センチメンタルな旅・冬の旅

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103800019

作品紹介・あらすじ

これは愛の讃歌であり、愛の鎮魂歌である。新婚旅行での"愛"を記録、私家版『センタメンタルな旅』から21枚。妻の死の軌跡を凝視する私小説的写真日記『冬の旅』91枚。既成の写真世界を超えて語りかける生と死のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 昨日見て、泣いた。
    もう一度今日見て、泣いた。

    棺桶の中の陽子さん。荼毘にふされた陽子さん。
    この姿を撮ってリリースしたことに対して、道徳的にも倫理的におかしいと思う人はいただろうし、これからもいるだろうと思います。

    でも、これは、これでよいのだと思う。
    なぜなら、それまでの荒木さんの写真集の中の陽子さんは
    美しいだけではなく、食欲睡眠欲性欲を自然に放出していたのだから。自分という人間のAtoZをまとめた旦那さんに感謝していると思う。
    きっと陽子さんは天国で、リリースしたことに対して最大の称賛賛美をしているだろうと思います。

    どんな人にとっても平等にやってくる死。
    一緒にいるだけで、それだけでうれしく幸せなのだということを
    愛する人が生きている間に実感出来なきゃ。

    経絡をつくように刺激し背中を押す写真集でした。

    最近、フィルムを暗室で現像プリントする機会がありました。
    暗がりの中で段々像を表す。
    荒木さんがこの写真たちをプリントしている時、どんな気持ちで像が浮き上がるのを待っていたんだろうなとふと思いました。

    キャプションがとてもよかったです。
    写真と言葉は相関関係だな。

  • 何度見返してもこころが揺すぶられ、涙があふれる写情。
    カメラという媒体を透して克明につたわる、「見る(見られる)こと」、「撮る(撮られる)こと」の意味。封じ込まれるあらゆる感情。あまりにも多くのエッセンスが詰まっていて、なにも言い表せない。
    出会って以来、最も好きな写真集。

  • ふむ

  • これは愛の讃歌であり、愛の鎮魂歌である。新婚旅行での“愛”を記録、私家版『センタメンタルな旅』から21枚。妻の死の軌跡を凝視する私小説的写真日記『冬の旅』91枚。既成の写真世界を超えて語りかける生と死のドラマ。(e-honより)

  • 我が家のメンバーは「リトル・モンスター」なので、マザー・モンスター(ガガ様)が好きな本に揚げているアラーキーさんのこの本を手にしてみました。

    ガガ様自身が荒木さんにヌード写真を撮らせているし、左肩にその記念のタトゥーを入れているくらいだからね。

    確かに生肉ドレスを着ていた頃のガガ様が好きそうな世界観。
    尖がっていびつなエロスを押し出しているようでいて、実はこれがリアルな純愛なのかな?…って感じ。

    前半は奥さんとの新婚旅行のときの写真(柳川?)で後半は奥さんが悪性の子宮肉腫となり灰になるまでの写真でした。

    若くして子宮肉腫でなくなった奥さん、結婚式のときの写真よりも遺影のほうが別人かと思うほど美しいのが不思議。

    ヌード写真家と一緒になって、裸を撮られることは許容していただろうけれど、死に化粧をした姿や焼き立ての骨まで撮影されて、出版されるとは思っていたのでしょうか。

    自分が先に死んだら、この人だったらやるだろうな…って思っていたでしょうね。
    これがアラーキーさんの愛の形なのでしょう。

    モノクロな分、見る人がいろんなディテールを勝手に脳内で補えて、自分流に解釈する余地が多くあるから、見た目以上に奥が深い作品かな…と思いました。

    まぁ、いろいろ告発されてるおじさんだし、好みもあるから評価は人それぞれですよね。

  • 六本木の個展当初予定されていた最終日雨だったし寸前まで行くか迷ったのですが見に行ったよ(^-^)ほんとに良かったです

  • こんなすごい写真集他にあるか?
    アラーキー、すごい。
    本当に、すごい。

  • 結婚直前に読むと泣ける。

    これを撮っておいて、さらに出版するなんてすごい。

    フィルムならではの日付プリントとモノローグが時間の流れを表していて良い。

  • 静岡市内の写真店「Ohno Camera Works」さんで読ませて頂きました。
    うろ覚えですが、書きたいと思います。

    妻・荒木陽子さんが亡くなる写真集だと認識してましたが、
    ページをめくるたび、何も出来ないことが、こんなに悔しくなるものかと痛感しました。本当に切なく悲しくなりました。
    そして、写真の横にアラーキーさんの嘆きにも似た言葉(私小説)があるのが、さらに胸に突き刺さりました。

    表紙をめくって、見返しに、手書きで書き殴った「私写真家宣言」が載ってます。
    これは幻の写真集『センチメンタルな旅』からものらしいです。
    前半はその『センチメンタルな旅』からセレクトされた写真(新婚写真)らしいです。
    その後に「冬の旅」として、陽子さんとの最後のツーショットから亡くなりお葬式が終わるまでの写真。

    陽子さん自体は、ほとんど写っていません。
    愛猫チロと、病院までに会ったと思われる女の子の看板(表紙)

    モノクロ写真なので、チロがより一層と寂しげな姿に見えました。
    そして、女の子の看板が切ない。
    特に陽子さんが亡くなった後に撮った夜の看板は切な過ぎる。
    詳しく存じ上げませんが、お子様がいらっしゃらないのかな。

    陽子さんへの尊い愛が伝わってきました。
    「写真集を観る」と言うより、まさに「私小説」を読む。
    ぜひ、手元に置いておきたい作品です。

    アラーキーさん、貴方が陽子さんを愛したように、
    僕も大切な女(ひと)を、一生愛します。ありがとうございます。

  • 見るたびに
    せつなくて泣きそうになる。

    けれど、とても静かな 感じ。

    ふたりの想いが
    ぎっしりつまっている写真集。

    こんなふうに愛し愛されたら幸せだろうなぁ。

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著者プロフィール

写真家。1940年5月25日、東京都台東区三ノ輪生まれ。1964年『さっちん』で第1回太陽賞を受賞。1971年『センチメンタルな旅』(私家版)を出版。「天才アラーキー」「写狂人」「写狂老人」などを名乗り『愛しのチロ』(平凡社)、『センチメンタルな旅・冬の旅』(新潮社)、『人妻エロス』(双葉社)、『往生写集』(平凡社)、『顔』(KADOKAWA)など、現在までに500冊近い著書を刊行。

「2015年 『楽園は、モノクローム。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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