カンバセイション・ピース

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著者 : 保坂和志
  • 新潮社 (2003年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103982043

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カンバセイション・ピースの感想・レビュー・書評

  • 保坂和志の中でも随一かと

  • 初めて読んだ保坂作品でした。
    井之頭五郎のようにいいぞ、いいぞとか心の中で呟きながら読んでました。
    親戚から預かった世田谷の古い家で、夫婦と姪と会社をやるのに間借りしている友人3人と、そして猫たちの日常風景。住人たちの会話や主人公モノローグで進行していきます。
    ストーリーなんてないようなもの。日常の会話にしては哲学的なやりとりです。
    何気ない言葉の中に時折はっとするような真実をついてくることがある。
    穏やかに過ぎていく文章にぼんやりしていると、大切な言葉に気づけない気がして、できるだけじっくり読みました。
    とはいえ、正直わからないときはわからない。人それぞれ共感したり強烈な気づきになる部分は違う本かもしれません。時間がたったら今とは違うところに感動するのでは。
    そう思って、何年か置いてからまた再読したいです。

  • シェアハウス、家開きのブームを先取りしたような作品。日常的な世間話から哲学的な考察にシームレスにつながっていく。

    家そのものが重要な登場人物といえる。そこには常に誰かや猫の気配が満ちている。著者は目に煮えない、言葉にできない「気配」を書こうとしている。

     ひとつの場所に30年過ごしていてもこの話の語り手のような視点は得られない。かつて生活していて一度離れ、長い期間をおいてふたたび生活しはじめてからこそ、過去と現在が並行して進み、意識は双方を自由にいきかうのだ。

    【引用】
    ・あのときのゆかりは私とか誰とか特定の誰かの子ども時代ではなくて、ここに住んだ全員の子ども時代のように私には感じられた。

    ・「この人は何でもかんでも自分がたまたま知ってることが一番なんだよ」
    「愛するっていうのはそういうことだ」と私は言った。「愛っていうのは、比較検討して選び出すものじゃなくて、偶然が絶対化することなんだよ」

    ・「脳だって、一つ一つのニューロンはどうせ何もわかってないんだろうけど、全体としてちゃんと仕事をしてるじゃないか」

    ・「死んでからが人生なんだよね」

    ・「いい大人になっても、親が怒ったらしゅんとして見せてやるのが、親孝行ってもんなんだから」

    ・「家にはかつてそこに住んだ人たちの気配がいつまでも残るものなのだ」

    ・しかし実際はこの家が建って二十五年かそこらで、多人数がいつもここに暮らしているという伯父の構想か願望は崩れはじめていたのだ。

    ・「木はすごいよなあ。百本あれば百通りの枝の広がり方をする。
    しかも枝の広がり方を正確に伝えるだけの種類の言葉が人間にはない」

    ・ごっこは遊びで本気じゃないけれど、本気が混じっていないとごっこは面白くならない。

    ・「気安く幽霊だの何だの、そんなの、昔の人が生きたことに対しても、その人たちが持っていた感情に対しても、その人たちがきちんとした意味で使っていた言葉に対しても、失礼どころじゃなくて冒瀆なのよ」

  • 小説論はあんなに面白いのに、期待値が高いからつまらなく感じてしまうのか。やろうとしていることはわかるし、その意義もわかる。でも最後まで読めない。なぜ読めないのか、考えさせられる(そういう意味ではこれも著者のいう「小説」の醍醐味なのか)。原因は「オヤジ」的なユーモアの感覚と猫? 猫好きじゃないと、猫のくだりは楽しめない。

  • 夏だから夏の本を、とおもって、
    ゆっくりじっくり読みました。
    いつの間にか綾子と森中が年下になってたー。
    私もこんな夏を過ごしてみたいなぁ。綾子みたいな立場になってさ。

  • 普段自分の考えていることと色々とシンクロする箇所があり、いずれ読み返す予定。執筆時の作者の年齢に近くなったため?
    ほかの作品も読むことにしました。
    最後は多忙な時期と重なり、飛ばし気味になってしまったので心残り。

  • 1軒の家での今と昔.住んでいる人は変わっていっても住んでいた記憶は人にも空間にも残っている.

  • 自分とそれ以外のものとの関係性に、
    時間とそれに伴う空間の移り変わりを絡めて描かれる日常。
    保坂さんの作品、やっぱりイイな、惹かれる。
    横浜ベイスターズの事は、
    ちょっと良くわからなかったが。

  • しえー!本物の作家だべー!と思った。でも、そんな小難しい事をごちゃごちゃ考えてないで、仕事しろと思った。この文章は合う人にはすごく合うんだろうな・・・合わない人にはすごく読み辛いかも。

  • フレームとしてのわたし

  • 最近この人の本を読んでいなかったせいか、妙に理屈っぽく感じられて、この分量を読むのは正直辛かった。
    ええいうるさいさっさと小説を書かんかと主人公にツッコミを入れたくなってしまった…。
    この人のもう少し短い小説を読み直してみるかなあ。

  • どの本だっかか覚えてないけど
    図書館でふっと本棚から抜いて、読み始めたら
    すらすらすら  っと。と、止まらない!

    だ、だれ?この人とあわてて著者名確認したのが
    保坂さんを知った時です。

    この読みやすさ、心地よさは尋常じゃないと思う。

    手元に置いておきたい一冊。

  • プレーンソングが今ひとつよくわからなかったので、
    保坂和志さんは、これが二冊目。
    長い割りには、すらすら読めるかもしれない。
    大事件が起こるわけでもなく、淡々としている。
    こういう味なのかなぁ。
    嫌いじゃない。

  • 「普通」を語ることの意味-『カンバセイション・ピース』
    http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20100623/1277325589

  • 当時我が家に、単行本2冊、文庫1冊あった本。兄妹3人で買っていたという。話せよ。

    当時インフルエンザで寝込みながら読んでいました。
    今もそのときも、変わらない気持ちで読み直すことが出来ると思う。
    あまりそういった憧れの気持ちが変わらずに読める本は少ない。

  • 作中で交わされる登場人物たちの会話は、ごくありふれていて、だからこそ読んでいて心地がよい。
    ただほとんど何も起こらないので、途中で飽きてしまう。
    時間がない人にはお勧めできないかも。

  • 写真家、佐内正史が撮った表紙。
    この写真のすごいところはピントがどこにもきていない、全部がなんとなくぼやけているところ。
    なんてことないどこにでもありそうな風景で、でも自分で探してたり、撮ったりすればこうはならない。
    もう文庫しかないのが残念です。

  • 今まで他の本や演劇やドラマなどに感じなかったリアリティを感じた。
    他の作品では省かれていることをじっくり書いていっている気がした。
    「書きあぐねている人のための小説入門」にあるこの人の文学観がこういう作品を書かせるんだなぁ。

    気になったフレーズをメモするようにしているのだけど、20か所くらい書きたい場所があった。
    今後続けて読んでいきたい作家。

  • 「恋をすると観るもの聞くものが楽しくなるとか、世界が生き生きとしてくるとか言うのは本当で、こういう風にただ拡散してきがちの視覚をひとつにまとめあげる力が人間の中で働き出して、風景は息を吹き込まれる。恋愛を小説やテレビドラマにするとお互いの気持ちのすれ違いや社会的な制約のことばかりが筋になってしまうけれど、恋愛という状況の中にいる人間の世界全体が活気づくことの方が私にはずっとおもしろい。」

    「奈緒子姉は伯母の通夜のときに「それではご遺族の方からお焼香を」と言われた途端に、「ハイッ!」と大声で返事して元気よく立ち上がってしまった。きょうだいの中でも特に仲のいい英樹兄と幸子姉は、お坊さんの読経のあいだじゅう伯父が浮気したときの話を周りの親戚どころかお坊さんにも聞こえそうな声で話して笑っていた。うちの親戚にはそれを注意するような人もいないのだが、それはともかく伯父の浮気がバレたとき伯母は怒って伯父の前で一一〇番に電話して、「逮捕してやってください」と言ったというのだ。警察が相手にしないでいると、伯母は警察にも怒りはじめて、伯父が受話器を取り上げたのだが、恥ずかしいやら恐縮しているやらで、伯父は「私がその浮気した堀内祥造と申しますがね」と、名前を名乗ってしまった。
    「ラテン系かよ」」

    「(前略)スプーン曲げというのはやっぱり特殊な能力なんだから、いつも曲げられるわけではないはずで、「超能力があるというんだったら、どんな条件でも曲げられなかったらおかしい」と言う人たちは、能力というものが常に一定なわけではなくて、それを維持することがすごく難しいことを知らない人であり、いつもそこそこのことしかしてなくて力を振り絞るということがどういうことかわかっていない人なんだ(後略)」

    「「わからないことというのは知っていることに比例して増えるものなんだよ。だから、知っていることが少ない段階ではわからないことも少ない。逆説的な表現になるけど、わかっていると思っているうちは、じつはろくに知っていないということで、これは詭弁でもなんでもない。幻想しか見えていないっていうのはそういう意味で、相手のことっていうのは知れば知るほど、自分のことがわからないのと同じ意味でわからなくなってくる」」
    (2009.4)

  • 新しいジャンルにチャレンジ!
    毒がなさ過ぎると、案外読めないものでした。

  • ベッドの脇に置いたまま.

  • 何も起らない日常の、実は豊かな時間がえがかれる。なーんてね。「紋切り型で通り一遍でわかったつもりになる雑な解釈が大嫌い」な理恵子さんにバカじゃないのとけちょんけちょんにやっつけられてしまうだろう。過去と現在、人と猫、家と庭。穏やかかつエキサイティングな対話と思考がくりひろげられる。思索の楽しみを知るということは、ホント、退屈知らずよね。

  • 何気ない日常と会話。記憶と時間と人のつながり。途中で飽きなければ。

  • 保坂さんの長編小説。家と家族の思いでから、日々の生活を淡々と描き、そこに何とも言えない心の安らぎを覚えた。粘性の高い液体に包まれて、ゆっくり、ゆっくりとしか読み進めない感覚をもてた。

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