屍鬼 下巻

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (726ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103970033

作品紹介・あらすじ

村は死の中に弧絶している-忍び寄る死者の群。息を潜め、闇を窺う村人たち。恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く。

感想・レビュー・書評

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  • 大作だったぁ。

    GW期間にと思い手をつけたものの読み終えるまでに2週間位かかりました。

    今はとりあえず余韻に浸り、感想は明日にでも。
    ..............................................................................

    説明
    内容(「BOOK」データベースより)
    村は死の中に弧絶している―忍び寄る死者の群。息を潜め、闇を窺う村人たち。恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く。
    内容(「MARC」データベースより)
    尋常でないなにかが起こっている-。忍び寄る死者の群。息を潜め、闇を窺う村人たち。恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く…。書き下ろし長編小説。

  • 小野不由美という作家の凄いところは、描写のリアリティ―重松清のそれとも違うのだが―にあると思う。結城を想う恵の一途な気持ちを書いたその直ぐには、結城が恵に感じているストーカーのような気持ち悪さを描く。それはどちらもイコールの出来事で、一つの事象を二つの側面しか描いていないに過ぎないのだけれど、どちらも本当の重みがある。
    事件が結末に向かうに連れて、「屍鬼」を狩るシーンが増えていく。
    今まで、<悪>とされてきたものは一体なんだったのか、と疑問に思う。

    私達の生き方を否定してるわけではないのに、読んでいてとても苦しくなる。彼女が描くのは、どちらも本当の心理であるが故に、読者を揺さぶるのだ。善と悪を書いているはずが、いつのまにか善と悪の定義さえ分からなくなってくる。それはこの小説だけではなく、他の小説にも現われているように思う。


    「屍鬼」では登場人物が150人を越える話だ。
    とある田舎の、外場村。
    山や川に包囲され、そして死に包囲されているのだ。
    そこで暮らす人々は噂といったローカルな話題でコミュニケーションを図っている。
    多くは老人であり、若者は都市へと出て行ってしまう。
    そんな村で、ある家族が引っ越してくる。
    体が弱いという妻と娘をもつ家族。
    しかし、彼らが来てから村は次第に「屍鬼」に支配されていく。
    「屍鬼」は、人の血を得ることでしか、生きていけない。
    だから村にいる人を襲い、血を得るのだ。
    一度襲われただけでは死に至ることは無いが、ぼんやりと無気力になっていく。
    その異変に気がついたのは、村で唯一の医者をしている敏夫。
    原因不明の病気の究明に躍起になるが、医学的な証明が出来ぬまま鼠算的に死人が増えていく。
    彼を支えていたのが、寺に仕えながら小説家をしている静信。
    最初は敏夫に協力するが、次第に「屍鬼」である娘・沙子に自分に
    近いシンパシーを感じ始め、そちら側へと加わる。
    街での異変の原因が屍鬼であることに気がついた敏夫、それに町の人々は「屍鬼」の退治を始める。
    最初は自分と同じ人間の形をしたそれに戸惑いながら、次第に残虐に殺していく。
    そんな中、村人の一人が放火を起こした。
    その火は村を包み込み、殆どの人が助かることはなかった。
    命からがら燃え盛る炎から抜け出した静信と沙子以外は―。

    あらすじを書けば、こんなものである。
    だが結末を迎えるまでにはむごたらしいものがある。
    読むのがつらく、しかしそのままにもしておけず。
    小野不由美の精緻な描写力に感服するばかりだ。凄い!そして怖い!

  • おもしろかった…!!
    文芸書で読んだのでずっしり手応えのある、それでもって読みごたえもある小説でした。
    分類としてはホラー小説ですが、それだけじゃないのがまた。
    普通吸血鬼やらゾンビやら、モンスターになってしまった元人間はもはや人間ではないものとなってしまって、自我も何も無くなるのが常ですが屍鬼は違う。だからこそ日常の自我を保ったままで人を殺さなければいけない葛藤がある。
    そういうのは作中でも沢山書かれていましたが、起き上がりの悲劇のひとつだなと思います。

    小野不由美さんの作品はこれがはじめてなのですが、文章が非常に巧みで、情景描写もさることながら心理描写がすごかったです。
    群像劇的な話ですが、一応敏夫と静信が対比的に主人公ふたりだと思いました。
    徹底的にあらがい、時に非道的な手を使っても戦おうとする敏夫と、受け入れ受け流しただ見ているだけの静信がまったく反対の性格で。

    前半から後半の半分くらいまでは、屍鬼が人間を狩るということ、つまり村人が次々死んでいくことが恐ろしさの中心だったのですが、後半は人間が屍鬼を狩ること、暴走した人間の怖さみたいなものが中心だったのが印象的でした。
    怖かった。ホラーの怖さではなく人間の恐ろしさが。

    敏夫がやろうとしたことは私達人間側からしてみれば勿論間違ってはいませんが、屍鬼に思いを寄せる静信の気持ちも理解できなくはないし、すなこの寂しさも理解できるという辺りがまた複雑でした。


    とにかくずっしりとおもしろかったです。
    真夏のクーラーがガンガンにきいた寒いほどの部屋で、カーテンを締め切って薄暗いなか毛布にくるまって読んだのシチュエーションが最高すぎてずっと忘れないです。
    あのとき窓の外には「化け物」が蠢いていたしドアの外には化け物より恐ろしい人間がいた。
    再読はしんどいかもしれないけれど、夏になったらまた開いてみたくなる話かもしれません。
    この話を夏に読めてよかった。

  • 面白かった……ただ長い……とにかく長い……笑
    でもハラハラしながら次へ次へと読んでいたので辛くはなかったかな。
    こんなに登場人物が多くて、しかもただのおじさんやおばさんばっかりなのにしっかりどういう立ち位置の人なのか覚えてられるのも、思い出せるような一言が添えてあるのもすごかった。
    ひたすら何が起こってるのか分からないヒタヒタと忍び寄る恐怖を感じる上巻、原因は分かったのにどうなるのか最後まで推測できなかった下巻。
    少年少女が立ち上がるのかと思ったらメインどころの大半が死ぬという容赦のなさに心が折れそうだった……昭くんの死亡フラグは一周回ってすんでのところで助かるやつじゃないの……。
    正常性バイアスとか行き過ぎた正義とか信仰心とか善悪とかものすごくいろんなテーマが盛り込まれていて、感想まで長くなりそう。読んでみてよかった。最高のホラーパニック小説。

  • (2023/07/09 12h)
    SNS の炎上にも似たパニックだと思う。
    私自身、いつか大川になりかねないという不安を抱えている。親と子、中と外。

  • SIRENが好きで、そこから知った本。
    初めはSIRENとの似ているところを見つけるために、とかそういうのが目的で読んでいたんだけど、気づいたらこの屍鬼の世界にどっぷりとのめり込んでいました。

    分厚…鈍器みたい…読めるかな…なんて思ったのは本当に最初だけ。

    たくさん登場人物が出てきて、考えることも、行動することも人それぞれ。それは屍鬼になった人もそう。屍鬼になったことを割り切って受け入れる人、人間に復讐しようとする人、現実と本能に争おうとする人。
    読んでいて胸が苦しくなる場面も何箇所か。

    個人的にはそんなに怖くなく、不気味さも楽しんで読めたので、また読もうと思う。

  • 前半は僧侶の小説のシーンがどう物語と紐づいてくるか不明で、読み飛ばしたくなることもあった。しかし後半の死者が伝染病ではなく起き上がりが原因ではないかとわかったあたりから、めちゃくちゃ面白くなった。
    村は死によって包囲されている、という始まりからしてワクワクさせる。
    いかんせん長いので、もう一回みたいシーンが探し難い。。。
    人口1300人程度の村の風景や、そこに住む各々の人物像などがくっきりイメージできた。
    当たり前のことだけど、同じ村に住む人でも考え方は多様で、共感できる人物もいれば理解できない人物もる。

    ○沙子‥秩序と信仰を捨てきれない屍鬼
    神に見放される気持ちがわかるといい、理由のない殺意はないと考えている。屍鬼の性質と矛盾しており、作中では葛藤に苦しむ描写が多い訳では無いが長い間一人で抱えていたんだろうと思う。
    屍鬼の村を作ったら秩序を作り出せるかもしれないが、信仰は消えないので沙子の苦しみは続く。正直最後に炎で焼かれるのが最良だったのではないか。

    ○静信‥作中ほとんど自分の気持ちがわからない。。。というキャラを通してたと思ったら最後に頑固さを見せだす。一周目読んだ時点では、つまり正志郎と同じところに着地したという感想なので、再読する際は静信煮注目してよみたい。

    ○敏夫‥自分の村に手を出すな、という気持ちで動いていて何が悪いのか。屍鬼に勝った。しかし村は守れなかった。という結末だが敏夫の目的は何だったのだろう。村を守ることではなかったんじゃないか。自分の所有物(村)を荒らす鬼を狩りたかったのが本質じゃないのか。別の場所に行って別の所有物を見つけて人生再スタートすればいい。

    ○辰巳‥人狼という屍鬼の上位互換。達観した立ち位置が素敵で一番気に入った。
    人間の体ではなく、そこにうまれる自我が人を人たらしめる。自我が生まれてからは死に向かって落下を続け、死がきたら消えてなくなる。その虚しい事実に気づきながらも抗おうとする沙子や正志郎の生き方を肯定し、協力者となる。死なない立場である自分のことは、なんだか他人事に感じるような話しぶりなのが良い。

  • 長い…なんでこんなに長くなるかな?登場人物をこんなに多くしておいて、あっさり殺すだけで、描写がない。
    腹立たしいのは、死生観や哲学的なり、ストーリーに厚みをつけてくれる部分を主軸に持ってこようとして、ただの中二病をこじらせたような文章になっていることだ。これで、1300ページあまり読まされるのには辟易だ。無駄が多すぎる。

  • 評価が高いので期待して読んだのですが、私には響きませんでした。
    ボリュームがある割には人物の描写が薄くて感情移入できない。
    登場人物が多すぎて誰が誰だかよっぽど注意深く読まないと覚えていられず面倒臭い(汗)。
    敏夫には、最初の時点で事件を表沙汰にしないように図ったり、妻がやられた時の心情がほぼ描かれないなど、すっきりしない。
    皆さん仰る通り、下巻の方が面白かったけれど、上巻の停滞した話に比べれば、という程度でした。
    正体不明の伝染病が、屍鬼のせいだった、というそもそも論に残念感を覚えるので、納得出来ない点が多いのかな。静信に至っては、ひたすら腹の立つ男でした…。

  • 小野不由美 屍鬼
    読了したばっかり早く感想を書かなくては。
    長かったぶんすごく凄かった。
    前半はばったばったと人が亡くなっていくばかりで???これは純文学?ミステリー?ホラー?小説のジャンルもわからない。
    何が書きたいのかも分からない。
    どう締めるのか?

    これは...ウルトラQでした。
    ウルトラマンは出てこない。
    人が頑張るしかないのです。

    一行感想
    「人が鬼を退治する話」でした。

    小野不由美の1番に違いない。
    この路線で今後邁進して欲しいです。

  • なんの前知識もなく読み始めた。「屍鬼をにおわせつつ何か別の話だろう」と思ってたところ、上巻の終わりで「屍鬼だ…」って主人公たちが結論付けたのでひっくり返りそうになった。でも確かに、そういうタイトルだもんね。
    長い物語のうちに一人一人に感情移入していくのに、だれを特別扱いすることもなくどんどんと死んでいって、読者としても「夏野も昭も元子の子どもも死んでしまって…じゃあもういいよ。こんなの村なくなったのとおんなじじゃん」って、多分村人も同じ気持ちになってたんじゃないかな。
    ところで広沢って男の人が二人いて紛らわしい。別人なんだよね?あと、序章で消防とすれ違った村人と棺の答え合わせがないし、敏夫がどうなったのかもわからずで心残り。
    十二国記と他数冊、小野不由美さんの読んできたけど、こういう長くてじわじわ苦しい話描くの上手だなぁって。ワールドですね。

  • やっと屍鬼についての話か…ここまで長かった…というのが下巻を読み始めた感想で、読み終わった感想は「夏野は!?」だった。
    上巻の山火事は人為的に起こったことなんだろうと予想はついていたけど、じゃあ誰が?と予想を巡らせながら読んだ。

    少年少女たちが手を取り合って敏夫と立ち向かう、というストーリーを想像していたらあっさり覆された。
    なんで夏野と昭死んでしまうん…?
    夏野が起き上がって人間側について最後は山に火を放って自分ごと消えるとか?なんて想像もしたけどついに最後まで夏野の名前は出てこなかった…
    じゃあ沙子と最後まで一緒にいると決めた静信が火を放った?そして自分と沙子もろとも死ぬことにした?
    そんなことがあるはずもなく…
    不思議なことに読んでいくと静信がどんどん苦手になっていく…理想主義ってこんなにイライラするのか?と思うほど。
    静信もその父親も周りの期待にうんざりしていたというのは理解した。その上での逃げ方がこれか、という何とも言えない失望感…それを期待と呼ぶんだろうな。
    理想を語るわりに行動できない、手を汚したくない、そのくせ沙子はじめ屍鬼に同情して人間たちに敵意を持つようになる。
    なんというか、秩序そのものに縛られてきたから秩序と対になる悪(敢えて悪と呼ぶ)のような存在に惹かれていたのでは?理想というより単純に悪になりたかったのではないか?
    そんな奴が敏夫の実験を批判するのか…と後からますます嫌いになってしまった。下巻で一番苦手、もとい嫌いなのは静信だな…

    大川のおっさん、わりと最初からヤバめの奴ではあったが味方につければある意味心強いと思う。
    敷かれたルールを重視し過ぎて自分の中の正義を揺るがすことができず、ついには周りも見えなくなってしまうのは娘の復讐を目的とした清水のおっさんとは全然違うな。
    光男や美和子がこいつらのせいで死んだのは可哀想だが、原因を作ったのは静信だしなぁ…
    しかし沙子を追い詰めて喜びのあまり拷問に耽ってしまう傲慢さはやっぱり駄目だった。物語の常套というか、敵の首領を捕らえたらさっさと殺してしまえよと思うんだよな…

    敏夫は千鶴に噛まれてたけど大丈夫なのか?最初から千鶴を騙すつもりで振る舞っていたんだろうけど、医者だから自分でどうにかできたのかな。
    敏夫の策略がすごかったし、途中まで本当に孤独で村の連中にも辟易してたから最後の勢いはドキドキしながら読み進めた。
    百聞は一見にしかずと言うように、頑なな思考で現実から目を逸らす人には直接見せないと駄目なんだな。
    元子は元々やべー女だったけど最後までやべー女だった。こんなメンヘラ女が山に火をつけたのか…という失望感がなかったわけではない。

    村がなくなった以上、みんな散り散りになってしまったし敏夫本人言っていたように屍鬼を狩り尽くすことはできても村は守れなかったので、もう静信を探すことはないだろうな。
    沙子と静信が生き延びて都会の街に紛れるという描写がまさにホラーの最後のオチみたいで良かった…と思う反面、やっぱり自分は静信も沙子も好きになれなかったので、何逃げてんだよという気持ちもある。

    ところで正雄はしっかり死んだと言うことでいいんだよね?多分そうなんだろう。
    さあフジリュー版見るぞ〜!!

  • 非常に長かったが面白かった、最後は結局人間の勝ち。ただし主人公の片割れは屍鬼となり逃げおおせる。後半最後は逆に屍鬼が追い詰められていき多勢に無勢で一人ずつ狩られていったり、根本的に考え方はごく普通の人間と同じなので狩られることを猛烈に恐れたり、という事でストーリーとしては最後まで面白かったが上巻で震え上がった恐怖感が無くなってしまった(結末に持っていくため仕方ないことだが)。主人公の片割れが書いてる小説の話が随所に挟まれるのがちょっと後半くどくなってしまったのもあり、★1つ減らして4つにしたが非常に面白い小説だった。これだけ長いのに最後までだれずに読めたし、上巻めっちゃ怖かったし、小野不由美さん他も読んでみたくなりました。

  • 人それぞれの視点、考え方があり、善か悪かの判断は誰にも下せない。残虐だと思っていた加害者と、その被害者が入れ替わる、心理状態の変化。興味深い部分もあったけどとにかく長い。自分には合わなかった。

  • とにかく長い

  • 後味悪い


  • 「村は死によって包囲されている」書き出しの1行が印象的。
    群像劇として話が進む。あれだけの数のキャラクターに考え方や過去を与えて、それぞれの目を通して見た世界を正確に描写できる作者はすごいと思う。
    怖さと切なさが織り交ぜられた傑作ホラー小説。

  • 外の世界から隔離されている人口1,300人ほどの小さな村。そこに桐敷家が引っ越してきてから、すべてが狂い始める。

    村では、原因不明の病気で亡くなったり、いつの間にか街に引っ越したりする例が多発する。しかも、それは身近な人に伝染していく。

    もしかすると、これは病気ではなく、おきあがり(屍鬼)によるものなのかもしれない。そのことに医者の尾崎敏夫と、僧侶の室井静信が気付く。そのほか、何人かが証拠を見つけたり、思い至ったりする。

    それぞれが何とか村を守ろうとするが、力を合わせることができない。あまりに突拍子もないことなので、誰にも言えないのだ。なすすべなく、事態は悪い方向に進展していく。

    敏夫と静信が屍鬼に血を吸われたところから話は急展開する。敏夫は村人を集め、屍鬼を狩り始める。杭を心臓に打ちつけるという方法だ。近親者だったり、子どもだったりしても関係なく。村人は憎悪に支配されてしまう。

    一旦こうなると、屍鬼は弱い。夜しか活動できない。昼は無力だ。屍鬼は狩られるしかない。

    ・・・あらすじだけを見ると、典型的なパニック小説のようでもある。悪対正義。そして最後には正義が勝つ。

    ただ、この小説の屍鬼には、人間だったときの自我がそのまま残っている。血を吸うという行為が、たとえ「生きていく」ために必要な行為だとしても、罪の意識からは逃れられない。人間は生きていくため当然のように他の生き物の命を奪っているのに。。。そんな屍鬼が人間に狩られるシーンは、むごいとしか言いようがない。

    物語は、静信と屍鬼の沙子が逃げ延び、ひっそりと生きていくいうところで終わる。それが唯一の救いだ。

    とにかく長い。ただその長さが、この小説の良さでもあるように思う。どっぷりと世界を堪能できました。

  • 夏野とか、昭とかなんでぇーーーって感じ。そんなに人殺しちゃう?って思った。でも裕介が生きてるってわかって嬉しかった!!

  • 古本屋で見つけて購入。文庫本なら5冊だが、単行本なら2冊で済む。下巻はさらに厚い。

  • 2003/2/8やっと読み終える。下巻から急展開始めるが、少し長過ぎる。★3 

  • バンソウコウの下りが好き。

  • 上・下巻一気に読んでしまうくらい引き込まれた作品だった。

    前半までは吸血鬼が次から次へと村を襲う場面、後半では人間が吸血鬼(元人間)を襲うという人間に共感してしまいそうにもなるが吸血鬼たちもやりたくてやっているわけではないというなんとも言えない結末が待ち構えていて読み終えた後に深呼吸をしてしまうような作品。

    また再読したいと思える作品でした。

  • 村は死に包囲されている。死者がどんどん増えて行く。僧侶と医者は必死にその原因を探ろうとする。ようやく血が足りなくなることで多臓器障害を起こして死んでしまうことが判明する。なぜ血が足りなくなるのか。それは鬼が血を吸うから。この事実を受け入れるまで多くの人が死んでいった。しかしそれを村人に説いてもなかなか受け入れられないだろう。苦悩する医者。そしてどんどん村は外部と途絶されていく。

  • 下巻は小野不由美さんのホラー節が全開。
    かなり尾崎先生に感情移入しながら読んだ。
    このボリュームだけど一晩で読み切った。
    久しぶりに読み応えのある作品でした。
    アニメは見ないかな…たぶん…

  • 終盤までずっと屍鬼のターンでもやり。
    マンガちょろっと見たのは、最後の方だったんだなぁと。
    中盤くらいからドンパチやって、家族同士で闘ったりとか、尾崎センセと静信が対峙したりとか、消えたお父さんは村のために力を尽くして屍鬼と闘うけど力及ばなかったりするのかと思ったのに、悉く期待を裏切られました。

    怖くて悲しいお話と聞いていたのですが、想像より淡々とした印象でした。もっと悲しい方が好み。
    それでも、この世界に没入できる感じはすごい好き。

  • 人間側と屍鬼側、どちらにもあまり入れ込めないまま読み終えてしまった。
    どちらにも同情できるし、どちらにも嫌悪感がある。
    どちらか一方、という読み方はしなくてもいいのだろう。
    ただやっぱり、沙子があんなこと始めなければなあ、という思いは拭えない。酷い言い方をすれば、化物は化物らしく生きなさいよと思う。そこも辰巳さんが述べてる辺り、隙がない。
    子供も老人も平等に不幸になっていくのがとてもとても悲しい。妙さんと昭のところは胸が抉られた。
    最後、静信が沙子の自殺を止めたのは、自分の復讐(秩序への反抗)に彼女を巻き込もうとしたのかな、という気がふとした。それまで自分の心境を淡々と分析していた彼だけど、あの場面からは人間に対する怒りが何となく感じられた。純粋に彼女を死なせたくなかったのではないと思ってしまうのは、私が捻くれているからか。

  • 読了日2015/12

  • 平成29年8月の特集「涼を感じる本」

  • ホラーだと思って読み始めたら、少し違った。
    以前、誰かがテレビで「地獄は死後ではなく、この世にあると思う」と言っていたのを思い出した。静信が小説でたどり着いた結論には、納得はできるけれど虚しくなった。だから、人間らしくがむしゃらに立ち向かう敏夫がさらに魅力的に見えた。
    個人的に…夏野には最後まで頑張って欲しかった。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野不由美の作品

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