ウルトラ・ダラー

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著者 : 手嶋龍一
  • 新潮社 (2006年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103823032

ウルトラ・ダラーの感想・レビュー・書評

  • “てっしー”氏初の小説。
    クルマ、浮世絵、着物、懐石料理、等々、小道具の描写に愛があり、作品世界に彩りを添えている。“元記者”さんの小説だからきっとドライな感じであろう、という先入観があった。偏見であった。著者が粋な趣味人であると感じさせる、色気のある作品世界なのであった。
     日本の伝統文化や東洋思想に深い理解を示す主人公の英国人に、トレヴェニアンのスパイ小説「シブミ」を連想した。

     さて、偽100ドル紙幣を巡る、外交・諜報の世界を舞台にした小説である。宣伝文句曰く、ドキュメント・ノベル。取材に基づく事実の断片を構築した、限りなく真実に近い小説だという。
     たとえば、小泉訪朝の電撃外交の舞台裏での謀略のエピソードが描かれる。
     内容は非常にスリリング。だが、作品世界に我を忘れて没入出来ないもどかしさに、最後までつきまとわれた。情報や設定があまりにも面白いだけに、事実と仮想の区別が気になって仕方がなかったのだ。
     リアルな匂いがし過ぎるのでフィクションとは言いがたい。推論・仮想というのが妥当なところか。

     国際情報小説を楽しむ土壌が、日本ではまだ成熟していないのかもしれない。そこにリアルな爆弾を放り込まれた為の違和感なのか。 (自分だけか…) 

  • 金持ちが多い 世界ですね。
    スティーブンブラッドレーは 貴族の出身。
    家には バトラーがいる。
    家には 浮世絵の コレクションがあるという。
    そんなブラッドレーが、諜報員とは。
    表の稼業がBBC のラジオ放送の 担当者。

    篠笛の師匠 麻子。
    おじいさんが 中国において 医師として活躍。

    アジア局長の瀧澤の奥さんが お金持ちで 馬主でもある。

    お金持ちだから 趣味が違うのだ。
    浮世絵、和服、馬についての蘊蓄が語られる。

    北朝鮮の偽札製造をして 流通をクリアーする手法は
    おもしろいのである。
    日本の技術である偽札チェッカーが 重要な役割をする。
    お札に チップさえも詰め込もうとするのが 
    スゴイですね。これで、金の流れは わかるという。

    ただ 北朝鮮が ブラックボックスのママであるのは残念である。
    その内部の情況が 描かれれば もっとおもしろいけど。

    確かに、このようなことが あると思われる。
    金と交換停止した ドルが 印刷する自由をアメリカがもっていて
    アメリカ外で 70%も 流通しているいう現実。
    ここに、危うさが あるのですが。

    いろいろな話題が 満載にもかかわらず
    物語として おもしろくないのは なぜだろう。
    ブラッドレーという主人公が 主人公らしくなく、
    タンパク なのだから だろうか?

  • 文化やモノに対するウンチクが多く、加えてこういうスパイものが好きな僕は途中までは引き込まれてたけど、残念ながら物語としてはつまらなかった。

  • ディテールの小ネタは各々面白いのですが、プロットがなあ。盛り上がりにかける流れだった。

  • 日本の熟練印刷工を拉致し、巧緻を極めた偽ドルを造る「北」の驚異。このノベルは、そんなスケールを遥かに超えていた。徹底した情報管理で貫かれた紙幣印刷、あるいは偽札探知の技術を手中にしていく工作活動が展開される。しかも、通貨テロルの先には、世界を震撼させる核戦略があった。

  • 非常に文化水準の高い方々のお話でした。ウルトラ・ダラーという精巧な偽札に関する物語なのですが、北朝鮮との話や世界情勢とも重なり、私にはちょっときつかったです。読み終わってから気がついたのですが、作者の手嶋さんってテレビに出てる人ですよね。なんとなく作風が「あの人らしいな」と思いました。もうちょっと色んなニュースとか読んで知識を蓄えてからもう一回読んでみたいです。

  • 登場人物がステレオタイプではあるが、内容的には面白い。細部の描写については無駄な部分も多いが特段嫌な感じはしない。

  • だらだらしてて盛り上がらない。
    つまらなかった。

  • ディテールに拘りを持っているようだがメリハリがなく背伸びをしている感じ。その為ストーリーのバランスが悪く転・結が締まっていない。

  • まるで未来が分かっていたかのように的中する近未来小説。
    我々の知らない外交の一幕が伺える。

  • スーパーダラーを上回る精度のウルトラダラーが出現し、日、米、英、北朝鮮、露、中を股にかけたインテリジェンスの攻防が繰り広げられる!!
    壮大すぎて脈略を見失うこともあるけど、スリリングで最後の結末に驚く!

  • 真保裕一を初めて読んだときの感覚を思い出した。虚実織り交ぜての知らない世界を覗かせてくれる迫力。
    終盤にかけてハリウッド映画的に安っぽくなってしまうが、そこまでの、水中に顔を沈めているような緊張感はリアル。
    特定の人物か組織にメッセージを発しているように感じる。

  • ウルトラ・ダラーは北朝鮮が刷っている最新の偽札である。主に移動中に読んだのだが、結構かかってしまった(^^;

    この本の感想は、政治的解釈抜きでは語れない。読んだ人は同感してくれると思うが、今、それをここに書くのが凄く怖くなっている。だから核心的な事を書くのはやめておこう。

    フィクションではあるが、似たような事が世界で起こっている事は、誰も否定できない。少なくとも我々の世界情勢への解釈の方が、よりフィクションであるだろう。そう考えると、世界を学ぶ上ではかなり有効な本だと思う。

    本として見ると、隙のない女性が多く、ラストシーンがフィクションっぽいかなと思った。それ以外は、ノンフィクション的に恐々と読んでいたので、その部分で現実逃避できたが、完成度としては落としてしまった部分かもしれない。

    北朝鮮のミサイル問題が話題になっている今、いいタイミングで読む事ができた。結局、戦争はまだ終わってないと言う事だ。そして国が国益第一に考えている以上、戦争はまた起こるなと思ってしまった。

    そうならないために、我々は世界を読む知識を得なくてはならない。今の人の無関心さや、受け売りでの解釈では、すぐに考え方を誘導させられ、一つにまとめられてしまう。その一つと言うのは、戦争を肯定する考え方である。

  • 語り手(視点)がころころ変わっていって、慣れるまでは読みにくく感じた。
    また、あまり詳しくない分野だからか、
    どこまでが真実でどこからがフィクションかわからない部分も多くあった。

    エピローグは最後、一気に流れていく。
    最後の数ページ、ドキドキしながら読んだ。
    スティーブン。。

    しかし、途中で出てきた登場人物たちはその後どうなったのか、
    あとあとまで気になってしまい、何だかすっきりしない感じが残った。

  • スギハラ・ダラーの前の本です。インテリジェンス。ガーベージ・イン、ガーベージ・アウトですから、(1)入れる情報の質を高める、(2)その情報による深い洞察ができるようなトレーニングをする、ということがこの本を読んだ際の結論の一つ、と思いました。(この本はいろんな側面から読むことができますが)

  • 情報を巡る、国家間のし烈な争いを描いた物語。情報という扱いが難しいものを対象としているため、どこまでがフィクションなのか、判別することは難しい。
    外交官、諜報員など、それぞれの立場の思惑が絡み合う。

    誰にでも分かりやすいように書かれているためか、終盤は非常にすっきりと事が進む。
    私としては、もう少し謎を残したまま結論を迎えて欲しかった気がする。


    とはいいつつ、本書を読了した駅のホームで、私の不意に後ろに立った乗客に、思わずドキリとする私であった。

  • 世界で起きていることの舞台裏が見えてくる、素晴らしいドキュメンタリー小説だった。外交・インテリジェンスというものがどれだけこの世界を支配しているのか、我々の知らないところでどのような駆け引きがあるのか、時代背景も含めて理解を深めることができた。
    佐藤優氏の小説と本書はとても関係性を感じる。

    この本を何年も読まずに積んでいたことを後悔している。

  • 偽造通貨だけでなく、人間関係に関しても深い。最後の展開にびっくり。

  • いろんな意味で不思議な小説(?)。はじめ、北朝鮮製偽造100ドル札をめぐる国際謀略小説かと思っていると、それがスパイ小説になり、最後は冒険小説調に転ずる。偏見かもしれないが、この手の小説は、著者が得意とする(こだわりのある)分野の描写がしつこくなる傾向が見られ、本書でも居食住、嗜好品、外交、諜報、いずれにもこだわりがあるようなシーンが展開されていく。すると、普通はバランスが取れなくなり、ストーリー全体が破綻するのだが、本書の場合、何となく、それほどの破綻もなく終わる。書きたい事が決まらないまま書き出した小説でもなく、書きたい事を詰め込み過ぎた小説でもない。書きたい事が、それなりにうまく配置された小説というべきか。
    ただ、それは食事のシーンに象徴されるように、メニューを連呼するばかりで、食するシーンがほとんど無く、おいしさ(味覚)が伝わってこない。

  • 元NHKワシントン支局長だった氏のデビュー作。

  • 外交ジャーナリスト手嶋龍一の久しぶりの著作ということで、期待して読んだが、小説という形がよくないのか、どこまでが真実で、どこからが創作なのかが曖昧なのが、逆に小説の書き手としては、高くないのかなと思ってしまう。

    やはり、手嶋龍一はノンフィクションを書かせた方がよいのではないだろうか?内容としては、北朝鮮に拉致された印刷工が、ウルトラダラーという、偽札としては基準が高いものを作り出し、それを追うインテリジェンスのがるスティーブンの話なのだが、視点がいろいろな人に移るので、読みにくい。

    真実こそ、手嶋さんにとっては書きがいがあるのではないか?

  • ウルトラ・ダラー。
    極度に精巧な偽100ドル札。
    この流通を巡り、
    日米欧をまたにかけたドラマが展開する。
    主人公はBBC日本特派員にして
    英国諜報員のスティーブン。
    さながら007か。
    スティーブンは日本文化を解し
    日本語も流ちょうに操り
    篠笛を美人師匠に学ぶ。
    しかもこの美人師匠の麻子といい関係。
    ちょっとしゃくにさわる。
    話は偽100ドル札が北朝鮮で印刷されているという
    辺りから話がきな臭くなってくる。
    スティーブンの大学時代の親友で
    米国諜報員であるコリンズと連絡を取り合い
    インテリジェンス~情報のやりとりを行う。
    日本のスティーブン、外務省の高遠審議官
    滝澤審議官の間でインテリジェンスを巡る駆け引きがあり
    米国ではコリンズと上司のファルコーネが
    インテリジェンスを操る。
    さらに日本国内の偽札検査器メーカー社長も出てきて
    前半は会話の中からお互いの探り合いという展開が続く。
    そして、北朝鮮の偽札は
    ウクライナから弾道ミサイルを買うためだったと判明し
    舞台は一気にフランスのパリへ。
    運河とセーヌ川を弾道ミサイルを積んだ船が行く。
    河岸ではパリ警察が、米国諜報が
    孤軍奮闘のスティーブンが船を突き止めようと動く。
    そして、スティーブンが船を特定し
    ウクライナと北朝鮮の船を拿捕するが
    弾道ミサイルの心臓部分は抜き取られていた。
    そして、ある文書をスティーブンは
    篠笛の師匠で恋人の麻子に託して
    高遠審議官に送るが
    それがまた新たな事件の契機だった。
    最後は日本国内でアクションが展開する。
    頭脳戦から一転してパリ、日本の
    アクションシーンが続く。
    この展開はわくわくさせる。
    ラスト湖から浮かび上がる
    スティーブンと麻子の運命は如何に。
    読後もいくつかの謎が余韻として残る。
    NHK前ワシントン支局長が
    リアルな、リアルな国際状況や
    外光状況をベースに描いた
    本書は読み応え十二分だ。

  • 期待していただけに、う〜ん、という感じだった。

    まず、自分ごときには文章表現が何かと難しかったことと、本筋から離れた食事やら衣服やらなのウンチクが多くて煩わしかったことで、小説の世界に入っていけなかった。

    読み続けて、最後もう〜ん、って感じだった。

    諜報員である彼が、捕らえられるかもしれないあんな所に一人で向かうだろうか。

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