- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103776048
作品紹介・あらすじ
三十余年の結婚生活、そして、足掛け三年となる闘病…。家内あっての自分だった。七歳も下の君が癌でこんなにも早く逝ってしまうとは。文芸・映画評論の第一人者が愛惜を綴る、感泣落涙の追想記。
感想・レビュー・書評
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読んでいるとどうしてもせつなくなります…
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幅広い執筆活動をされている川本三郎さん。
奥様は2008年に食道がんで亡くなられました。
紫陽花の綺麗な時期。
奇しくも今日が命日。
あとがきは2010年4月になっていて、この追想記は亡くなられた直後から執筆をされているようです。
さすがプロです。
深い哀しみが伝わってきますし、とにかく上手い。
8年たって、その後の気持ちの変化を知りたいと思いました。
調べたら何冊かでているみたい。
少しは元気になられたでしょうか。読んでみたいです。
亡くなる二日前に三郎さんの顔を見て「おかあさん」と言ったそうです。
「35年間結婚していても最後は夫よりも母親のほうが大事なのだと心が痛かった」
それは違うと思います。
私の身近でも50代で癌で亡くなったかたがいますが、
「自分が死ぬのは構わないんだけど、おふくろがまだ生きているからなあ。早く死んでくれないかなあ」
と言っていました。
私も癌についてはいろいろ考えていて、まだ結論はでていないけど、「母より先には死ねない」そこだけははっきりしているので。 -
城山氏、川本氏、短歌・河野裕子氏夫君と、なぜか妻を亡くしたご主人の書いたものに気が惹かれる。
私はこれほど思われているだろうか?
この本をきっかけに川本氏の本を読むようになった。 -
50代で亡くなった7つ年下の奥様のことを書いた本ということで、私が手に取るのも少し躊躇われたが・・・本の中に散りばめられた思い出がとても愛おしく感じる。今も生活の所々に奥様の思い出があって、それが優しい。 コラージュ風の作品。
「最近、眠る新しい楽しさが加わった。夢で時折り家内に会えること。」とあった時、ふと小町の和歌を思い出した。
うたたねに恋しき人を見てしより夢てふ物はたのみそめてき -
2013年4冊目。
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奥さんが亡くなっていることが前提なので、どのページを繰っても薄い寂寥感が募る。それでも湿っぽさに捕われないのは若いふたりのかわいらしさや臨床に於いての夫婦の思いやりの方に胸を打たれるからだろう。お互いにきちんと向き合ったひとにしか書けないものだと、向き合えなかったことを思い遣る。
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批評家さんだからだろうか、文章がたんたんとしている。だけどそこに切なさ、苦しさ、つらさと妻への愛を感じる。ネコの事はあんまり出てこなかったかな?
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奥様とのグアムだったかサイパンだったかの話が印象的。
戦前生まれの主人公にはその土地は気持ちの良い土地ではないが、戦後生まれの奥様にはリゾート地だという事
これこそジェネレーションギャップだよなぁ -
まず持つ感想が「いい奥さんだったんだな~」。そして、それはやはり著者の愛情あってこそだったのだろうと思う。50代の伴侶を亡くすということは当然ながら切ない話ではあるけれど、読んでいる最中も読了後も、むしろ爽やかさを感じた。葬儀の話、そして(サラッと書いていたけど)著者が他の女性に気持ちを移しかけた時の夫人の対応が心に残った。