ヤンのいた島

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著者 : 沢村凜
  • 新潮社 (1998年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103841036

ヤンのいた島の感想・レビュー・書評

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  • 読まされますし、展開も速い。特に現実以外の他3つイシャナイ像の可能性を含む夢のどれもが、引けをとらない悪夢。果たして現実とその他3つの夢、あわせて4つのイシャナイの姿はどれがいい?どれも悪夢だけどね。そう言われているようで逃げ場がない。結局、何かを・・・例えば戦争を回避したとしても他の問題は必ず起こりうるのだ、きれい事だけではない、そうつきつけられているようで。油断していると、ガツンとくる本です。

  • 世界はぼくらを憎んでいるのだろうか

    舞台は南半球にある小さな島国。近代にようやく発見されたその国には、まだ未開の自然が残り、他国より生物調査団が派遣される。
    その一員として、想像上の生物の存在を確かめようと意気込んできた一人の調査官は、内戦中の厳しい監視をくぐり抜け、一人調査へ乗り出す。そして、彼女は潜伏するゲリラに捕まり、彼らと共に行動し、その国のいくつかの可能性の目撃者となる。

    最初は発展途上国の民族アイデンティティ確立のような話かと思っていた。
    瞳子の無鉄砲な身勝手さに呆れつつも、これが日本人が夢見がちと言われる所以なのかもしれないと他人事と思えず読んでいた。
    考えや理論だけで戦闘を行うわけではなく、生き残るためなら正道を通ることなんて出来ない。
    ドラマティックな生死を賭けた場面ではなく、圧倒的に力を持つ立場で捕虜を尋問し殺害する。
    これを止めるのは部外者と、経験の少なさで言えることで、当事者であれば殺すしかないこともあるようだ。
    (それが非難され、間違っていて、自分もそれをしたくないと思っていても)

    このようにつらつらと、情報としての戦闘と、現代の日本に生きているギャップに思いを巡らしながら読んでいた。
    しかし、時折出てくる夢の世界。そして、ヤンという存在の意味。
    これらが繋がったとき、どうしようもなく、やるせない。
    「他の国もそう」、「少しずつ何かを変えていくしかない」、「あなたが現実にこうしていることは間違っていない」
    これらの言葉は正論かもしれない。それか、これ以上のことは言えないかもしれない。
    けれど、圧倒的な現実の前にはあまりに脆い。
    経済の失敗、蹂躙された国土、民族性の消滅、激化する内戦。それぞれの利点もあるが、反動の代償が大きすぎる。
    問題の先送りとなっても、時間座標が変われば、世界もまた変わってくるかもしれない。
    その可能性に賭けるしかない。
    本書は問題提起で物語を収束させ、解決策までは行き着かない。
    しかし、ご都合主義の大団円より、信じる答えが見つからないならここで終わらせることが好きだ。

    一日でも長く隠れていなくてはいけない。
    しかし、いつか、世界に姿を現す日がやってくる。

  • 1作読んで、面白いなあと思った作家は違うモノも読みたくなりますね。
    これがデビュー作?と呼べるのかな。

    読み進めるたびに不思議なお話になっていきました。いくつの世界が重なり合っていって、どこがホントの世界かわからない。続きが気になってさくさくと読み進めていきました。が、最終的にもよくわからなかった(笑)それがいいのか悪いのかは読者次第な気がします。

  • 沢村凜さん、3冊目!

    鼻行類のダンボハナアルキを求めて、野生動物の調査団に加わり、イシャナイに赴く瞳子。
    ゲリラのいる島であると知りながら、瞳子は、軍の監視のついた調査団を離れてジャングルに入り、そしてゲリラ、その長であるヤンと出会う。
    瞳子は、イシャナイに入ってから不思議な3つの夢を見る。
    自然資源を武器に観光国となったイシャナイ。
    島を明け渡し、他の島でのどかに昔ながらの生活をするイシャナイ。
    近代的なプランテーションで人々が働くようになったイシャナイ。

    そこには、それぞれ異なるイシャナイがあり、ヤンと、タタナがいた。

    いや、面白かったです。
    3つの夢と、現在と。
    それぞれの進む道の行き着くところ。
    その意味するところがわかってからは特に。
    最初は、瞳子の勝手さに色々とイライラしましたけど(笑)
    この話は、タイトルどおり、瞳子ではなく、「ヤン」が中心なのだ。

    途中から、あ、これはハッピーエンドではないだろうなと思ったけれど。。
    アイロニーを含んだラストだった。

  • 結局どれもタタナの夢?

  • 2011/0518 読了

  • 世界でなかなか発見されなかった島、イシャナイ。
    内乱の続くこの国に日本人の学生瞳子が幻の生物ダンボハナアルキを探しにやってきた。
    そしてゲリラを指揮するヤンに出会う…。
    粗削りな内容ですが、ラストの畳み掛けが見事。
    萩尾望都の「モザイクラセン」を読んだ後の様な余韻…好きです。

  • ヤンと瞳子は、幸せになれないのかな。

  • 瞳子は結局なんだった・・・ん・・・だ・・・と思わずにはいられなかったけど
    面白く読めました。

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