がらくた

著者 :
  • 新潮社
3.23
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本棚登録 : 1277
感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103808077

感想・レビュー・書評

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  • 人と人が結ばれることはあっても、それを永久に同じ形に残しておくことはできないし、表面が綺麗に見えても中身は腐っているのかもしれない。

    誰かを好きになることって、ある意味で永久に片想いなのかなと思いました。

    正直言って、最後は気持ち悪い感覚が残りました。
    今まで不倫の話を読んでてもなんとも思わなかったんですが・・・。
    今までは不倫を通じて共感できる部分もあったし、あり得ない関係の中に、恋の切なさや、人間関係、男女関係の真理がのぞいていました。
    ところが、この小説の登場人物たちは、ありえない関係で、恋愛の感覚も現実にはちょっとありえない。
    原さんの人物像や考え方も理解できないし、そんな不可解な原さんに惹かれてしまった人たちに対して気持ち悪い感覚が残る。

    年を取ったらこの小説の感覚も理解できるのでしょうか。

  • たまたま図書館で見かけた江國さん。最初の南国のホテルでの風景をすぐ思い浮かべられる確かな筆致。
    桐子のかっこ良さも老いの弱さも、柊子が夫のネクタイにまで嫉妬するなどの表現もさすがだわ~と心地よく読んでいたけれどラスト近くのまさかの展開でホラー味感じた。
    うへぇ。とつい声が出た。
    普段見ないけど奥付に2007年に発行とあり、まあ時代か??と思いながらもさやかさんと涼子さんの会話の場面で出て来るタイトルとの繋がりを考えるとちょっと落ち着いた。

  • うーん…。登場人物にあまり共感できず。そして原さんに魅力を感じなかった。ただただ気持ち悪く感じてしまった。あまり得るものがなかったな。

  • 海外旅行先で出会った、45歳柊子、15歳美海。

    柊子、愛人がたくさんいる夫をとても愛している。旅行には母親と来ている。

    美海、同級生と群れない、変わり者。離婚している。旅行は父親と来ている。

    柊子と美海父はありだけど、最後の美海と◯◯はなし、OUTでした。

  • 読むタイミングを間違えた。
    ゆっくり週末に楽しむ本だった。
    平日に途中ながら無念の図書館返却。
    星空を見せてあげたくて自分が下になるのが、本ならではの描写だった。
    映画は人物の内面を説明しないから、久々の読書は、内に籠るような感覚だった。

  • 柊子は、初めから美海と夫か『そうなる』とわかっていたんだと思う。

  • ありそうでない話。もしこのストーリーが現実にあったと想像して読んだらむず痒くて落ち着かない。
    あくまで『お話の中の人達の世界での恋愛』なのだからと言い聞かせながら読んだ。
    自分の恋愛価値観と違った相手を愛してしまったら。しかも狂うぐらい不安になる程、自分が変わってしまう程の相手をパートナーに選んだなら。
    初めて読んだ感想は私が桐子じゃなくてよかった。でした。このお話が続くなら、美海を含めてより複雑になったあの人達の関係が一体どんなふうに共存していくのかな。

  • 大人になっちゃった人向けの少女漫画、ラブストーリー。

    現実社会で起こりうるであろうことを踏まえた上で女性が切に望むこと。

  • これは、読者の好悪をすごくはっきりわける作品だと感じたし、きっと江國さん自身も、それを意識して書いたんじゃないかという、確かな意図も感じた。

    わたしは、全体的にこのお話は嫌いじゃない。
    原の行動に裏切りを感じないし、場面場面の表現に、すごく納得してしまったから。

    人は誰かを所有できても、独占はできない。
    とか、
    感情を不変に保存することとジャム
    とか、
    離れている時ほど、所有されていることを感じる
    とか。

    「純愛」と世の一般で定義されているものに(感覚として)、江國さんの主人公たちはあてはまらないのかもしれない。
    そうして、そういう「純愛」が好きな人には江國さんの小説は受け付けないのかもしれない。
    けれど、江國さんのうむキャラクターたちはたいてい、ただ一人を心から愛している、し。
    その大切な人以外の、異性と過ごすことでよりその人を大事だと気付い、ている。
    比較するという風じゃなく、そういうことで安心する、帰れる場所を意識することを、わたしは「不純」であるとは思えない。
    だから、江國さんのお話に登場するひとはみんな、どこか否定してはいけないそれぞれの魅力がちゃんと、ある。

    江國さんの描く世界が「ドロドロ」としないのは、そこにあるんだと思うし。
    そういう「変わった」人たちが、「普通」に生きているところがおかして懐かしい、気持ちにさせる。

    どっちにしても、わたしは江國さんの書くものすべてが無条件に好きです。

  • 変化しないものは一見魅惑的に見えるけれど、所詮、がらくた。私たちはその時、その瞬間に存在するものだけしか、感情として感じることができない。

    非日常と文章の美しさを味わいながら、ゆっくり読むのがいい。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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