残穢

  • 2636人登録
  • 3.51評価
    • (170)
    • (429)
    • (423)
    • (118)
    • (26)
  • 555レビュー
著者 : 小野不由美
  • 新潮社 (2012年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103970040

残穢の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 澄んだ水の中に一滴の墨をぽたりとたらす。
    墨はじんわり周囲を黒く染める。
    すぐに墨を掬い出しても、濁りを完全に取り除くことはできずに残り、
    澄み切った水には戻らない。
    そこに澄んだ水をいれる。
    残った墨は薄くなるけれど、むしろ新しく入れた水も墨に汚染される…。

    そんなイメージを喚起させられる。
    土地の穢れ。
    お祓いをしても取り壊し新しく建物を建ててもなお残る穢れ。
    事情を知る人がいなくなったあとも穢れは土地を黒く染めたまま、
    連鎖するようにさらなる穢れが発生し、住人の居つかない建物となる。
    恐るべきことに、二重、三重の穢れは住人にも伝染し、引越し先でも
    怪奇現象に悩まされる者もいる。

    これは小説?それともルポ?
    夜中に読むと怖くて怖くて、ドアの向こうのトイレに行けなくなり、
    寝てる夫を起こそうかと思った。結局、トイレは我慢して寝た。
    筆者の小説家たる職業、自宅の購入に至る経緯、身体に生じる異変など、
    実際の出来事を交えながら時系列で進むので、とても創作とは思えない。
    話の発端は、筆者が知人の久保さんに、引越し先のマンションで
    時折畳を擦るような音が聞こえる、という話を聞いたことに始まる。
    そして、畳を擦る帯らしきものを見たとも…。

    マンションの前住人を辿るうちに、他にも住人の居着かない部屋があること、
    首を吊る女性の姿を見た者が複数名もいること(怖いっ!)、
    前住人が引越し後に他のマンションで自殺していることなどを知る。
    しかし、実際にはこのマンションで首を吊って死んだ女性はいないという。
    この土地には過去に何があったのか。
    辿り着く先にあるその元凶とは…

    霊感の有無だけでは語れない怪奇現象が世の中にあるようだ。
    引越しの多い私は、完全なる流動民で、土地の歴史など考えたこともなければ、
    古くからの住人との交流も薄い。
    これまでは家賃や利便性だけで選んできた部屋探し。
    怪奇現象の類は信じるけれど、霊感はないから大丈夫!
    と根拠なき自信に支えられていたので、これからの引越しが怖すぎる。
    そういえばこの間、金縛りに遭ったりしたけど、そもそも今の家は大丈夫なの…!?

    世の中には記録するだけで祟られる怪談がある。
    この本の中でも何度も語られるこの話。
    実際に元凶を辿る人たちが事故に遭ったり心身に不調を感じたしたとのこと。
    とすれば、この本自体、かなりの危険を孕んでいるように思われて。
    そう思うと、普通のホラー以上に、とにかくぞっとする。

  • いやー。半端なくこわかった。噂通りでした。
    読んだ時は背筋がゾゾゾゾ…、後ろが気になる。

    と言うか、これ書いていいの?と読み始めは思ったし、流れが
    「呪怨」みたいだ。。。と思ったら、やっぱり途中で「呪怨」が
    たとえ話で出てきて、ビビった。

    こういうの加門七海さんもよく書くよね。
    加門さんの書著で、綿密な計画の基に実行された
    呪われた三角形借家のお話を思い出しちゃった(><;)

    もう話が広大でここまで調べた小野さんに脱帽。
    途中で東雅夫さんや平山夢明さんも出てきて
    すんごく面白かった。(怖さもあったけど展開がすごかった)

    戦後期Ⅱの「触穢=そくえ=」(226ページ)のあたりが
    クライマックス。穢れについて分かりやすく解説されていた。

    一番印象的だったのが「魔をもって魔を払う」
    (真似はしないけど)

    残穢の元凶に行きついたところは怖いを通り越して
    「悲哀」や「悲壮」を感じた。
    一つの家が原因は何であれ悲運が続いて、没落していく
    様は、どんな小説よりも悲しかった。

    =樹の根元に坐った女性が頭上の枝を見上げている=
    271ページ
    不幸を呼ぶと言われていた一枚の絵。
    絵の中の“坐っている女性”が
    なんで樹の上を見上げて、見上げた目線の先にあるものは
    なんだろう…とか考えると、やはり怖いものがあった。

    イメージが何となく「屍鬼」していました。
    こういうコツコツと調べるのが小説の元になるんだなぁ…。
    あらためてスゴイ!と感じた。

    広がりすぎた穢れは、広がりすぎたが故に
    最終的には終息する。無事に終わったのでよかったけど
    終わり方が尻切れっぽくって、そこがまた怖かったり
    気になったりする。


    でも、この本を読み驚いたことが。。。
    数か所で小野さんの旦那さんの話があって、気になって
    調べてみて仰天(°°;)

    それは小野さんの旦那様が綾辻さんで、同じ小説仲間に
    我孫子さんや法月さんなどがいるということ。
    すごいネットワークにたまげた。
    (小説に全然関係ない。。。汗)

    さ、お次は『鬼談百景』を読む。

  • 作者が友人に起こる怪異を探るうちに
    どんどんその根っこは時代をさかのぼり、深く。
    怪異の枝は広くなっていく…。

    過度な表現や、残酷な表現はない(残酷な事件の報告はあるが)が、なんとも言えず、こわい。

    自分の後ろが気になり、壁に背中をつけて読んだ。

    先が知りたいが、一気に読むとなんかありそうで、タイマーで時間を区切りながら読んだ。

    (事実に基づく?)フィクションであろうに、(あってほしい!)「もう二人とも、そのへんで調査やめて!」と本気で思った。

    淡々と論理的に怪異の訳を解説するのが逆に忍び寄る恐怖を感じさせる。

    ただ、「汚染」「キャリア」という表現は、私個人があまり受け入れられなかった。
    フィクションだ!
    と言い聞かせつつも、身近な場所や記憶にある出来事が書かれているので、
    「まさか、あの…」と思い、落ち着かなかった。

    読み終えて、甘いものと、ほんわりした本で気持ちの切り替え中…

    早く図書館に返そう…

  • 穢れは伝染する――


    ドキュメンタリーの形式で語られる、一件の体験談をきっかけに書かれることとなった作品。

    このレビューを書くこと自体がやばいのではと本気で心配するチキンには、刺激とじわじわと這い寄ってくる恐怖が強すぎた。

    小野不由美さんの作品が好きで煽り文句も読まず購入。変わらないクオリティの高い文章。次章へ入る前に読者の恐怖を煽ることを忘れず、怖いのに文章が私を惹き付ける……が。


    正直に言う。チキンは最終章を読めていない。

    怖いものみたさ、という奴も引っ込むほど、私にとってこれは怖かった。というのも、ゴーストハントのように間にコミカルな会話が入るわけでも、屍鬼のように現実を舞台としたホラーながら、心の底ではこれはファンタジーだという安心できる、そんな作品ではなかったからだ。

    文章は素晴らしい。
    大作であると思う。

    だが安心感のないリアルな恐怖に耐えられない人には、いくら小野不由美の作品だからとはいえ私はお薦めしない。

    逆にホラーに耐えられる読者には、私はこの物語をお薦めしよう。

    さて、このレビューをご覧になった貴方はどちらだろうか……?

  • ほんとに怖い。。
    持っていたくなくなるほど怖いのに(図書館で借りてよかった)、一度読み始めると、不思議なほど次へ次へとページを繰らずにはいられない。各章の最後の一文が読者を突き放し、恐怖をかきたてる。読者は、突き放されたままでは怖くていられないから、事の真相に迫ることで少しでも安心したくて(知れば安心できるという保証はないのだが)、急いで読み進める。怖いなあ、うまいなあ、でもやっぱり怖いなあ、と思いながら、結局3回ほど読んだ。

    合理的・現実主義的な考え方に終始する(しようと努める?)名無しの主人公の、ルポルタージュ風の語り口が怖さをかえって増大させる。
    後半になって話が拡大し、さらに実在の企業や人物が登場してくると、事実とフィクションとの境目がわからなくなってますます怖い。フィクションですよとひとこと言ってもらえれば怖くないのに。

    映画は絶対に見るまい。

  • 簡単に言うと、家に憑くオバケの話…なんだけどその描写が生々しいのと真相を探るうちに家に憑くと言うより人に憑いて移動してウイルスのように感染する展開になってしかも実話?みたいになって、ちょっと待って、これ読んだだけでは憑かないよね?大丈夫?と焦る一冊だった(汗)
    …映画化は…観ません、観れません…(汗)

  • 途中まで平気に淡々と読んでいたのだけれど怖いです。
    スペクタルなホラーは日常と乖離しているので面白がれるのですが、残穢は勘違いかなレベルの日常的に良くある音や現象が多く実際の家の中の音とかが怖くてしょうがなくなりました。
    引っ越しても着いて来るのも怖い。

  • 【読了】残穢/小野不由美

    あーゾクゾクした!
    ホラー小説は夏真っ盛りよりも晩夏(初秋ともいう?)に読む方が涼しさも相まってより雰囲気がでるきがする。

    小野不由美というと、十二国記児シリーズのイメージが強くこういうものも書くのかと意外だった。

    主人公は京都在住の作家で同じく作家の夫を持つ<私>、過去にホラー児童書を出版しており、作者あとがきに書いてあった「何か怖い話があったら教えて欲しい」というような内容を読んだ読者から寄せられた「住んでいる部屋に何かが居る気がする」という手紙から話は始まる。
    調べるにあたり話は過去まで遡り…。
    ルポルタージュ風に話は進んでいくのだが

    もうこれ小野不由美だろ!!!

    と何回も突っ込みたくなる。
    小野不由美の在住所も京都だし、夫はミステリー作家の綾辻行人だし…。
    え、じゃあ本当に寄せられた話なのか?とするとこれは日本のどこかにある話???
    とありそうな設定だけにより怖さが増し、また想像も膨らむ。
    ただこの主人公の<私>はホラー作家の癖に(むしろだから、と言うべきか)自分から話のネタがあれば教えてくれと言っておきながら、飛び込んでくる怪奇話に懐疑的な姿勢を貫く。
    こういう事象が起きている、いやたんに気にし過ぎではないのか…などなど。
    いちいち一度否定が入る。
    だからこそその後の展開での気味の悪さが増すのかもしれないが、さすがにしつこいぞ…と思わなくもない。
    あまりに頑ななのもいかがと思った次第。

    話自体はもの凄くホラーというわけではないのだけど、この「実際にあるかもしれない」という感覚がなかなかに怖い。
    読んでから知ったのだが2016年には映画が公開されるらしく、この怖さがどう表現されるのか気になるところではある。
    出来るならただそれらしい霊を出してビックリさせて終わりではなく、気味の悪さを大事にして欲しいなと思ったりする。

    しかし、こういう本を読んでいるといつもはあまり気にならない家鳴りが気になりますね。
    パキッとかバキッとか。
    幸い赤ちゃんの泣き声は聞いていませんが…。
    今年の残暑は涼しいと聞きますが、少しひんやりしたい方にはオススメです。

  • こわい!
    たんたんと話が進み、気が付くと誰かの残した気配の中にいる。
    ひしひしと感じる怖さが…

  • 読み終わるまで、ものすごく怖くて、たまらなかった。絶対、途中で放りだしたらダメだ!という変な強迫観念で、一気読み。一人でいるときに読みたくない。

    ものすごく冷静に描いているのが、余計恐ろしい。最初のほうの、何が起きているんだろう?というワケの分からなさが一番怖かった。あまりにたくさんの人がでてくるので、地図と関係図とか欲しい気がする(笑)

全555件中 1 - 10件を表示

小野不由美の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
冲方 丁
有川 浩
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印

残穢を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

残穢の作品紹介

怨みを伴う死は「穢れ」となる。穢れは怪異となり、伝染し、拡大する。
「十二国記」の小野不由美、9年ぶりの書き下ろしドキュメンタリー・ホラー長編。

メディアファクトリーから同日発売される『鬼談百景』は、本書とリンクした作品です。

残穢の文庫

ツイートする