ブラック・スワン降臨: 9・11-3・11 インテリジェンス十年戦争

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103823056

作品紹介・あらすじ

ビンラディンの頭上を、突如急襲した黒い鷹。それは9・11以降十年に及ぶ謀報活動にアメリカが凱歌をあげた瞬間だった。だがまさにその時、フクシマの地は、ブラック・スワンの羽に覆われていた。原子炉にヘリで注水する果敢な「特攻作戦」も、日本が現代インテリジェンス戦に敗北しつつある象徴だった。日米同盟の亀裂と外交的孤立に二十年以上前から警鐘を鳴らして止まなかった著者の、書き下ろしノンフィクション大作。

感想・レビュー・書評

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  • 3.11のテロを防げなかったのは、米国がインテリジェンスを有効に扱えなかったから。しかしその後の対応はカッコいい。オバマ大統領がゴルフにいって周りの目をごまかしてビンラディンの殺害を実行するのはまるで映画のよう。
    一方、日本は情けない。9.11の原発事故の対応のお粗末さ。外交の下手さ。訓練もされておらず、才能もセンスもない人間が国家の要職を占める怖さを指摘されます。

    そう言えば日本語ではインフォメーションもインテリジェンスも「情報」となってしまうのは、日本人にインテリジェンスの概念がそもそも無いからなんでしょうね。

  • 9.11から3.11までの大きな転換点の裏側で、様々な重要な決断がリアルタイムで行われている事が描かれており、臨場感のあるインテリジェンスの働きが重要な役割を果たしている事がわかった。

    2020年4月の現在は世界中が3.11、9.11以上の災厄に見舞われている。世界を救うために、または今後の世界を作っていくために、世界中のインテリジェンスはどのような働きをしているのだろうか?

  • ブラックスワンとは実在しないと思われている黒い白鳥。しかし、そのブラックスワンが舞い降りた時に何をどう決断するのかが、指導者には求められる。911から10年後の311にいたるまでの日米中、世界のインテリジェント戦争を物語調に記述しているため、読み易く、ドキドキしながら楽しめた。
    決断をするためには如何に情報を集めるか、しかも自然に集まるような準備をする行うかが重要。
    情報が集まる体制できてないのに、無理して集めようと現地に急行する管哀れ。このような指導者の時に未曾有の大震災が起こるとは正にブラックスワン。
    ここから何を学ぶか?インテリジェントがないと適切な判断ができない。すなわち、決断が必要な仕事、ロールは情報を集める能力、集まる準備を再重要視する必要がある、ってことだ。
    アメリカが80km圏外に避難した時には、よく分からんくせに過敏だな、コンチクショウと思ったけど、裏付け有りまくりだった訳で、知らないのはお気楽な自国民のみだと。まともな指導者を選ばないと。

  •  9・11をアメリカは本当は防げたのではないか。
     何故防げなかったのか、とその時々の状況を語っている本。まさに、情報戦に負けたというべきなのか。
     アメリカの話をしているときは、さくさく読めたのですが、日本の今(民主党が第一党になってから)は、物凄く読むのがつらかったです。
     日本の危機が此処にあるのか。

  • 元NHK・ワシントン支局長を務めた手嶋龍一氏による、9.11から2011年のビン・ラディン殺害にいたるまでのアメリカのインテリジェンスをめぐるノン・フィクション。

    最初に感じたのは、手嶋氏の文章は相当うまいし、筆致は冷静である。こういうジャーナリストが手がける文章は、往々にして、「感情」がほとばしってしまい、短絡的に結論を印象付けることに陥りやすい。
    それに対して、氏の文章はキレもあり、英語で書かれた伝記やルポルタージュのようである。

    正直に言って、この本に書かれている内容が正確かどうかはわからない。しかし、ふだん我々が接するニュースのレベルとは取材の掘り下げ方が段違いであるということはわかる。

    ただ、アメリカ政府によるインテリジェンスの不全を投げかける著者そもそもの意図はわからないでもないが、そこについては、単に属人の問題ではないのだから、もう少し広い視野で語る必要があると感じた。

  • 「スギハラダラー」の続きで、スティーブンとマイケルの活躍かと思ひきや、
    さにあらず。9.11からビンラディンの殺害、3.11の東日本大震災までの
    出来事を辿りながらの手嶋龍一氏の警世の書であつた。
    3.11の在日米軍の際立った動きと菅直人率いる日本側の不様な行動を
    対比した場面は読み応へがあつた。
    「在日米軍は迷惑施設」と明言する北沢防衛大臣等、日本の防衛意識、
    危機意識の欠如は深刻である。

  • 日本に致命的に欠けているインテリジェンス、この重要性について数々の実例をもとに書かれている。インフォメーションとインテリジェンスを見極める力が必要だし、不完全なインテリジェンスの抜けている部分を補う洞察力が必要。また、いくらインテリジェンスが確かであっても、決断力が問われる。いまや、巨大なブラック・スワンに覆い隠された日本は、暗闇の中でもがいている。

  • まるで、テレビのドキュメンタリーを見ているような感覚になった。
    情報を集めて分析し、それらを編集統合して、映像ではなく本にまとめたという感じ。長年の現場での記者経験が活かされていると思った。

    著者のインテリジェンスが伝わって来る、読み応えのある本でした。

    尚。この本を購入したきっかけは、以下のインターネット番組「ラジオ版 学問ノススメ」2012年1月16日放送だった。http://podcast.jfn.co.jp/poddata/susume/susume_vol303.mp3

  • 本書はいろいろ示唆に富んだ本である。

    佐藤優氏の一連の著作により「インテリジェンス」という言葉がかなり浸透したが、手嶋氏によれば、「インテリジェンス」は決して万能なものではなく、人が扱うものであう以上、特にその時の宰相の姿勢や器により、集まる情報の質(信憑性を含む。)も量も自ずと変質してしまう、といった視座が大変参考になった。

  • 手嶋龍一氏の講演を実際に聴いているので、新鮮さはなかった。しかし初めて読む人にとっては、面白いだろう。おととし聴いたとき朝鮮半島には今後数年、何も発生しないと断言されていたが、砲撃事件、沈没事件等の末、金正日が死去した。インテリジェンスでも読み解けなかったか。中国外務関係は、「戴秉国」氏を見ろ、ということで大変参考になっている。

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著者プロフィール

手嶋龍一  Teshima Ryuichi 外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2023年 『ウクライナ戦争の嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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