双頭の船

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著者 : 池澤夏樹
  • 新潮社 (2013年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103753087

双頭の船の感想・レビュー・書評

  • ファンタジックであっちとこっちを行き来するような浮遊感ある話だった。始終登場人物が優しくて話そのものは好きだ。ただやっぱり、震災は文学になんないよ。池澤夏樹が書くからいいってだけで。

  • 人間は想像力を持つ生き物です
    それだからこそ
    ついつい 自分にとって便利なものを作ってきた
    それだからこそ
    ついつい 地球から見ると傲慢になってしまった
    それだからこそ
    これからのこと を 考え、思い、行動する存在でありたい

    そんなことを ゆったり考えさせてもらった一冊でした

  • 震災ファンタジー…いつかは世に出るとは思っていたが私にはまだ読む覚悟がなかった、しかし何気なく手に取った一冊がそうであったとは。
    乗り掛かった船と読んでみたのだがやはり後味が悪い、そう時期尚早と言うよりも作り込みが良くないのだ。
    吉里吉里人の井上先生なら東北繋がりでいいと思ったのかモチーフは明らかにひょっこりひょうたん島でそこに遠野物語をくっつけて舞台の船名は安部公房氏の方舟から持って来ちゃえではあまりにも乱暴ではないか?
    表現者としての使命感かどうかは知らないが当事者でない以上もっとデリケートに扱うべきだろう、苦しんでいる人がまだそこにいる

  • こちらで教えて頂いた本

    船旅で読みました^^
    最初っから、熊?! え? なんで?? 
    そして、えぇぇぇ!!会ったばかりでその展開?!って
    ファンタジーに慣れていない私には驚きの始まりでしたが
    身近な土地の名前や、今から訪れる土地を思い描くようなストーリー展開に引き込まれていました

    さくら号がたくさんの人で賑わっている光景
    だけど、それは大切な人を亡くした人たちに見えている光景
    時間とともに気持ちが落ち着き、きっかけとともに旅立って行く人たち・・・  それを送る人たちの気持ちが切なくて(>_<)
    つい数日前に自分が訪れた土地での光景が
    近代的だったのを思い出してしまいました

    そこに暮らす多くの人が船で暮らす人たちと同じような気持ちで過ごし
    そして、そんな気持ちを希望にかえているんだと思うと
    パワーをもらえる1冊になりました

  • 小さなフェリー「しなまみ8」は、東日本大震災後にボランティア船として近場の海を行き来していた。自転車修理のボランティアとして船に乗り込んだ海津知洋だが、色々な人に出会い色々な経験をする。船はたくさんの人達を乗せていくうちにだんだん大きくなり、ひとつの町になり、「さくら丸」と改名する。
    東日本大震災で亡くなった多くの人達と、大切な人を失った多くの人達が乗り込んでいる不思議な船。あちらの世界とこちらの世界の境界があやふやであったが、やがてあちらとこちら、陸と海、それぞれに行き先を定めていく。
    これは、震災で家を、ペットを、大切な人を失った人々のために書かれた魂の再生の物語だろう。それぞれの道を前を向いて進んで行こう。人にはそういう力があるのだ。そんな思いが伝わってくる。

  • 船、というのに、冒頭から熊運んでるんで、
    どうなるんだ?と思う。
    よーやく船登場。
    短編集なのかな、と思いきや、冒頭の女性が再登場、
    ベアマンとかも再登場で、なーるほどつながってたのかーっと。

    3、11よりの物語。
    人だけでなく動物もたくさん死んだ。
    船はノアの方舟的なイメージなのだろうか?
    元気なじーさん登場で、少し不穏な気配漂うも
    それなりの決着をみ、船は二手にわかれることとなる。

    あっちとこっちをつなぐ場が、突然に、唐突に
    別れを余儀なくされたひとたちには必要だったかもしれないなあっと思う。
    正直、メディアを通してでしか目にしていない私には
    あの災害は頭では痛ましいと思うし、それなりの支援もしたけれど心ではどこか他人事である部分は否めない、
    この物語が誰にとって必要となるのかは、分からない。
    いいねえ、と言われる花は咲くの歌だって、
    綺麗事だ、という意見もあるそうだし、
    でも、それでも物語を紡ぐことが作家なんだろう。

    船が成長する、そのイメージの豊かさを
    いいなあっと感じた。

  • 船が育つファンタジー。浮遊感のある小説だった。ふわふわしてるんだけど、読ませるし、意味わからないんだけど、いいなって思う。いつも選択が出来ない主人公が、また選択できなかった、と思うとこなど小説ならでは。進められるより偶然選んで読みたい本かな。

  • 被災地の周辺をモチーフにした作品。でも辛い感じではなく、いやな気分になることなく読めるファンタジー。どういうわけか、この世界では船は成長するらしい。でも、人間社会のいろいろを痛烈に皮肉っている描写も多く、ところどころ痛快だったり、ぞっとしたり。軽く読むとフワフワしたファンタジー。深読みすると人間社会の縮図をみているかのようなブラックユーモア。結局人間が集まると、カリスマが現れて権力争いが勃発、動物的になればそういうしがらみから解放されるかというと、やはり知性がある以上完全に動物にはなりきれない。と、いいつつ、ベアマンに引っ付いて行く千鶴がちょっと羨ましかったり。なんとも不思議な小説だった。軽く入り込めてあっという間に読み切れてしまう作品。

  • <閲覧スタッフより>
    古いフェリーがボランティアで被災地をめぐるなか、どんどん形を変えて一つの小国家に拡大してゆく。やがて船の住人たちは自由航路と沿岸固定との2派にわかれ別々の道をゆく。池澤夏樹が描く現代の方舟です。

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    所在記号:913.6||イケ
    資料番号:10225379
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  • 東日本大震災をモチーフにした長編小説。311を随所に連想させつつも(実際に被災地に取材に行っているらしい)、決して重くはない。
    それにしても、これを読むと「天空の城ラピュタ」で主人公シータが言った「人は地に足をつけていないと生きられないのよ」という台詞を思い出してしまう。
    地に足をつけて生きていくのかのか、あの日の辛さを封印するために別の生き方を選ぶのか・・・文体が軽い分余計に考えさせられる。

  • これも『書店ガール3』の震災特集で取り上げられた本の1冊として紹介されていたのがきっかけで読む。東日本大震災を受けてのお話。まだ、震災文学はどう評価していいのかよくわからないけれど、読んで嫌な感じはしなかった。というより、何を考えればいいのか、ヒントをもらったような気がする。それが何かはまだうまく言葉にできないけれど。

  • 大工さんと保母さんのくだりが好き、
    家族ってイイな〜
    2014/5

  • 2011年の3.11からしばらく経って、震災を題材にした小説が幾つか出版された。それらを僕は一括りにして震災文学と呼んでみたのだが、この作品は悲しさも喪失感もすべて昇華させた。圧倒的な自然の猛威を前に怯んで怖気づいてしまった文学の力で立ち向かうことができることを教えてくれた。

  • 東日本大震災がテーマの連作。

    前後どちらへも進めるように二つ頭がついた船『しまなみ8』が被災地ボランティアの『さくら丸』となって活動する。
    優柔不断だが恩師に勧められ船に住み込んで自転車修理をする男。
    繊細な作業で流された金庫を開ける金庫ピアニスト。
    妻と子1人を亡くした大工さんと、夫と子1人を亡くした保母さんが隣同士の仮設住宅で暮らし、それぞれの生き残った子どもたちを通して家族のようになり籍を入れる。
    船にはこの世から去ったはずの人々や動物も乗っているて、動物たちは一匹ずつ獣医に手厚く世話を看てもらってから天国へ送られ、人々は突然現れたミュージシャンに天国へ向かうように諭される。
    ベアマンは世界の動物をあるべき場所へ戻す活動をしていて、彼の恋人はさくら丸で活動しながら再会を心待ちにしている。
    船の上には仮設住宅が建設され、その中で船を独立国家にしてしまおうと意見する荒垣が現れ、船長と並びさくら丸のふたつの頭になる。
    最後には過去の苦しみを忘れて旅立つべきが、過去を見据えて岸に残るべきか、選択を迫られる時がくる。

    テーマが重いのにファンタジー要素が満載で混乱する。
    いろんなシステムの中でたくさんの人が生活しているのにどこか地に足がついていないような不安定なかんじが読んでいてしんどい。
    後半の船はどこへ向かうべきかの論争で、世界中を航海するという意見が出たのが不自然に感じた。
    震災とその復興に向けての活動だけで、話としては十分なのにベアマンの動物愛護の話もちょこちょこ出てきてよくわからない。

  • また巡り来る3月11日。
    船上の架空の街で、亡くした人とのつかの間の交流のシーンが、温かくて辛くて。

  • 311 東日本大震災のあとに 
    どのような文学が構築されていくのか
    それが楽しみであった。

    双頭の船は 震災後の 地域へ ボランティアとして
    活躍する フェリーのような船。
    どれくらいの船なのか よくわからないが、
    2000人ほどが住むことができる仮設住宅が建てられる
    ほどの大きさなので かなり大きい。

    その上,ナホトカ港まで 船として移動できるので
    かなり大きくて 機動力もある。
    そこで繰り広げられる 物語は
    放置された自転車を 修理することから始まるが
    徐々に 人間の生活が 復活していく。
    それは,ノアの方舟を連想さえさせる。

    そこには 死んだ人たちも参加して
    にぎわうと言う 不思議な情景が登場する。
    死んだ人に 生命を与え,生き返らせて あの世に送り出す。

    震災の中で 絆が 大きな主題となったが 
    その絆とは、なにかを 小説として 問いかけている。

    千鶴と ベアーマンの不思議な関係は
    生態系を修復させるという役割を持つ。
    北海道にいる ツキノワグマを 本州に戻し
    シベリアオオカミを 北海道に 解き放ち 自然を回復させる。

    人間の復興と自然の復興を 物語の中心にすえようと
    努力する 姿は 重要なことだともいえる。

    ただ 物語が ファンタジーとなって 
    ヒョッコリひょうたん島になっているのが,残念ですね。

    シマバナナを温室で作る話があるが、
    シマバナナは 果実に対して 草丈は大きく、
    温室のノキのたかさをかなり大きくしないとできない。
    また,ネハリが重要で 
    土の客土はかなり深くないと難しいでしょうね。

    まぁ。ファンタジーとして 許しましょう。

  • 東日本大震災のボランティア船に自転車修理の職人として乗り込んだ…つもりがいつの間にやら船がどんどん大きくなる!
    悲しみ、苦しみはなかなか癒えないけれど、その先に希望があれば一歩前に進めるのかな。

  • 3.11後の人々を描く、幻想でもあり現実も色濃く反映されたものがたり。
    それぞれが象徴される登場人物。
    特に、ベアマンに象徴される動物としての人間という、その感覚を取り戻さなければ人類の未来はないのかも知れない。
    絶望の中のかすかな希望を信じて。

  • 読み終わりたくなくて、久々に長いことジタバタした。船みたいゆらゆらしながら。最後読み終わってそのまま眠ると、不思議な夢を見た。船じゃないけど、カラスが居て、遠くでラッパがなってて、すごく込み入った家で、どこまでも続いてる。たくさんのひとがいて、広場もあって、楽しかった。あれはさくら半島だったのかなと思ってみたり。

  • 双頭の船とは、沿海、本土と近くの島をむすぶ、小さなフェリー。気仙沼のフェリーがすぐ頭に浮かんだ。
    3.11東日本大震災後、人とコミュニテぃが再生していく物語。
    震災というものを正面から見据えながら、現実が希望に昇華していく。
    SF(すこし不思議)な物語。
    良い本だと思います。おすすめ。

  • 読了するのに少し時間がかかってしまった。
    震災の後の被災地と人々を描いたファンタジーです。
    震災のこととは関係のないような話から始まりますが、話が進むにつれて、これはあの場所を書いているなと想像出来たり、実際の地名も出てきてファンタジーなのにものすごく現実的で興味深かったです。
    南の方は「空が壊れてしまった」という表現が胸に刺さりました。
    読んでいて不思議な気分にさせられた本です。

  • やっぱり「ひょっこりひょうたん島」は偉大だなあ。

  • 震災をテーマにした小説の中でも秀逸な作品と想う。
    亡くなった方々を忘れない追悼の誓いは、被災者共通の思いだろう。しかし未来に私たちは進まなければならない。いくつかの選択肢はあるだろうが、比ゆ的に言えば「双頭」なのか・・。
    当初から「ひょっこりひょうたん島」の歌が頭のまわりをめぐっていたけれど、それもそのはずだよね。私たちの島はどこを目指しているのだろう。

  • しがらみと切れて新しい世界を作るか。過去の影をなびかあ人は揺れ動いている。死ぬまで。与えられた役割をその場その場で100%味わえたら幸せだ。苦しみもがくことも幸せだ。自然はやさしくも厳しくもない。自然であるだけ。人間がそれに意味を持たせたがるだけ。人間だけ特別だと錯覚してしまうだけ。

  • わかりやすいようで、でも、不思議な話です。フォルクローレの章は感動しました。ストーリーを通して、ベアマンが象徴的な存在となっています。3.11はこれからも心のどこかにあり続けるのでしょう。

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双頭の船に関連する談話室の質問

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双頭の船の作品紹介

失恋目前のトモヒロが乗り込んだ瀬戸内の小さなフェリーは、傷ついたすべての人びとを乗せて拡大する不思議な「方舟」だった。船は中古自転車を積みこみながら北へと向かい、被災地の港に停泊する。200人のボランティア、100匹の犬、猫や小鳥、「亡命者」-。やがて船上に仮設住宅が建ち、新しい街と新しい家族が誕生し…。希望を手離すまいという強い意思にみちた痛快な航海記。

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