屍鬼〈下〉

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著者 : 小野不由美
  • 新潮社 (1998年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (726ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103970033

屍鬼〈下〉の感想・レビュー・書評

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  • 長い…なんでこんなに長くなるかな?登場人物をこんなに多くしておいて、あっさり殺すだけで、描写がない。
    腹立たしいのは、死生観や哲学的なり、ストーリーに厚みをつけてくれる部分を主軸に持ってこようとして、ただの中二病をこじらせたような文章になっていることだ。これで、1300ページあまり読まされるのには辟易だ。無駄が多すぎる。

  • 小野不由美という作家の凄いところは、描写のリアリティ―重松清のそれとも違うのだが―にあると思う。結城を想う恵の一途な気持ちを書いたその直ぐには、結城が恵に感じているストーカーのような気持ち悪さを描く。それはどちらもイコールの出来事で、一つの事象を二つの側面しか描いていないに過ぎないのだけれど、どちらも本当の重みがある。
    事件が結末に向かうに連れて、「屍鬼」を狩るシーンが増えていく。
    今まで、<悪>とされてきたものは一体なんだったのか、と疑問に思う。

    私達の生き方を否定してるわけではないのに、読んでいてとても苦しくなる。彼女が描くのは、どちらも本当の心理であるが故に、読者を揺さぶるのだ。善と悪を書いているはずが、いつのまにか善と悪の定義さえ分からなくなってくる。それはこの小説だけではなく、他の小説にも現われているように思う。


    「屍鬼」では登場人物が150人を越える話だ。
    とある田舎の、外場村。
    山や川に包囲され、そして死に包囲されているのだ。
    そこで暮らす人々は噂といったローカルな話題でコミュニケーションを図っている。
    多くは老人であり、若者は都市へと出て行ってしまう。
    そんな村で、ある家族が引っ越してくる。
    体が弱いという妻と娘をもつ家族。
    しかし、彼らが来てから村は次第に「屍鬼」に支配されていく。
    「屍鬼」は、人の血を得ることでしか、生きていけない。
    だから村にいる人を襲い、血を得るのだ。
    一度襲われただけでは死に至ることは無いが、ぼんやりと無気力になっていく。
    その異変に気がついたのは、村で唯一の医者をしている敏夫。
    原因不明の病気の究明に躍起になるが、医学的な証明が出来ぬまま鼠算的に死人が増えていく。
    彼を支えていたのが、寺に仕えながら小説家をしている静信。
    最初は敏夫に協力するが、次第に「屍鬼」である娘・沙子に自分に
    近いシンパシーを感じ始め、そちら側へと加わる。
    街での異変の原因が屍鬼であることに気がついた敏夫、それに町の人々は「屍鬼」の退治を始める。
    最初は自分と同じ人間の形をしたそれに戸惑いながら、次第に残虐に殺していく。
    そんな中、村人の一人が放火を起こした。
    その火は村を包み込み、殆どの人が助かることはなかった。
    命からがら燃え盛る炎から抜け出した静信と沙子以外は―。

    あらすじを書けば、こんなものである。
    だが結末を迎えるまでにはむごたらしいものがある。
    読むのがつらく、しかしそのままにもしておけず。
    小野不由美の精緻な描写力に感服するばかりだ。凄い!そして怖い!

  • おもしろかった…!!
    文芸書で読んだのでずっしり手応えのある、それでもって読みごたえもある小説でした。
    分類としてはホラー小説ですが、それだけじゃないのがまた。
    普通吸血鬼やらゾンビやら、モンスターになってしまった元人間はもはや人間ではないものとなってしまって、自我も何も無くなるのが常ですが屍鬼は違うんだよなあ。
    日常の自我を保ったままで人を殺さなければいけない葛藤というか。
    そういうのは作中でも沢山書かれていましたが、起き上がりの悲劇のひとつだなと思います。

    小野不由美さんの作品はこれがはじめてなのですが、文章が非常に巧みで、情景描写もさることながら心理描写がすごかったです。
    群像劇的な話ですが、一応敏夫と静信が対比的に主人公ふたりなんじゃあないかしら。
    徹底的にあらがい、時に非道的な手を使っても戦おうとする敏夫と、受け入れ受け流しただ見ているだけの静信がまったく反対の性格で。

    前半から後半の半分くらいまでは、屍鬼が人間を狩るということ、つまり村人が次々死んでいくことが恐ろしさの中心だったのですが、後半は人間が屍鬼を狩ること、暴走した人間の怖さみたいなものが中心だったのが印象的でした。
    怖かった。ホラーの怖さではなく人間の恐ろしさが。

    敏夫がやろうとしたことは私達人間側からしてみれば勿論間違ってはいませんが、屍鬼に思いを寄せる静信の気持ちも理解できなくはないし、すなこの寂しさも理解できるという辺りがまた複雑でした。


    とにかくずっしりとおもしろかったです。
    再読はしんどいかもしれないけれど、夏になったらまた開いてみたくなる話かもしれません。
    この話を夏に読めてよかった。

  • 評価が高いので期待して読んだのですが、私には響きませんでした。
    ボリュームがある割には人物の描写が薄くて感情移入できない。
    登場人物が多すぎて誰が誰だかよっぽど注意深く読まないと覚えていられず面倒臭い(汗)。
    敏夫には、最初の時点で事件を表沙汰にしないように図ったり、妻がやられた時の心情がほぼ描かれないなど、すっきりしない。
    皆さん仰る通り、下巻の方が面白かったけれど、上巻の停滞した話に比べれば、という程度でした。
    正体不明の伝染病が、屍鬼のせいだった、というそもそも論に残念感を覚えるので、納得出来ない点が多いのかな。静信に至っては、ひたすら腹の立つ男でした…。

  • 読了日2015/12

  • 人間側の逆転劇は痛快だった。ただ、屍鬼が完全な悪として描かれていないため、殲滅されていく描写には、気分が重くなった。

  • 平成29年8月の特集「涼を感じる本」

  • ホラーだと思って読み始めたら、少し違った。
    以前、誰かがテレビで「地獄は死後ではなく、この世にあると思う」と言っていたのを思い出した。静信が小説でたどり着いた結論には、納得はできるけれど虚しくなった。だから、人間らしくがむしゃらに立ち向かう敏夫がさらに魅力的に見えた。
    個人的に…夏野には最後まで頑張って欲しかった。

  • もう何度も読み返した作品。

    千切れた手紙を、涙ながらに拾い集める恋する少女

    このシーンが一番ゾッとしました。
    現代でも通用するサバイバルホラーの金字塔。
    夜中に独りで読む事をオススメします。

  • 少しキャラクターが饒舌に過ぎる気がするが、哲学的深まりがあって名作だと思った。

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屍鬼〈下〉の作品紹介

村は死の中に弧絶している-忍び寄る死者の群。息を潜め、闇を窺う村人たち。恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く。

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