反音楽史

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著者 : 石井宏
  • 新潮社 (2004年2月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103903031

反音楽史の感想・レビュー・書評

  • 著者は「歴史」という概念を理解していないのか? それとも理解しようとしていないのか? 酷い内容。

  • 『反音楽史』を読み終えて4日たった。タイトルだけを見ると毒薬のような作用をしそうな本だけれど,ぼくにとってはじわじわ利いてくる漢方薬(もちろん副作用もある)のような本かもしれない。

    この本のタイトルは『反音楽史 さらば,ベートーヴェン』。帯には「ドイツ人がでっちあげた虚構をあばく!」と書かれている。クラシック音楽にそれほど関心がない人の中にはピンとこない人も多いだろう。表紙だけを見て,「トンドモ本かなあ」と読むことを躊躇ってしまう人もいるかもしれない。

    けれどそのエキセントリックなタイトルとは裏腹に,本書は内容の濃い一冊になっている。昭和5年に東京で生まれ,おそらく教養主義が色濃い時代に青春を送った著者だからこそ,このようなテーマの本が書けたのではないだろうか。もちろん僕の子供時代も,小学校に「“楽聖”たちの肖像画」は飾られていたけれど,その後の経験のなかで,クラシック音楽に対する考えはだいぶ柔らかいものになっていった(もちろん様々な葛藤はあったけれど・・)。

    なぜ,小学校や中学校の音楽室には「“楽聖”たちの肖像画」が飾ってあったのだろう。それ自体も,今から思えば不思議なことだけれど,音楽史を学び始めてビックリしたことは,かれら”楽聖”たちのほとんどはドイツ人だったということだ。

    「音楽の父」と呼ばれるJ.S.バッハは1685年,ドイツ中部の都アイゼナハで生まれた。同年,「音楽の母」と呼ばれることもあるヘンデルはドイツ中部のハレで生まれた(後年,ヘンデルはイギリスに帰化しハンデルと呼ばれるようになった)。モーツァルトはかつて「ドイツのローマ」と呼ばれたザルツブルクで生を受け,モーツァルトの生涯に多大な影響を与えた父レオポルドはドイツのアウクスブルクの製本職人の倅だった。まさしく「楽聖」そのもののベートーヴェンはドイツ北部のボンで生まれ,ロマン派の中心人物,シューマンは中部ツヴィッカウで生を受け,ブラームスとメンデルスゾーンはドイツ北部のハンブルクで生まれた・・・。

    ”楽聖”たちがドイツ人ばかりだったということは,優れた作曲家がドイツにしかいなかったことを物語るものではない。むしろ,後々になってだれかが「ドイツの作曲家を中心とした音楽の歴史」をでっち上げたのだ。
    著者はその犯人の一人,パウル・ベッカーの『西洋音楽史』を引用し,毒々しい突っ込みを入れながら「反音楽史」を描いていく。

    著者は本書のなかで,数々の肖像画を地に貶めているが,なかでも一番激しく噛み付いているのが,ロマン派の中心人物であるロベルト・シューマンだ。著者によれば,シューマンが結成した「ダーフィト同盟」がベートーヴェンを中心とするドイツ音楽を祭り上げ,それまで主流だったイタリア音楽を俗物として退ける音楽観を形成したのだという。

    本書には,これまでの偏見に満ちた音楽観を補正しようと意気込むあまり,
    本書じたいも偏ってしまった感がある。ただ,「反音楽史」という視点は素晴らしく,そこから光を当てることにより,いままで隠されていた歴史が見事に浮かび上がっている。

    ただし,クラシック音楽の歴史をまったく知らない人が,本書を入り口として読むのは,初心者が茨だらけの獣道を登っていくようなものなので,あまりお勧めはできない。『現代音楽史』など,現代の音楽史家によるもっとマイルドな語り口の本が数多く出版されていると思う。

    最後に・・・

    たぶん,この著者はドイツ音楽大好き(だったん)だろうなあ。。

  • 僕が師事していたN教授が薦めてくれた専門書。とりあえず、驚きの連続。

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反音楽史の作品紹介

モーツァルトは名前をイタリアふうに書き換えた。なぜ?ヴィヴァルディは二百年以上も音楽史から消されていた。なぜ?真実の音楽史をスリリングに解き明かす!ドイツ人がでっちあげた虚構をあばく。

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