瞳の中の大河

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 121
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103841043

感想・レビュー・書評

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  • じっくりした話だった。アマヨクの透明感と、死んだ後にも人々の心に残る感じがいい。

  • 長年の内戦を終らせ、国に平和をもたらす。信念を胸に、野賊との闘いに生涯を賭けた軍人テミズ。祖国を愛し、人を深く愛した孤高の男の波乱に富んだ人生を描く。

    非常に重い、骨太ファンタジー。ファンタジーですが児童書ではなく、一般文芸として出されるのが正しいです。
    テミズは狡猾で、人間臭いところもある男ですが、その中には一本の太い芯があるやっぱり崇高な人物でした。
    終盤で殿下が即位して、物語が一気に動きたすところは実に快感。ただ、惜しむらくはどんな国で、どんな文化があって、どんな気候で、どんな風土で、どれくらい産業が進んでいるのかなどが書かれていなかったことが残念。
    ですが、タイトルにふさわしい大河小説でした。

  • アマヨク、頑張った。

  •  架空の王国を舞台とするファンタジー小説、というよりは、骨太な歴史大河活劇と言った方が近い。
     内戦終結と国家平定を目指して野賊との戦いに身を投じ、波乱の生涯を送る主人公は、清廉潔白なだけの軍人ではない。
     英雄でありながら人間臭く、理想を掲げつつも泥臭く、武骨に且つ柔軟に、信念を貫いてゆく。
     周辺の人物配置も巧みで、二転三転する展開と相関関係は、まさに物語の醍醐味。
     権謀渦巻く政争、肉親の相克、裏切り。
     王国の歴史のうねりを描ききる、簡潔で力強い筆力に圧倒され、陳腐でウェットな感慨など、容易に押し流される。
     それでも、静かな終息に遣り切れなさが残るのは、主人公の想いが、結局のところ一方通行だったのかもしれないと感じてしまうから。
     アマヨクが、(平和への希求とは別に)個人的な願望として心の底で欲していたのは、敬愛する『彼』唯一人に認められ、愛されることだったのではなかろうか。
     対する彼が、あくまでその母親にこだわってアマヨクを切り捨て、政治的な判断であったにせよ、当初からの背信が判明した後は、どうにも哀しさが拭いきれない。

  • これだ!タイトルがわからなくてずっと探してた本。
    文句なしにおもしろく、ページを繰る手が止まらなかった。

  • 「ヤンのいた島」(第10回ファンタジーノベル大賞受賞)が面白かったので、読んでみた。泣きどころはなかったけれど、一気に読んでしまった。面白い。
     地震が起こるタイミングがどうもなぁ、とは思ったけれどまあ、よし。主人公のアマヨク・テミズは誠実と信念を絵に描いたような人物。カッコイイ。最後は幸せになって欲しかったんだけどな。最後はえっ?そんな!!で、終わってた。

  • 正統派骨太歴史ファンタジー。こりゃ面白かった。貧しい村に生まれた少年が、理想に燃え、一軍人から英雄と謳われるまでに出世して行くのです。しかしメイデン殿下、しょっぱなから出て来るから、もっと活躍するのかと思ったよ。

  • 野には叛乱軍を名乗る野賊がはびこり、中央では貴族たちが権力争いを続ける。そんな架空の王国で信念から野賊征伐を志し、英雄となる男の一生を描いた架空の歴史ドラマ。
    目次が凝ってて良い。中身を読む前からもう面白いような気になる。
    もちろん中身も負けずにいい。

著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常のひだを的確に切り取るミステリーなど、様々な世界を展開している。その他の著作に『瞳の中の大河』『黄金の王 白銀の王』『あやまち』『タソガレ』『ディーセント・ワーク・ガーディアン』『猫が足りない』「ソナンと空人」シリーズなど多数。

「2023年 『旅する通り雨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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