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- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103892199
感想・レビュー・書評
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小説新潮から「心にしみる悲しい話」をと、
頼まれたのは深川澪通り木戸番小屋シリーズを執筆中。
50枚くらいと依頼があったが、55枚65枚となり
担当者の頭を抱えさせた。
それが「その夜の雪」
作者はそれで書き終えたという気持ちにはなれずに、
間を置いて2編を書き、「慶次郎縁側日記」が始まることになる。
このシリーズ、読者からもお叱りがあるようだが、
慶次郎が主人公でありながら、その手下となる岡っ引きや、
養子に入ることになる亡き娘の許嫁。
はたまた、隣に住む実直な同心など話に据える主人公がかわる。
そしてそれは、人の良きところだけを描くのではなく、
悲しいまでの経験からそれぞれの陰の生き様まで映し出す。
この本は、作者の制作秘話や、ファンのオススメの1編、
ドラマ化され演じた俳優の心に残る1編などを収録。
名作揃いの傑作編となっている。
この1冊で、慶次郎縁側日記シリーズのエッセンスは
堪能できるのだが、やはり、時間はかかっても、
全シリーズを読み明かしたいと願ってしまう。
人を丸ごとすっぽり包むように、良きことも悪きことも
隠さず書き綴る文章は、切ないほどに刹那的で
人の必死さが現れている。
この1冊読んだだけでも、重量感溢れる前編後編の映画を
見るようだ。是非是非オススメの1冊になった。
まずは1冊をという入門編にふさわしい1冊詳細をみるコメント0件をすべて表示