家族狩り オリジナル版

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 425
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (562ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103957027

作品紹介・あらすじ

東京の静かな住宅街で立て続けに起こる、陰惨な一家連続殺人。現場には裸に剥かれノコギリで体中を抉られた両親、宗教家のような姿勢で喉を掻き切った少年の姿があった。自らも家庭に修羅を抱える刑事・馬見原光毅と、第一発見者となった美術教師・巣藤浚介の人生をも巻き込んで、事件は意外な展開を見せる…。山本周五郎賞受賞の名作が、ファンの熱い期待に応え一九九五年当時のオリジナルバージョンで登場。

感想・レビュー・書評

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  • 長かった~やっと読み終えた。そして衝撃的な内容だったわ・・・
    家族のあり方を考えさせられる。
    自分も子育てをしてきた(まだしてるけど)身だけど、どうだったんだろうかって考えてしまう。
    子どもを愛してきた。そう思ってるけど・・・
    ん~~しばらく考え悩んでしまいそうだ。
    評価は衝撃的過ぎるから。

  • この本は予想とはまるで違った展開だった…。そこは良かったが…。今までこれほど残虐な描写を目にしたことがあっただろうか?(読んでいる途中震えが来て、そのシーンだけ読み飛ばしてしまった)活字を目で追うだけで、リアルにイメージ出来るほどの作家の筆力に舌を巻く思いだ。(貴志さんの「黒い家」も相当怖かったが、あちらは心理的に怖かったのであって、怖さの種類が違うような気がする)
    面白かった、とは言えないが狂気を描いた本の中では一級品だと思う。天童荒太さん、素晴らしいです。

  • 凄惨な一家殺害事件が起こるが、警察は家庭内暴力を繰り返していた息子の無理心中と判断する。それに疑問を持った刑事の馬見原、死体の第一発見者となった巣藤、彼らの周りの人物も巻き込み事件の顛末とそれぞれの人間模様を描いた小説。

    本のテーマは「家庭崩壊」でしょうか。テーマが重く、二段組みで500ページ以上の大作なので読むにはそれなりの気力が必要でした。

    犯人の狂気については理解できなくもないのが悲しいところ。犯人の主張はある意味では正しいのかもしれませんが、それはあまりに一方的なものなのではないかと思ったり……ただ思ったのは当たり前のことですが親子関係には本当に正解が見当たらないということ。

    徐々に崩壊していく家族の様子の克明な描き方も鮮烈でした。他にも殺害シーンなどサイコ的な怖さもあるのですが、家庭崩壊はどこかの家庭でも起こっていそうでそのリアルな怖さが何とも言えない…

    切ないのは自分の家庭ほどなぜか距離を感じてしまうように感じてしまう馬見原の姿でした。刑事の馬見原は冷戦状態にある娘とうつ病を患う妻がいるのですが、二人のことは気にしつつもなぜか優しくできないのに、ある事件で関わりあった母子には簡単に優しい言葉をかけてあげられる。そのあたりの微妙な心理の描き具合がまた絶妙でした。

    美術教師である巣藤もある女生徒やカウンセラーとの出会い、そして事件によって少しずつではありますが変わっていく姿が印象的でした。

    読んでいるうちにミステリーであることを忘れてしまう天童さんの作品ですが、そうやって読んでいると一発かまされてしまうんですよね。一家惨殺事件だけでなく、作中で起こる小さな事件でもちょっとした仕掛けがあって良かったです。

    文庫版は大幅に改稿がされているそうでそちらもそのうち読んでみたいですが、内容がシリアスなだけに当分先のこととなりそうです。

    第9回山本周五郎賞
    1997年版このミステリーがすごい!8位

  • カルトの子にタイトルが出てきたから読んでみた。

  • 濃厚。息子殺害シーンはむなくそ。

  • 永遠の仔が良かった分、期待をしてしまったけど
    長い割に肉厚さが無く、やや残念

  • 辞書のように分厚いけど一気に読めました!

  • 家庭内暴力に悩む家族が連続して一家惨殺される。しかも容疑者とされる少年は、いづれの事件でも自殺。第一発見者となった高校教師と、自らも家庭内に問題を抱える刑事は、共に事件の核心に近づき犯人に辿り着く。
    以前ドラマで見た時は、凄惨な殺害現場シーンばかりが誇張されていたが、小説では殺人に至るまでの犯人の異常な心理状態や、事件に関わっていく刑事馬見原とその家族の心理描写など、ドラマでは描かれていなかった登場人物の内面がかなり深く描かれていて面白かった。長編小説なのに中だるみしておらず場面展開が早く最後まで真相がわからない。物語後半でようやく犯人らしき人物が登場するタイミングも、良かったと思う。ただ、やはり殺害現場の描写があまりにも残虐で恐すぎるので、星は3つ。

  • 長すぎて読むのを途中で止めた。天童荒太は好きだがこの本は展開スピードが遅く感じてしまい読めなかった。

    ノコギリによる凄惨な事件。隣のアパートに住み第一発見者となった教師。影のある刑事。

  • 分厚いし、2段に分かれてるし読めるかなとおもったけど、読み出したら止まらなかった。
    ただのミステリーではなくて、家族(親子)の愛情・問題・理想について様々な考えをもっている登場人物がいて、理想の家族像=‘’家族が子どもにとって一番の居場所‘’であるが、必ずもそうはいかないとき第三者が居場所・関わりを作ってもいいのではないか。多少問題があっても血の繋がりのある家族と一緒にいた方がいいのではないか。
    様々な立場の人たちの目線の思想は考えさせられました。
    テーマは重く、事件の内容も悲惨ですが人間味のある登場人物のせいか難しくて進まないということはなかったです。
    一応ハッピーエンドと思えましたかわエピローグではまたぞくぞくしちゃいました。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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