ハゴロモ

  • 新潮社
3.52
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本棚登録 : 1407
感想 : 220
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103834045

作品紹介・あらすじ

失恋の痛みと都会の疲れを癒すべく、故郷に舞い戻ったほたる。雪に包まれ、川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切なものを彼女はとりもどせるのだろうか-。言葉が伝えるさりげない優しさに救われるときはきっとある。人と人との不思議な縁にみちびかれ、自分の青春をあらたにみつける静かな回復の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 夢の中と現実で繋がっている空想的な世界観がすごい好きだった。出てくる登場人物も闇をかかえながらも他の人に支えられながら生きていて良かった。バスターミナルの神様(みつるくんのおばあちゃん)みたいに人に優しくできる人に私もなりたい。故郷っていいな。

  • 発売当時(13年前)読んだきりだったのを再読。装丁がとても素敵な本。

    癒しの小説、という表現がぴったり。
    8年にも及ぶ交際のあと不倫相手と半ば捨てられるかたちで別れた主人公のほたるが、東京から北国にある地元に束の間戻ることを決める。
    祖母が営む風変わりな喫茶店を手伝いながら、田舎のゆるやかな暮らしのなかで、かつての知人や新しく出逢った人々の優しさに触れ、擦りきれた心を徐々に癒していく。

    よしもとばななさんの小説らしく、“死”というものがすぐ側にあって、しかもそれはとてもむごい形で亡くなっていて、残された人の悲しみはいつまで経っても完全に消えることはない。
    そこで傷つき立ち上がれないままでいる人に触れることで、主人公も自分の傷に向き合う。
    出逢いの奇跡とか、不思議な力とか、信じない人にしてみたらまったくの眉唾物だろうけど、人間の勘だとか縁というものは科学だけでは解き明かせない力を秘めているものだと私は思っていて、この小説にはまさしくそういったものがたくさん詰まっている。

    回復する力というのは偉大だ。
    人の優しさだけではなく、時間の経過だけでもなく、その人の回復力だけでもない。すべての要素が絡み合って、徐々に自分を取り戻していく。
    その時間はまさに“ハゴロモ”みたい。
    5年前の自分に読ませてやりたい。笑

    ほたると、るみちゃんという友だちでもなく家族でもない特別な関係がとても素敵だと思った。かけがえのない縁というのはこういうものではないか、って。
    よしもとばななさんの小説を読むと、こういう間柄って羨ましいなぁと大抵思う。

  • よしもとさんの作品は、若い頃に読んでいた。
    けれども、なんとなくしっくりこなくて、遠ざかっていたものの、レビューを読んで、気になって読んでみた。
    今読んで、こんなにしっくりくる話を!と自分にびっくり。
    まあ、私にもそれだけの変化があったということだ。
    なんとなくスピリチュアルに読めるところもたくさんあるし、生きるってそうだよな~と気づかされることもたくさん。
    なんとなく、手元に置いていて、繰り返し読みたくなる本かもしれない。

    • kuroayameさん
      このお話は、よしもとさん作品の中でもなんだか雰囲気がほのぼのしていてよかったですよね(^_-)。
      レビューを拝見させていただき、とても嬉しく...
      このお話は、よしもとさん作品の中でもなんだか雰囲気がほのぼのしていてよかったですよね(^_-)。
      レビューを拝見させていただき、とても嬉しくなりました(*^^*)。
      ありがとうございます(^_−)−☆。
      2012/12/15
  • かなり好きな作品かもです★ミ。
    なんとも独特な世界観で、非現実的なお話しをすっぽり受け入れてしまった自分自身にびっくりでした(>・)/。

    霊的とでもいいましょうか・・・。
    それでも「こんな体験ってどこかにありそう」なんて思えてしまう(^-^)。

    よしもとばななさんの作品は暗めの「死」が登場しがちですが、この作品では、なんだか「死」の中にも希望があるみたいな、ちょっとなごんだ雰囲気で、気持ちよく読み終えることができました♪。

    • 山本 あやさん
      わーー、この本も買ってあるから、ますます楽しみになったよー♪
      ばななさんの死の扱い方はすごく好きだなぁと
      思ってたんだけど、その中に光がある...
      わーー、この本も買ってあるから、ますます楽しみになったよー♪
      ばななさんの死の扱い方はすごく好きだなぁと
      思ってたんだけど、その中に光があるとなるとますますステキな
      本になってるんだろうねー。ほんとに楽しみーっ[*Ü*]

      素敵な情報をありがとうーーー[*>ー<*]屮》☆
      2012/11/29
    • sorairokujiraさん
      よしもとばななさんの作品は久しく読んでいませんでしたが(若い頃読んで、あまり惹かれなかったので、それっきりになりました)このレビューを読んで...
      よしもとばななさんの作品は久しく読んでいませんでしたが(若い頃読んで、あまり惹かれなかったので、それっきりになりました)このレビューを読んで、また読んでみたいと思いました。
      さっそく取り寄せてみますね。
      読むのが楽しみです。
      いつも素敵なレビュー、ありがとうございます。
      2012/11/29
    • kharaさん
      kuroayameさんのレビューにあったなぁ、なんてハゴロモを本日購入いたしました(*^^*)
      まだ読み始めなのですが非常にわくわくしながら...
      kuroayameさんのレビューにあったなぁ、なんてハゴロモを本日購入いたしました(*^^*)
      まだ読み始めなのですが非常にわくわくしながらよんでいます。
      こういった繋がりができてうれしいです♡
      2012/12/02
  • 優しいお話だった。
    去年すっごく忙しくって、一月はちょっとゆったり出来るからと思って読んだ。忙しい時に読まなくてよかった。お話がゆったり進んでいって、今の自分にとってもしっくりきて心あったまるお話でした。

  •  心にじわりと来る話だった。言葉選びも相まって、全体をどこか寂しく、それでいて優しい空気が包み込んでいて、情感に訴えかけてくる。とりわけ情景描写が好みで、田舎の街の感じとか、冬のぴりっと澄んだ空気みたいな、自分が良いと感じる感覚を想起させられた。
     理路整然としている訳ではないが、そこはすきずきだろう。物語の構成よりも、醸し出す空気や心の動きを味わうような小説だった。
     個人的な難点としては、やや読みにくさを感じたところ。難しい文章ではないけれど、曖昧で独特な比喩表現が言い募るように多用されていて、分かりにくさを覚えた。詩的な文体は好みだが、却ってピントがぼけてしまっているような気がした。とは言え、この文体が作品全体の雰囲気作りに大きく貢献しているのだろうことは、疑いようがなく...。
     台詞についても、口語と文語がまざっていたり、そうは言わないだろうという言い回しが多かったり、ちょっと突っかかった。
     私的には表現のくどさを感じた一方で、じわじわと感情を動かされる小説だった。文字が大きかったため、一時間少しで一気に読み切った。

  • 「たとえどんな死に方をしても、どんなつまらないことの巻き添えになって死んでしまったのだとしても、そのお父さんの魂が汚れることは決してない。つまらない意図で、つまらない人生に行き詰まってはた迷惑な生き方や死に方をした甘えた人が決して、絶対に遺せないずっしりしたものが確かにあるし、それは、形を変えて絶対に続いていくはず。前にみつるくんが言っていたような、因縁とかおばあちゃんの偉大な足跡のあおりみたいなものも、確かにあるかもしれない。でも、その遺していく力の重みこそが、きっと人間が唯一このどうしようもなくたまらない世界の中に置いていける何かなのよ。」

  • 一度、途中で読むのを止めたの。
    気が進まなくて。
    ほんの少し時間をおいて
    また読み始めてみたら、癒された。
    今が、この本を読むタイミングやってんなぁ。

    静かに時間が進んでく。
    他愛もない、再生の話。

    本当にハゴロモのような話だった。

  • 川原に座って川を眺めたい。
    ケーキを食べながらお茶を飲んだり、ひとの作ってくれたインスタントラーメンを食べたり、したいなぁ。
    名もなき偉人に会いたいなぁ。
    神秘的な出会いのなかで普通に生きている人たちのやさしさや逞しさに涙がでた。

  • うまい。
    一気に読んでしまった。ページを次へとめくりたくなる。登場人物がどこでどのように、どんなきっかけで過去からいまにつながっていくのか、隠されている謎を解くような気持ちで読み進めた。ヒントがちらちら現れているのに、人がそれに追いついてけない歯がゆさや、ある瞬間に時間や距離や夢現を越えてばちっと合わさるときの身震いするような体の反応。ヒントのピースがつながってこたえのような(合ってる・間違ってるとかの答えとは違うもの)ものが現れたときは、ちょっとうるっときました。そういうのってあるんだろうなと。
    この作品は著者的に物語が「降って」きてそれをそのまま書いた。という。読んでいてそういう気がした。書かされているんじゃないかな~と思った。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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