- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103976042
感想・レビュー・書評
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言わずと知れた笙野頼子。もうほんまに好き。フェミっていうか、もう見えてるね、世界の成り立ちとか、なんかそんなのが。確信的なフェミ50%、丁寧でリアルな少女漫画感覚20%、ヨゴレ系20%、その他、で成り立っている。一部、売春婦と普通の女の分断を指摘してるとこがあったような、なかったような。
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確かこれも岸本佐知子さんのお勧めだったので。
いや~ちょっと…難しいというか…端的に意味不明で怖いというか…なんかヤバい宗教の教義を読んでいるような(いやまさにそうなんだけど)
古事記とか日本書紀とか、ちゃんと読んだことないので、読んでみたいな、とは思いました…。 -
こんなに狂った作家がいるなんて思わなかった。すごい。
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あわない。読む快楽がない。
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文学
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新興宗教のような女性集団が原発を逆手にとって築き上げた女尊男卑の独立国家「ウラミズモ」。「ヘテロの女が敢えて人形愛と同性愛を選んだ」その国へ亡命してきた作家の主人公は、建国の神話の創造を担わされることになる。
序盤は、やはり女性だけの特殊な国を描いた倉橋由美子の『アマノン国往還記』や、沼昭三の『家畜人ヤプー』なんかを思わせる、異世界訪問譚風なのだけれど(私は未読ですが『女と女の国』鈴木いづみの名前も作中に出てくるし、ついでに阿部薫も)中盤では笙野頼子お得意の神話の読み替え作業が始まり、このくだりがもう圧巻。単なる捏造・妄想の類ではなく妙な信憑性が感じられて迫力があります。
この作品のちょうど10年前に書かれた『硝子生命論』の作者である火枝無性と人形作家ヒヌマユウヒの名前も登場し、あの物語のラストで女たちが向かったユートピアはウラミズモだったのかも。
女だけの国では仮夫と呼ばれる美少年人形と暮らすか、もしくは夫婦ならぬ婦婦として結婚も可能だけれど本物のレズビアンは追放される。おもに日本から払い下げられたロリコン男は監禁監視され少女たちに虐殺される。紙一重のユートピアとディストピア。
独自の潔癖さと自己神格化、笙野頼子の神髄が詰まった1冊だったと思います。 -
なかなかどぎつい。
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日本の常陸付近にある女人国「ウラミズモ」に亡命した日本の「女流」小説家「火枝無性」は、「ウラミズモ」の神話を創作する。日本の男系社会、文壇、既存のフェミニズムへの痛烈な批判、記紀神話の「国生み」の記述を逆転させ、出雲神話の「国譲り(大国主命は女性!)」を各地の弾圧された母系、巫女的女首長の象徴とする等、解体・再構築していく。バッサリと一刀両断していく文章は読んでいてハラハラドキドキした。やはり、鈴木いづみと『女と女の世の中』が文中に出てきた。最終章が圧巻。凄い作家だ。
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ウラミズモという国名の語感が絶妙。いろいろな意味が重ねられていそう。
この「きったない」国は、でも私の国でもあるのかも。自分の魂をどこにもない場所に置いていることの証として、魂のない人形と暮らしているということの意味が、少しわかるような気がするから。
でっちあげの国家神話が個人の神話として血肉を吹き込まれていく過程が切実な美しさ。