図書室の海

著者 :
  • 新潮社
3.22
  • (21)
  • (75)
  • (229)
  • (25)
  • (6)
本棚登録 : 730
感想 : 97
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103971047

作品紹介・あらすじ

ある地方に伝わる奇妙なゲーム。秘密裏にゲームを引き継ぐ"サヨコ"のほかに、鍵を渡すだけのサヨコがいた-。もうひとつの小夜子の物語「図書室の海」ほか、あるウエイトレスの殺意と孤独を描くぞくっとする話、記憶を刺激する懐かしくも切ない物語、異色SFと、様々な物語を次々と紡ぎ出す恩田陸の世界を堪能できる1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 恩田陸さんの短編集…全10話が収録されています。読みたかったのは、六番目の小夜子の番外編「図書館の海」、夜のピクニックの番外編「ピクニックの準備」、理瀬シリーズの番外編「睡蓮」です。夜のピクニックを読むのはこれからだけれど、読むのが楽しみになりました!六番目の小夜子より、理瀬シリーズの方が読んでいて引き込まれていた分、番外編も「睡蓮」の方がよかったと思いました!

    このほかの作品では「茶色の小瓶」と「国境の南」が個人的に好きです。どちらも読んでいてゾクゾク怖くなる…どちらも主要登場人物の執念みたいなものを感じました。逆にそのストーリーがあまりよく理解できなかった作品も…私の読解力がないせいです(汗)。

  • 『六番目の小夜子』の番外編があるということで読んだのだけれど、これはこれで読んでとても良かったと思える作品だった。
    実際恩田陸さんの作品は、『私の家では何も起こらない』『六月の夜と昼のあわいに』『六番目の小夜子』そして今回の『図書室の海』と4作しか読んでいないし、長編作品をそんなに読んでいないので全体像がまだつかめていないのだけれど、短編それぞれのテーマのようなものがとても好きで惹かれるなぁと思う。
    いろんな描き方があるけれど、恩田さんは風景描写が緻密だなぁと思う。
    読んでいると頭の中にぶわぁっとその風景が自動的に浮かび上がってくる。それは私が空想したものでもあるけれど、恩田さんの手によって導かれたに近い感覚。

    イサオ・オサリヴァンを捜して
    睡蓮
    ある映画の記憶
    国境の南
    ノスタルジア

    が好きでした。
    中でもノスタルジアが一番好きかもしれない。
    どきりとして、切ない。
    でも強いメッセージも感じる気がする。
    ピクニックの準備は、読みながらふと「夜」、「ピクニック」とキーワード的に(あ!夜のピクニック!そうか、あれって恩田さんの!うわぁ!)と思い、思わず読みたい本へ登録。
    まだまだ知らない、読んでいない本があるので、こういう出会いは嬉しい。
    睡蓮も『蜜の眠り』に繋がる話のようで、ここから作品に入るのもいいなぁと思う。


    忘れられない風景や匂い、音がある。
    それは説明しようとしても簡単には伝えられない、私の細胞、血のようなもの。
    そういう物で私は出来ていて、そういうも物に私は支えられていて、そういう物に泣かされていくんだろうと思う。

  • じわじわと毒がまわるような恐怖が躰を冷やす。真夏の夜にぴったりの短編集☆

  • 著者デビュー10周年の年に刊行。
    10編から成るノン・シリーズ短編集。

    今まで読んだ恩田さんの短編(『いのちのパレード』『六月の夜と昼のあわいに』)より面白いと思う作品が多かった。

    「イサオ・オサリヴァンを捜して」がえらく好みで、あとがきに「大長編『グリーンスリーブス』の予告編」p234とあったのでぜひ読みたいと思ったら、残念ながら未だ作品化されてないのですね。その代わり『夜の底は柔らかな幻』が書かれたとか?なるほど、道理で私好みなわけだ。

    『夜ピク』の予告編や『六番目の小夜子』の番外編などもあって面白かった。ずいぶん昔に読んで内容も忘れてしまっているので、再読しなければ。

    「オデュッセイア」のココロコは、『いのちのパレード』収録「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」の「王国」に似ている。
    あとがきにも「九龍城みたいなマンションが~移動していったら面白い」p236とあって、恩田さんの好きなモチーフなんだろう。
    「ノスタルジア」一読して私はよく理解できなかったんだが、「とても私らしく、なんだか原点っぽい」p237と書いてあり、まだまだ恩田さんのことが理解できてない自分が悲しい(笑)
    最後の「ノスタルジア」が、最初の「春よ、こい」につながっているようにも思う。


    「懐かしさ、それだけが僕たちの短い人生の証拠だ。数々の記憶が僕たち一人一人を作っている。~僕たちは懐かしいものについて語り続けなければならない。それだけが僕たちの存在を証明する手がかりなのだから。」p231「ノスタルジア」より




    《恩田陸を読むぞ2021⑥》 
    ルール:図書館にある恩田陸の棚の、左側にある本から先入観無しで読んでいく。シリーズ物に当たったら、1から順に読む。

  • 恩田陸さんの10作品をまとめた短篇集。
    後に本屋大賞受賞作品となる『夜のピクニック』番外編、「ピクニックの準備」が入っています。
    個人的には、「ある映画の記憶」がお薦めです。

  • 先が気になる短編ばかり。謎だらけ。でもおもしろい。

  • カバー写真 / 今井 智己
    装幀 / 新潮社装幀室
    初出 / 『時間怪談』(1999年廣済堂出版刊)、『蜜の眠り』(2000年同社刊)、『血の12幻想』(2000年エニックス刊)、『大密室』(1999年新潮社刊)、<SFオンライン>1998年10月26日号、『SFマガジン』1995年8月号、書下ろし2本

  • とてもおもしろい。
    ほんとはこれだけでも★5つなんだけどそうしてないのは、本編を読んでない作品を読んで再読する楽しみを残すため。

  • 2018年4月7日

    カバー写真/今井智己
    装幀/新潮社装幀室

全97件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×