晴子情歌 上

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著者 : 高村薫
  • 新潮社 (2002年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103784029

晴子情歌 上の感想・レビュー・書評

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  • たくましく生きる、でも愛らしい主人公晴子が好きだ。
    古き良き日本が眼の前に浮かんでくる。
    特に、にしん漁の様子はまるで映画のシーンのようだ!

  • ミステリを離れた高村さんが女性を主人公に昭和を描いた作品。
    大人になった息子へ長い手紙を書くという形式。
    大人しそうに見えて妖艶なものを秘めたヒロインの波乱の人生。
    ミステリの雰囲気と違う、日本らしさを意識した柔らかで冗長な文章に読者は驚いたかも。
    色っぽい母と息子は、じつはいつもの高村作品と似たキャラクター?かも。

  • 4-10-378402-4 376p 2002・5・30

  • 遠洋漁船乗組員・彰之に宛て、母・晴子が書き綴った手紙の形をとった小説。冒頭から退屈で、読みづらく途中で挫折しました。晴子は大正9年生まれと父と同年生まれであり、晴子及びその両親の生活ぶりに自らの祖父母、父母の歩みを見ることが出来そうに思いました。改めて読みなおしたいと思います。

  • 晴子のみずみずしさ、つよさが読んだ後も心に残る。
    地を踏みしめて、風雨になぶられても、顔をあげているようなつよさ、
    みっしりと詰まりすぎていない少女の頃のような軽さと明るさ、を晴子に感じた。

    この作品含め、この後つづく作品の主人公・彰之には何とも共感できず、理解も及ばない。ぜんぜんわからない。

  • 息子・章之に宛てた母からの長大な手紙。

    戦前戦後を生きた一人に女性の生。アイデンティティとは?
    問いかけられているような感を受けた。

  •  洋上漁業に従事する息子に、母親からの長い長い手紙が届く。そこには母親のあまりに数奇な半生が記されていた‥。手紙を読むにつれ、息子の中の母親は徐々に姿を変えてゆく。
     髙村薫の作品なんだけど、ミステリー要素は全くない。厳しい労働に従事する漁師たちの描写は、荒々しくも時に美しく、彼女の美学のようなものを感じる。
     この作品は『新リア王』『太陽を曳く馬』に続いてゆく。どちらもかなり難解らしい。シリーズ制覇できるかな。

  • ほんとうに日本語って、うつくしいな、と。
    高村女史入魂の「晴子情歌」を読了して強く感じた一番のことでした。


    この作品は、主人公の母親である「晴子」から主人公への長文の手紙と
    主人公自身の物語が前後し、絡み合った形の物語になっています。

    昭和50年春。主人公彰之は、東大を出ていながら、さらに子供のころから禅僧になるべくして修行も積みながら、
    その「血」によってなのか、遠洋漁業従事者として、荒れ狂う洋上で体中鱗まみれになって働いていた。
    そんな中、母晴子は、16歳からの自分の半生を丹念に綴った長文の手紙を、洋上の彰之に送り続ける。

    晴子の手紙は、旧字体旧かな使いで、最初私は「これはレディ・ジョーカーの冒頭だな」と思いながら
    読みづらい古い字体の漢字やひらがなにかなり苦戦しました。

    でも、不思議なことに、物語も中盤を過ぎたころから、現代文である彰之の物語部分より、
    旧かな使いの晴子の手紙の文体のほうが、情景が瑞々しく、よりリアルに感じられることに気付いたんです。

    「軽薄短小」が良しとされ便利がられ、現代に生きる私たちは、こんなに美しい文化である旧文体も
    捨て去って来たんだなと、少し悲しくなりました。

    台所→臺所
    変化→變化
    医者→醫者

    そういう→さういふ
    かわいい→かはいい
    いる→ゐる
    おかしい→をかしい

    などなど、たくさんありますが、難しい(画数の多い)漢字がほとんどだし、いちいち辞書で引くのも
    興が殺がれること甚だしいので、もう前後の文脈で「こんな感じ?」にしちゃって読み進むわけです。

    東北の寒々とした海岸の風景、冷え冷えとした土間や板間、(当時畳の部屋はお金持ちの家にしかありません
    でした)での、日々のこまごまとした生活風景・・・。

    現代文での表現も、高村女史にかかれば素晴らしくリアルに迫ってくるわけですが
    これが旧仮名使い旧字体で書かれるともう、文章が匂い立つのです。

    でもやはり、読み進むのに根性がいることは間違いない(苦笑)
    それだからこそ、読み終えた後の感慨たるや、なわけです。

    高村女史の作品を読むにつけ、私はひとつずつ何かを学んでいるのは確かなのですが
    その中で今強く感じているのは、「知らないことの罪」ですね。

    今現在の与党の大馬鹿加減。
    これこそ、「無知のなせる技」の最たるもんじゃないでしょうか。
    あまりに「知らなすぎた、無知」な民衆が支持した「大無知な政治家たちの吹き溜まり」が民主党だと。

    前回読んだ「レディ・ジョーカー」での事件の大きな発端は
    ある無知なご令嬢が、その無知ゆえに、彼女の婚約者が「部落出身者の血統である」ことをあろうことか
    本人に告げてしまう。婚約者は自分の「出生の秘密」を知らなかった。

    結果どうなったか。
    告げられた本人を含む、3人もの自殺者が出てしまったわけです。

    私の同年代の方でも、「部落問題」や「部落解放同盟」や「朝鮮総連」などの存在を知らない人が
    多数いるというのも事実。
    (実際、昔勤めていた会社の「総務部」の部長も知らなかった!www)

    とはいえ当然私も無知な女の端くれw
    まだまだこれから高村女史に付いていく所存ですお!「無知による重大な間違い」をしないためにも!

  • ときどき、私にとってのある種の神は、まちがいなく彼女の言葉であると思う。

  • 上下巻読了。晴子という一人の女性から息子に宛てた百通の手紙と、それを読む息子彰之の物語。
    家族、そして家系の物語ですが、そこに、昭和という時代全体を映しだすようなものを感じました。読み終わった時、ひとつの時代を旅してきたような感動がありました。高村さんの小説ではいつもなんですが、最後の一文で感動がぶわあっとふきだします。
    あと、途中は自分の中の少女漫画好きのスイッチが入ってかなりときめきつつ読みました。(笑)
    巖にときめき、淳三にときめき、なんだかんだ栄にもときめき、遥にときめきました…。それもこれも晴子さんの魅力故かなと思いました。特に福澤家の男性はほんと、晴子さんにはかないません…。
    最初は旧字体と東北弁がかなり読みにくかったんですが、途中から普通に読めるようになりました。次は『新リア王』を読みたい。

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晴子情歌 上の作品紹介

昭和五十年、洋上にいる息子へ宛てられた母・晴子の長大な手紙。そこにはみずみずしい十五歳の少女がおり、未来の母がいた。三十になって知る母の姿に激しく戸惑いながら、息子・彰之は初めて母という名の海へ漕ぎ出していく。

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