、身を守るために、客車の中を苦労して移動した彼は、若いころメキシコで会った少女のことを思い出していた。彼は一本のバラを渡すために同じように客車を移動していたのだ。(きみのためのバラ)

     どれも現実的で、しかも寓話的。長さもちょうど良い。

  • 良質な小説。
    旅行はなかなか難しいけど、心を遠くに連れて行ってくれた。
    幸せな時間をありがとう。

  • 初めての池澤夏樹。いい短編集に出会ったことが無かったから、中々いい。とても上手い。上質な翻訳物を読んでいる無国籍な雰囲気がある。

  • 旅する大人の小説。外国語を話すと違う自分になれるという行に共感☆

  • 短編集。旅先での個人的なハイライト8つ。
    引用は特に良かった「レギャンの花嫁」、「ヘルシンキ」、「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」から。

  • 人恋しさを刺激する短編集。娯楽性は低い。
    静かに風景を思い浮かべたり、人物に共感を覚えたり、いつもより高尚な読書をした気分。
    表題作「きみのためのバラ 」と「都市生活」がいいなと思いました。

  • 世界の片隅でひっそりと起こる出会いと別れを描いた八つの物語。どの話も日常に起こりうるようなささやかさと切なさときらめきを持っていて、とても好きでした。いろんな国を訪れたい好奇心が湧き、苦手な英語を勉強しはじめました。

  • 世界中を旅できる短編集。
    「レシタションのはじまり」が面白かった。

  • 短編集。

    帰国するための飛行機に乗り遅れ、入ったレストランにいた女との短い出会いと別れ。

    妻を殺してしまい、義父の復讐から逃げた先で出会った、逃げる人と呼ばれる人々。
    彼らのまじないのような言葉を口にすると、欲がおさえられ、争いごとがなくなった。

    なんか、あんまり、び、みょう、だった(死
    どういう人なのかいまいちわからないからかもしれないけど。

    表紙はいいよね。でも、味、を見つけられなかった)^o^(

  • 『レギャンの花嫁』『ヘルシンキ』『人生の広場』『20マイル四方で唯一のコーヒー豆』『きみのためのバラ』が好き(殆ど(笑))『20マイル〜』は特に良かったように思う。
    こういう小説たちもあっても良いと思いました。むしろ、こういう生き方憧れます(笑)

  • あまり興味が持てず読み飛ばしもあった1冊。

  • 「レシタションのはじまり」という短編が結局一番面白かった。星新一作品を思い出す。
    先に発表された作品「やがてヒトに与えられた時が満ちて… 」で作者はヒトが争うという感情を肯定しているようにもとれるように書き表していましたが、この「レシタションのはじまり」ではむしろ爪を抜かれた猫になってしまった人々を肯定しているようにもとれて興味深い。
    他にもバラと少女の印象が読み手にスナップショットのように焼き付けられる 表題「きみのためのバラ」。誰もが(決して同じではないが)似たような経験があるかもというような夜遅いレストランでの短い時間を描いた「都市生活」。肉体とこころ、先祖と自分、土地とそこに宿る魂の不思議を感じる「連夜」など。サラリと読む事も深読みすることもできる8つの物語。

  • 旅は読むより見たいしたい。
    読み終えた後のアンニュイな雰囲気がニガテ。

    連夜
    人生の広場
    きみのためのバラ

    は好きだったかなあ。

  • 評価★4つと迷った。他の作品をたくさん読みたくなる魅力のある文章。もっと上がありそうだから、今のところは★3つ。

  • 短編集。
    最初あまり面白くなかったけど
    だんだんさみしい雰囲気を感じるようになり
    良いな、と思えた。

  • これはだめだった。

  • 言葉なんて覚えるんじゃなかったと、強く後悔する時がある。そんな瞬間に、池澤夏樹の本は効く。つたない英語しか話すことができなくなった少年の話を、わかるなぁとしみじみ感じながら読む。日本語の通じない場所で、手持ちのわずかな日本語を大事に読みたいとき、持っていたい本だった。

  • 海外を旅したり住んだりする日本人の話が主な短編集。
    話は繋がっていない。

    読みやすい本でした。
    雰囲気としては、「ねえちょっと聞いてよ」と友人に話しかけられたような感じ。
    こんなことがあったんだよ、といった感じで、すっと流れるように話が耳を通っていきます。

    私は好きですが、「だから何」と言われてしまいそうな本でもあると思います。

  • 世界の都市を舞台にした出会いと別れの物語。
    短編集です。

  • 素敵な人に出会うよりも
    素敵な人になりたい。

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